気候変動問題は毎年のように起きる集中豪雨とそれによって引き起こされる河川の氾濫によって身近な問題として認識されるようになりました。
「想定外」の降水量が頻繁に見られるようになって日本国内では様々な河川での防災対策が見直されているようですが、世界では逆に水が足りない事態が大問題になっています。
世界古代文明のひとつであるメソポタミア文明を育んだチグリス・ユーフラテス川流域はトルコ、シリア、イラクを流れる広大なエリアですが、上流のトルコ山岳地帯での降雨量が減少してきたことによって中流域での農業用水不足が始まり、それを確保するためのダムや用水施設が建設されるとさらに下流の水は減るというスパイラル状態にあります。
聖書にあるノアの箱舟は大洪水の記憶であるとも言われているようにかつては度重なる洪水被害に苦しんだこれら2つの川でも上流でのダムの建設が進んだ結果、洪水よりも渇水が喫緊の課題となってしまいました。
もともと政治的に不安定なこの地域に水不足という新たな紛争の種が生まれたことは世界の安全保障問題にとっても大きな懸念となっています。
同様な懸念はインドシナ半島を南北に流れるメコン川でもすでに起きています。ヒマラヤ山脈に源流を持つメコン川は中国雲南省から、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナム、タイと多くの国に恵みをもたらしてきましたが、ここ数年顕著な水位の低下が多国籍間の利害の対立をもたらしています。
水位低下の主たる原因は上流部での降雨量低下ですが、中国国内でのダム建設が水量減少に輪をかけているとして報道され下流域の国々との対立が明らかになっています。
古代エジプトにおけるナイル川、古代中国における黄河の例を引くまでもなく大河は流域の農業生産を支える豊かな流れであると同時にその治水は国を治めるものにとっての最重要課題でありました。
現在の土木技術は「治水」の問題は解決したものの、多国間での水利権の調整という大きな課題に直面し、新たな次元での「治水」に取り組まざるを得ない状況にあるようです。
株式会社アクティオ
代表取締役 遠藤薫
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