
モハメド・アリ かけがえのない日々 [DVD]
1997年に公開された、1974年のいわゆる「キンシャサの奇跡」を描いた
ドキュメンタリー映画である。
「奇跡」と呼ばれるように全盛期を過ぎたモハメド・アリが
若きチャンピオン、ジョージ・フォアマンに挑戦し、大方の予想を覆し
KO勝ちでタイトルを奪取するのである。
アカデミーのドキュメント部門で賞を獲ったと言うことで
初見はレンタルビデオだったと思う。
もちろんアリの全盛期など知らないし
「蝶のように舞い、蜂のように刺す」ボクシングを見たことはない。
ただ、ベトナムの徴兵を拒否しライセンスを剥奪され、
全盛期を棒に振ったという話は何かで聞いていた。
なもんで、この映画もカシアス・クレイ時代から徴兵拒否、
「キンシャサの奇跡」に至るまでのドキュメント化と思いきや、
ほぼほぼ「キンシャサの奇跡」だけを描いている。
自らの衰えを自覚していたアリはフォアマンに対して
罵詈雑言を浴びせ心理戦を仕掛ける。
イスラム教に改宗していたアリは地元の住人たちにも溶け込み、
虐げられた人々のヒーローとなり
「アリ、ボマイエ!(アリ、あいつを殺せ!)」と声援を受ける。
一方のフォアマンは憧れだったアリに罵られ、
住民たちは小さな子供たちですら「アリ、ボマイエ!」と連呼する。
同じアフリカンアメリカン(黒人)なのになぜ…?
フォアマンの優位は疑いようが無かった。
だが、フォアマンは一刻も早くキンシャサを立ち去りたかったに違いない。
初っ端から力任せにスパート、アリはなんとかブロックして立っていた。
そしてフォアマンのスタミナが切れた第8ラウンド、
アリが一気にスパート、奇跡を起こすのである。
口が達者なのはアリのスタイルではあるが、
このときばかりは若いフォアマンに対する老獪な作戦だったとしか思えない。
「奇跡」は起きるのではなく起こすものなのである。
しかし、奇跡はここだけでは終わらないのである…