肝臓ガン:わずかな血液で発見できる分析方法開発…北大 | アクティブエイジング アンチエイジング
毎日新聞 2007年10月24日より

[肝臓ガン:わずかな血液で発見できる分析方法開発…北大]


北海道大の西村紳一郎教授らの研究グループが、100分の1cc
の血液で肝臓ガンが発見できる新しい分析方法を開発した。
血清中のタンパク質の表面に結合する糖鎖が疾患で変化する
特性に注目した。
企業と共同で自動分析装置の開発も行い、将来的には健康診断
の血液検査の項目にも加えて肝臓ガンの早期発見にもつなげ
たいという。
30日に東京で開かれるシンポジウムで発表する。

西村教授らは肝臓ガン患者83人と健康な人20人から採血し、
血清から糖鎖を取り出した。
この結果、肝臓ガンにかかると、特定の4種類の糖鎖の組み
合わせが大きく変化するのが分かった。

一方、研究グループは塩野義製薬(大阪)とシステム
インスツルメンツ(東京)の2社と組んで、一度に50~100
検体を調べられる自動分析装置も開発。
健康診断での血液検査に対応できる検査態勢を可能にした。

04年度から、独立行政法人「科学技術振興機構」の研究費助成
を受け、研究には、慶応大や弘前大も参加。
子宮ガンや乳ガン、前立腺ガンで変化する糖鎖の状態の研究も
進めており、肝臓ガン以外でも有効な検査方法となる可能性が
ある。

「沈黙の臓器」とも言われる肝臓は症状が出てから病気に
気づくことが多く、早期発見が難しいとされてきた。
西村教授は「肝炎や肝硬変など肝臓の別の疾患の判別に有効な
糖鎖の変化も分かれば、さらに有効な検査法になるはず」と
話している。【千々部一好】


http://mainichi.jp/select/science/news/20071024k0000m040175000c.html