アメリカの黒人女性歌手ビリーホリデイ(Billie Holiday 1914 to 1959) の代表曲にStrange Fruitという曲があります。

 

1939年(昭和14年)に発表されたこの曲は次のフレーズで始まります。

 

Southern trees bear strange fruit,
Blood on the leaves and blood at the root,
Black bodies swinging in the southern breeze,
Strange fruit hanging from the poplar trees.

 

文字通り、人種差別主義者によって殺された黒人の死体が木からぶら下がっている光景を歌ったものです。

 

5月25日にミネソタ州ミネアポリスで起きた白人警察官による黒人容疑者への暴行致死事件は瞬く間にアメリカ各地で人種差別反対を叫ぶデモンストレーションが広がり、その一部は過激な暴動へと発展しました。そのニュースを見た時に思い出したのがこの歌でした。

 

ビリーホリデイの歌声はYouTubeで簡単に見つけることができますが、この歌を歌う彼女の声は深い悲しみに満ちています。第二次世界大戦前後の時代において彼らにとって精いっぱいの抗議がこの歌だったのでしょう。

 

その後、アメリカでは1960年代の公民権運動(キング牧師が有名です)を経てリベラリズムが広がり、映画Mississippi Burning (アラン・パーカー監督 1988年公開)Green Book (ピーター・ファレリー監督 2018年公開)などアメリカの人種差別を背景にした映画も多く作られました。

 

それらの映画作品は高い評価を得ていただけに、アメリカ社会は大きく変革したのだと思い込んでいた私は、実社会においてはまだまだ根深い人種差別が残っていると思い知らされました。

 

その一方で過激化する反人種差別運動に対しては批判的な声も登り始めています。暴徒化した一部の人々が商店の破壊や略奪を行なったことは勿論ですが、初代大統領ジョージ・ワシントンと南北戦争で奴隷解放を訴えたアブラハム・リンカーンまでをも奴隷制肯定者と決めつける人たちについても行き過ぎだと批判する声が出ているのです。

 

米ナショナル・フットボール・リーグのワシントン・レッドスキンズについてはそのチーム名がアメリカ先住民の赤い肌を意味することからチーム名変更の運動が始まり、チームスポンサーであるフェデックスは出資者としてチーム側に名称を変更するよう申し入れをした結果、チームはチーム名とロゴの変更を決めたと発表しました。慣れ親しんだチーム名やシンボルマークを手放したくないと考える昔からのファンも多いようですが、チームはスポンサーや社会的風潮に迎合せざるを得なかったのでしょう。

 

大統領選挙を前に民主党はジョージ・フロイド事件をリベラリズムの高まりに利用し、その結果として社会は人種問題を追及する団体や世論に忖度しているように思われます。

 

過剰な忖度はもともとトランプ大統領の登場を助けたと言われているポリティカル・コレクトネス(人種や性別、宗教による差別を過度に意識した表現や表記修正の動き)に反感を感じる人々には行き過ぎと映るはずです。

 

コロナ禍のなかでも大統領選挙を意識した政治的駆け引きはますます激しさを増しています。共和党も民主党もフェイクニュースの応酬を繰り広げていくでしょう。

 

前回の選挙ではニューヨークやカリフォルニアの世論調査や主要メディアはトランプ当選をあり得ないこととしていました。

 

広大なアメリカのサイレントマジョリティが何を考えているのかを知ることはメジャーなメディアの情報だけでは不可能だということを前提にニュースに接する必要がありそうです。

 

株式会社アクティオ

代表取締役 遠藤薫

 

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