昨年12月28日に開催された、「川島素晴『インヴェンション』全曲演奏会」の全動画を公開しました。

 

プログラムノート全文は、こちら↓に掲載しておりますので、ご参照下さい。

 


 

 


 

このシリーズは、日本語の発話と音楽の関係を扱ったシリーズです。

まず、コンサート冒頭、シリーズ最初の4曲を《インヴェンション I - IV》として連続上演しました。

以下、各曲のアイデアについて一行ずつコメントしていきますが、詳細は上記のノート全文をご覧下さい。

 

《インヴェンション Ⅰa ―音色と表意の可能性(1994)

 *日本語字幕付

 声:川島素晴 Timp:神田佳子

 →「は」と読む漢字を集めて様々な発声で発話し、ティンパニが随伴する。

 

《インヴェンション Ⅱ ―〈音節→単語〉と〈音高→旋律〉の連関(1995)

 *日本語/英語字幕付

 Bar:松平敬 Vib:神田佳子

 →現代詩から単語を抽出し、ヴィブラフォンが和音をシンクロさせる。

 

《インヴェンション Ⅲ ―発話と模倣の位相(2004)

 *英語字幕付

 声:松平敬 Trp:曽我部清典 Talkng Drum:神田佳子

 →様々なシチュエーションの発話が羅列され、それを器楽が模倣する。

 

《インヴェンション Ⅳ ―器楽音とオノマトペ(2005)

 声:川島素晴 Trp:曽我部清典 Cb:近藤聖也

 →楽器の音を日本語的オノマトペに変換する人形がやがて暴走し・・・。

 

 


 

《インヴェンション Ⅴc》(2006/2022 新版初演)

 声:工藤あかね 指揮:川島素晴 Zephyros:曽我部清典 Cl:西村薫

 A.Sax:大石将紀 Bsn:中川日出鷹 Vib:會田瑞樹 Cb:近藤聖也 

 →1シラブルを発話し器楽が転写。徐々にシラブルが増え語彙を増やしていくが・・・。

 

 


 

《インヴェンション Ⅵ》(2018)

 打楽器&声:神田佳子

 →1シラブルと楽器の転写は前作同様だが、それを一人で実行していく。

 

 


 

《インヴェンション Ⅶ 〜7×7の罪つくりな言葉たち》(2021)

 声:工藤あかね Cl:西村薫 Vib:會田瑞樹

 →7×7の言葉をシャッフルして出る無茶振りに、3名の奏者が応えていく。

 

 


 

《インヴェンション Ⅷ》(2022)

 100均グッズ:川島素晴

 →モノの名称を発話していくが、徐々にそれが錯乱し・・・。

 

 


 

《インヴェンション Ⅸb》(2022 新版初演)

 女声:工藤あかね 男声:松平敬 指揮:川島素晴

 Cl:西村薫 S.Sax:大石将紀 Bsn:中川日出鷹 Cb:近藤聖也

 →男女の他愛もない発話の応酬と、それを転写する器楽。発話が拡張していく。

 

 



 

当日の演奏は以上になりますが、ここで、既にYouTubeで公開されている同シリーズの動画をまとめておきます。

ぜひ見比べてみて下さい。(II、IV、VII は今回が初出です。)

 


 

《インヴェンション Ia ―音色と表意の可能性》(1994)

 声:松平敬 Timp:神田佳子

 *2004年4月23日、松平敬リサイタルでの演奏。

  上記のものは私自身が声を担当していますので、演奏はだいぶ異なります。

 

 

《インヴェンション Ic ―音色と表意の可能性》(1994)

 声&フレームドラム:川島素晴

 *2007年6月8日 eX. 3 川島素晴ソロリサイタル「ミューズの贈り物」での演奏。

  こちらはソロ版として上演。ティンパニに替えてフレームドラムを用いています。

 

 


 

 声:松平敬 Trp:曽我部清典  トーキングドラム:神田佳子

 *2004年4月23日、松平敬リサイタルでの初演。

  この動画は11年前に出されて1万回以上再生されている、私の作品の中でも閲覧数の多い動画です。

  本作は何度も上演されていますが、上記の全曲演奏会は、初演メンバーで演奏した18年ぶりの上演となりました。

 

 

 双子座三重奏団  声:松平敬  Trp:曽我部清典  トーキングドラム:中川俊郎

 *2019年9月5日「川島素晴 works vol.3 by 双子座三重奏団」での演奏。

  中川俊郎さんによるトーキングドラムは、これはこれでなかなか味わい深いです。

 

 


 

《インヴェンション Vb》(2006/08)

 双子座三重奏団  声:松平敬  ゼフィロス:曽我部清典  ピアノ:中川俊郎

 *2019年9月5日「川島素晴 works vol.3 by 双子座三重奏団」での演奏。

  上記の《Vc》は大編成の女声版ですが、こちらは男声を含むトリオ版なのでだいぶ趣が異なるのと、最後のオチが団体名につながっています。

 

 


 

《インヴェンション VI》(2018)

 打楽器:神田佳子

 *2018年8月9日「川島素晴 works vol.2 by 神田佳子」での初演。

  これは作品内容も演奏者も上記のものと全く同じ、しかも4年しか経ってないですが、初演は初演で味わい深いです。4年を経た再演も円熟を増しておりますが。

 

 


 

《インヴェンション VIII》(2022)

 100均グッズ:川島素晴

 *2022年4月28日「川島素晴 plays... vol.4 ”100均グッズ”」での初演。

  上記の全曲演奏会の際とは発話したモノなどが異なっています。

 

 


 

《インヴェンション IXa》(2022)

 西川竜太指揮 ヴォクスマーナ

 (女声:神谷美貴子 稲村麻衣子 入澤希誉 

  男声:初谷敬史 金沢青児 松井永太郎)

 *2022年9月29日 ヴォクスマーナ定期演奏会での初演。

  上記の作品は、これを下敷きに合唱を器楽とのアンサンブルに置き換えたもの。構成は全く同じですが、なかなか違った味わいになっています。