2012年はA. シェーンベルクの《月に憑かれたピエロ》の100周年でした。国立音楽大学でお世話になっております長島剛子先生と梅本実先生によるデュオが、100周年に寄せて「シェーンベルク以外の作曲家による《月に憑かれたピエロ》/新しい《月に憑かれたピエロ》/シェーンベルクの《月に憑かれたピエロ》」を並べるという、すばらしい企画をたて、私に委嘱、及び指揮を担当させて下さいました。

 

 

冒頭は、シェーンベルクと同時代の作曲家が《月に憑かれたピエロ》に作曲したものから選んだ6曲で、スタイルとしてはロマン派〜近代のものとなっています。それぞれチャーミングな作品ですが、一方、シェーンベルクがいかに先端的であったかがわかります。

 

《月に憑かれたピエロ》は、アルベール・ジローによる詩をハルトレーベンが独訳した詩ですが、51編ある中からシェーンベルクは21編を選びました。つまり、30編はシェーンベルクが作曲していないのです。その中から7編選んで、シェーンベルクと同じ編成(しかし、シェーンベルクの21曲とは違う7種類の楽器の組み合わせ)で「前座」として演奏できるように作曲したのが私の作品です。


そして最後が本家の《月に憑かれたピエロ》となりまして、私としてはこの作品には折にふれ取り組んでいたので、全体として感慨深いコンサートとなりました。

 

アンコールも、「ピエロ」のメンバーのまま演奏できるように私が2曲編曲しました。
(お二人の選曲センスも光っています。)

 

10月に札幌で初演、11月に東京初演という流れで2回上演しており、このほど、2回目の東京公演の動画をYouTubeに全て公開致しました。


このときのパンフレットをスキャンしたものと、動画を並べました。
(私の作品以外の部分は、長島先生と梅本先生による共同執筆です。また、アンコールを除く本編動画には全て字幕を付けましたが、この字幕のテキストはやはり、長島先生と梅本先生によるものです。字幕をつける作業自体は私が行いました。かなりの労作です・・・。

 

最初からアンコールまで、秀逸な企画であり、そして、何より、皆さんの演奏がすばらしいですので、是非、全部を、コンサートを順にお聞き頂くようにお楽しみ頂ければと思います。

 

-----<パンフレット(冒頭)>-----

 

 

-----<シェーンベルク以外の作曲家による《月に憑かれたピエロ》>-----

 

 

 

 

-----<川島素晴による新作《月に憑かれたピエロ》>-----

 

*以下にスキャンも掲出しましたが、こちらのリンクにも、全文に加え補足付きの情報が掲載されています。

 

 

 

-----<シェーンベルク《月に憑かれたピエロ》>-----

 

 

 

 

 

-----<アンコール>-----

 

アンコールは、A. シェーンベルクの「キャバレーソング」から《ギガレッテ》と、ジーツィンスキーの《ウィーン、わが夢の街》の2曲で、それぞれ、「ピエロ編成」のメンバーで演奏できるように、私が編曲しました。
企画者お二人の選曲センスが抜群で、前者は、シェーンベルクの作品であるというだけでなく、《月に憑かれたピエロ》における歌唱の原点ともいわれるき「キャバレーソング」からの選曲であること、そして《ギガレッテ》は、「ピエロのような」というテキストが出てきますので、この企画のアンコールとしては最適です。

また、最後の最後は、再び「歌」で、皆さんの馴染みがある曲で締めるとして、ウィーンを題材にしたものを置くことで、当時のウィーンの空気感が甦るような気がします。そういった選曲趣旨を活かすよう努めました。