サマーキャンプ⑤:世界について考えてみよう
こんにちは、フィリピン事務局やすえです
こちらでは、今日から新学期始まりました。
街の中でも「BACK TO SCHOOL SALE」(新学期セール)と宣伝をするお店が目につくようになってきました。
当会支援先でもあるジャイラホーム(孤児院)、ニニョスパグアサセンター(盲聾学校)、タタッグ(働くこども支援)も新学期に向けて慌しく活動が続いておりました。
オロンガポ市内は通学のために大渋滞。
制服を着た笑顔のこども達が街中に溢れていました
さて、今回も引き続きサマーキャンプで行われたアクティビティについて紹介したいと思います。
今回のアクティビティ「世界について考えてみよう」は、シチュエーション・アナリシスという分野に属するアクティビティです。
(◆シチュエーション・アナリシス(状況分析)
→参加者がある状況について話合いながら深く考え、起こってしまった事柄の原因等を分析し、解決の道を探っていく活動)
TATAG代表のビルさんの提案により、私もリード・パーソン(進行役)としてアクティビティを一つ担当させてもらうことになりました。
しかし、もちろんトレーニングも受けておらず、タガログ語も十分ではない私では力不足ですので、ストリートエドゥケーターやビルさんに協力してもらい行いました。
またアクティビティについては、私自身が、以前参加者として日本で参加したアクティビティを元に、ストリートエドゥケーターと話し合い、フィリピンのこども達にあわせて作り直したものです。
2日目の朝食。
何も知らされずに、3つのテーブルに分かれて席に着くこども達。
各テーブルごとに朝食が運ばれて来ました。
☆今日のメニュー☆
アロスカルド(しょうが風味のおかゆ)
ゆでたまご
ティナーパイ(パン)
マイロ(ココアのような飲み物:日本ではミロと呼ばれています)
「では、これが今日の朝ごはんです。みんな残さず食べましょう。
質問は受け付けません。すぐに次のアクティビティが始まるので、みなさん急いで食べましょう。」
きょとん、とするこども達
「はい、食べてくださーい」というエドゥケーターやコミュニティオーガナイザーの急かす声で、それぞれのテーブルで、配られた朝食を食べ始めました。
実は、各テーブルで配られたごはんの量が違います。
グループ①人数分食事が用意されたテーブル
グループ②:人数分以上に食事が用意されたテーブル
グループ③:人数分以下の食事が配られたテーブル
わけがわからないまま食事をとるこども達。
少し時間がたった後で、いったん食事を止め、これも朝のアクティビティの一部であることが発表されました。
もう一度、足りない分の食事が配られ、全員でもう一度朝ご飯を食べました。
ごはんがちゃんと人数分あるとわかって、一安心
食事後休憩をとった後で、再びアクティビティ開始
テーブルに座った3つのグループに戻り、ディスカッションを始めました。
さぁー、みんなで考えよう
①テーブルに配られた食事を、各グループどのようにして食べましたか?
②ごはんを食べている最中、どのような気分、もしくは何を考えていましたか?
質問①のこたえ
グループ1:食事が人数分配られたグループ
・みんなで分けて食べた
グループ2:食事が人数分以上配られたグループ
・みんなで分けた後に、まだ食べたい人が食べた。少し余った。
グループ3:食事が人数分より少なく配られたグループ
・食べたい子が食べ、他の子は我慢をした。
一人で全種類食べた子もいれば、何も食べていない子もいた。
質問②のこたえ
グループ1:食事が人数分配られたグループ
・驚いた
・楽しかった
・勉強になった
・おいしかった
・食べ物が余っているグループが、足りないグループに分けていなかったので、腹が立った。
グループ2:食事が人数分以上配られたグループ
・おいしかった
・おなかいっぱい
・楽しかった
・他のグループがかわいそうだった
・全部食べるのに必死だった
・ごはんの量が違うとは気づかなかったので、何も考えなかった
グループ3:食事が人数分より少なく配られたグループ
・悲しかった
・驚いた
・不公平だと思った
・どんな時でも分け合うことが大事だと思った
・他のグループは食べ物がいっぱいだったので、腹が立った
・自分が食べることしか考えてなかった
グループ1の中学生の女の子が、「食事をしながら以前学んだことを思い出した」と話してくれました。
フィリピンでは、国内の富の半分を、一部の富裕層が所有しているそうです。
残りの富の半分以上を中層階級が分け合い、その残りを半数以上の貧困層で分け合っているそうです。
これは世界に置き換えても、同じようなことが言えます。
世界には、豊かな国、貧しい国、様々な国がある。
同じ世界の人なのに、捨てるほど食べ物があり、食べすぎの病気に悩む人もいれば、今日食べるのが精一杯で、栄養不足に悩む人や、飢餓により亡くなっていく人達もいる。
だけど、そういった格差や不公平な分配は、国に焦点をあてても同じような状況がある。
日本でも、贅沢な生活を楽しんでいる人もいれば、その日暮らしの人も多く、ホームレスの問題もある。
経済的に豊かなイメージを持たれるアメリカでも、スラム街は存在し、貧困を理由とした犯罪も絶えず起こっている。
世界の中では、「中進国」と位置づけられるフィリピンにも、富を支配し裕福な生活をしている政治家もいれば、1日1食の食事もままならず、栄養失調や病気にかかるこどももいる。
世界には、不公平なことがたくさん起こっている。
そして、こども達に問いかけました。
「さっきの朝食のとき、配られたごはんを見て、不公平だと感じた人はいるかな?」
その問いに多くのこどもが手を上げました。
「じゃあ、少ししかごはんが配られていないグループに、自分のごはんを分けようと思った人はいるかな?」
2人のこどもが手を上げました。
「じゃあ、なぜ実際にはあげなかったんだろう?」と質問は続きます。
2人の答えは、勝手にあげたら怒られると思った、思っただけで実際にはできなかった、というものでした。
「そう、実際には、おかしいと思っても、みんな自分のことで精一杯。
行動を起こそうと思っても一人の声じゃ小さすぎる。
でも、今の状況がおかしいのはわかってる。
じゃあ一体どうしたらいいんだろう?みんなで考えてみよう!」
後半のアクティビティへ続きます!