ニューヨークの国連本部でのHow dare you! と環境問題に消極的な世界の指導者たちを罵倒するスピーチが話題となったスウェーデンの高校生グレタ・トゥンベリさん。彼女の行動力については称賛が広がる一方で彼女の極端な思想や彼女を取り巻く大人たちに対しては反対意見も多く寄せられています。

 

グレタさんは二酸化炭素を大量に排出する飛行機には乗らない主義なのでヨットで大西洋を渡り、ニューヨークまで来たものの、ヨットの損傷が激しいために、ヨットでの帰国は断念せざるを得ず、同行者2名はすでに飛行機で帰国してしまったそうです。これではただのパフォーマンスに過ぎないのではないかと批判する向きも多いようです。

 

私は彼女のスピーチの内容よりも彼女の表情や身振りに注目しました。まるで宗教改革を訴える聖職者のように見えたのです。彼女の鬼気迫る表情こそが、堕落したカトリックを糾弾したルターやカルヴァンに通じる一種の狂気じみた信念のように映りました。

 

北ヨーロッパで広まったプロテスタンティズムには質素な暮らしを尊び規律正しい暮らしを実践するなかに信仰を見出す特色があります。スウェーデン出身の彼女にはそもそもそのような家庭環境や素質があるのかもしれません。

 

しかしながら、環境保護活動家の中には反捕鯨団体のグリーンピースのように信念のあまり過激な行動に出る人々がいます。多くの日本人が彼らの「過激さ」にはなじめないと感じているのではないでしょうか。

 

グレタさんを批判する意見の多くは彼女が環境問題の複雑な側面を十分に議論せずに若者たちの怒りを駆り立てる感情的で攻撃なアプローチをとることと、彼女の親や環境問題活動家が彼女を(特にその特異な気質を)自分たちの活動に利用していると思われる点に言及しています。

 

そもそも、ブラジルやインドネシアではいまだに焼き畑が大規模に行われていますし、中国、インドでは石炭火力発電が大量の二酸化炭素を排出しており、途上国が排出する二酸化炭素量は先進国の様々なエコ対策からもたらされる排出量の削減幅とは比較にもならないほどです。

 

実は地球温暖化問題の難しさは南北間の格差問題にあるのです。

 

過去に化石燃料によって経済発展を実現した先進国に対し、途上国は二酸化炭素排出量制限の猶予を求める対立が続いているのです。

 

環境保護団体はエモーショナルに地球の危機を訴えるだけでなく、先進国と途上国の対立要素を現実的に減少させる実務的な議論にフォーカスすることこそ今求められているのではないでしょうか?

 

私が高校生の頃、ローマクラブが1972年に発表した「成長の限界」を読み大きな衝撃を受けました。

 

食料問題と環境問題を本気で解決するには資本主義の疾走を止めなければならないと感じたと同時に「我々は今手に入れている便利な生活を捨て、経済の成長を捨ててまで環境問題に取り組むことができるのであろうか?」との大きな疑問を抱きました。

 

グレタさんが共感を得ているのは主に環境問題の世代間対立の問題です。今後彼女が本当に地球を救う規模の活動を実現するとしたら、南北間の対立も含めたトータルな環境保護の方向性を示すことが必要になるでしょう。

 

 

株式会社アクティオ

代表取締役 遠藤薫

 

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