深海ジギング・タックル考察の続編を記載します。
前回、記事を書きながら仮説の検証を進めたく急遽アブラボウズ釣行に向かいました。

主なテーマは以下です。

1.ULTとスーパーファイヤーラインの比較
2.アブラボウズ捕獲に必要なタックルの強度

※なお、全て私の仮説に対する主観を含めた検証になりますので、読んでくださる方の為に、敢えて最終的な結論部は避けて記載します。ご自身で確かめられるのが最も楽しく、最も正確だと考える為です。

1.ULTとスーパーファイヤーラインの比較
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まず1についてですが、結論は『感度はULTが確実に勝る』です。しかし、これだけでラインを選んでしまうと苦戦する事になります。ラインの断面形状、そして組成について目を凝らして頂けると、どのシーンでどちらのラインを使用するのがより良いか、は分かります。
ちなみに、今回の釣行では2本のアブラボウズを捕獲しましたが、1本はULT、もう1本はスーパーファイヤーラインでした。ヒントは『潮の素直さ』と『船頭の流し方』にあります。

2.アブラボウズ捕獲に必要なタックルの強度
タックルの強度ですが、アブラボウズのアベレージサイズである30〜40キロを想定しての強度になりますので、予めご了承ください。
今回言及する『タックル』は、『メインライン』『リーダー』『アシストフック』『リール』の強度です。

★メインラインの強度
スーパーファイヤーラインなら1.2号、ULTなら1.5号で上げられると思います。しかしながらこれは、
1『ラインは新品で傷がない』
2『適切なテンションでリールへストックしている』
3『ノットは100%以上の結束強度が出せる』
4『周囲のアングラーと絶対にお祀りしない
   (10t以上の船に、1〜3人以内で乗船)』
5『ファイト中は船頭がアシストしてくれる』
6『大物とのファイトを十分に理解』
している前提になります。このどれかの条件が揃わなければ、上記のライン仕様では捕獲率はかなり低くなるかと思いますのでご注意ください。
ちなみに、上記の1〜6全ての条件が揃っていない場合、ラインは4号をお勧めします。

★リーダーの強度
ここは私なりの結論を書きます。この季節の南伊豆のアブラボウズ(産卵の為に浅場に乗っ込んで来た個体が中心)は、基本的に根に潜る魚ではないと感じています。従って強度としては『ファイト中は』特に根ズレを意識する必要はないと思います。ファイト中に限定するのであれば、船頭がアシストする前提で『リーダーは1〜1.5ヒロ、メインラインの強度と同等のリーダー』で良いと思います。
不確定要素があります。
1『船頭の船の流し方は、ラインを立てる流し方か』
2『起伏の激しいポイントを流すか』
3『ジグは軽めのものを使うか、重めのものを使うか』
4『その日の潮は素直か、よれているか』
これらの不確定要素によって異なります。
上記はつまり、根掛かり要素が多いかどうかを問うものですが、根掛かり要素が多ければリーダーはメインライン以下の強度に、根掛かり要素が少なければメインラインと同等か保険をかけてやや強度を高くすることをお勧めします。根掛かりした時、慣れた人でも700〜800mの深海でラインをブレイクさせるのは極めて難しいですし、船の下側や後方のアングラー側に流れた場合はとても危険です。また、ブレイクした際にメインラインを飛ばすのが最も悪いケースですので、それを避ける意味でもリーダーはメインラインを少し下回る強度が使いやすいと思います。

★アシストフックの強度について
強度だけで考えれば、恐らくホールド7/0やNIQ PRO26の地獄仕様でも難なく上がるはずです。ブレードポイントなら最小の6/0、バーティカルヘビーの5/0、ASSの大鈎6/0で全く問題ありません。強度としては、です。他にも
1『ジグアクションによって水中トラブルは発生しないか』
2『アシストラインの長さによってファールフッキングしないか』
3『ジグの大きさによってファールフッキングしないか』
4『針の形状によってファールフッキングしないか』
という要素も考慮しなくてはなりません。
水中トラブルは絶対に避けなければなりませんので、それを防ぐためのアシストラインの長さ、張り(材質)、ゲイブの深さなどについて考慮しなくてはなりません。
ファールフッキングは身の柔らかいアブラボウズの場合、バラシの原因になりますので、ファールフッキングを誘発しない針の形状(ストレートorカーブ)、アシストラインの長さ、アシストラインの張り(材質)に加え、ジグの形状や大きさなどにも気を配る必要があります。

★リールの強度について
ファイト中のリールの強度だけを考えるのであれば、オシアジガーの2000クラスでも十分な魚だと思います。しかし、この釣りは(船頭のスキル、流し方やジギングに対する理解次第ですが)根掛かりが不可避な釣りと言えます。従って根掛かりした時にジグを外せなかった時は、ラインをブレイクさせなくてはなりませんが、その際にリールに力がないとブレイクさせるのが極めて困難になります。オシアジガーであればロック機能があるので乗り切れるように思いますが、それ以外のリール(ソルティガやブルーヘブンなど)を使用している場合、ドラグ強度が20キロ程度まで出せないと苦戦する可能性が高まります。何しろ深海700m以上(潮が悪い、或いはドテラ流しをするような船頭の場合は1000m以上も普通)のラインがでていますので、超低伸度のスーパーファイヤーラインでも35〜50mも伸びてしまいます。伸びたラインを巻き取りブレイクさせるのは、やはりパワーと強度のあるリールが必要だと感じています。


という事から、今の私のスキルに合わせるなら
《想定》
「1〜3月、南伊豆忠兵衛丸に5〜7人で乗船」
であれば、持ち込むタックルは以下の2つです。

タックル1
ジグ=スパイN 900〜1100g
フック=ASS 大鈎7/0
ライン=スーパーファイヤーライン3号1200m
リーダー=プレミアムマックス14号1ヒロ
リール=ブルーヘブンL120ハイギア
ロッド=マニアフェローズ48

タックル2
ジグ=スパンキー700〜900g
フック=ASS 大鈎7/0
ライン=スーパーファイヤーライン2.5号1200m
リーダー=プレミアムマックス12号2ヒロ
リール=ブルーヘブンL120ハイギア
ロッド=ハイピッチジャーカー501

忠兵衛丸は19tと非常に大きく風の影響を受けやすい事もあり、船頭は基本的にジグを引きずり回すので、根掛かりは不可避です。潮もあまり良くないことが多いため、1日に1〜3回は根掛かりを覚悟していきます。0は無理でも少しでも根掛かりを防ぎたい、という考えでブレードポイントのようなストレートポイントではなく、若干カーブが掛かっている大鈎を更に少し内側に曲げて使用します。ブレードポイントも曲げれば良いのですが、とにかく硬いので曲げるのは相当至難なため、ASS大鈎を起用しました。

ご参考と備忘までに。

次回は家内がチャレンジした深海の電動ジギングについて記載する予定です。
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