いやもう、見終わったあと、普通に寂しかったですね。
「ああ、終わっちゃったなあ……」っていう感じがかなりあって、そこは結構きました。
でもその一方で、ちょっと思ったのが、「あれ、ここ急ぎ足じゃない?」みたいなところもあって、そこは正直ありましたね。
なんかもう少しじっくり見たいところもあったというか、「あ、もうそこ行くんだ」って思う場面はちょこちょこあった気がします。
ただ、それでもやっぱり思うのは、これを一部と二部に分けたのはほんと正解だったなってことですね。
いや、これ1本で全部やってたら絶対もっと大変なことになってたでしょっていう。
たぶん展開の速さがさらに加速して、「いや待って待って」ってなる未来しか見えないんですよね。
そう考えると、「ああ、二部作にしてくれてよかった……」ってかなり思いました。
むしろ観終わってから、「これ一作に収めるの無理だわ」ってすごく納得しましたね。
それくらいちゃんと重さのある作品だったなと思います。
あと、これ自分でもちょっと反省なんですけど、最初は正直、そこまでなめてたというか、
「まあミュージカルだしなあ」
みたいな気持ちはちょっとあったんですよね。
なんかこう、古臭いって言うと失礼かもしれないけど、ちょっとクラシック寄りなのかなとか、そういう先入観が自分の中にあって。
でも実際観たら、いや全然そんなことなくて、普通に「すみませんでした」って感じでした。
一作目の時点でもかなり良かったですし、「あ、これちゃんと強い作品だ」ってなったんですけど、二作目まで観たらもう完全に認めるしかないというか、
「ウィキッド、めちゃくちゃちゃんとしてるな……」
ってなりましたね。
ミュージカルだからってちょっと軽く見てた自分が恥ずかしいまでありました。
で、やっぱり一番印象に残るの、グリンダですよね。
いやほんと、グリンダ、二部作通して見てもだいぶヤバいなって思いました。
これネタバレをあんまり踏み込みすぎるのもあれだから濁しますけど、
「いやいやいや、恋のためにそこまで行く!?」
って思うところがあって、そこはかなりゾッとしましたね。
なんというか、ただ可愛いとか華やかとか、そういうだけじゃ済まない怖さがあるんですよ。
あのキラキラした感じの奥に、かなり重たい感情が沈んでる感じがして、そこはほんとにおぞましいというか、怖かったです。
でも逆に、そこまで行くからこそグリンダって印象に残るんですよね。
「あ、この人ただ明るい人気者キャラじゃないわ」ってなる。
ただ、そこがまたうまいなと思うのが、グリンダって別に単純な悪役でもないんですよね。
そこがほんと良かったです。
なんか雑に「この人が悪です」みたいにしてないというか、ちゃんとエルファバのことを思ってる部分もあるし、恵まれない人たちに対しても見てないわけじゃない。
ちゃんと優しさもあるし、ちゃんと迷いもあるし、ちゃんと人間っぽい。
だからこそ余計にしんどいんですよね。
もし完全に悪だったらもっと分かりやすいんだけど、そうじゃないから、「うわあ……グリンダも分かるんだよな……でもなあ……」ってなる。
この“でもなあ”がずっと残る感じが、すごく良かったです。
で、エルファバですよ。
やっぱりエルファバは一作目の頃からずっと理不尽なんですよね。
「魔女」って呼ばれて、見た目や力だけで勝手に決めつけられて、勝手に怖がられて、勝手に悪いことにされて。
いや、だいぶひどいなって普通に思いました。
もう見てて「いやいやいや、それはこの人が悪いんじゃないだろ」って何回もなりましたし、
とばっちりっていう言い方でも足りないくらい、雑に傷つけられてる感じがあって、そこはかなりしんどかったですね。
だから二作目でさらに敵対されるような流れになっても、こっちとしては「もうやめてくれ……」って気持ちでした。
なんかもう、ただ悲しいとかじゃなくて、「頼むからこの人をちゃんと幸せにしてくれ」っていう願いに近かったです。
だからこそ、フィエロ王子と結ばれたのは、いやほんと良かったですね。
あそこはかなり救いでした。
「よかった……マジでよかった……」って、かなり素直に思えたところでした。
全部が全部丸く収まる話じゃないし、失ったものも多いんですけど、それでもエルファバにちゃんと幸せが残ったって思えるのは大きかったです。
あれがなかったら、自分の気持ちもちょっときつかったかもしれないですね。
ただまあ、グリンダ側から見ても、そりゃしんどいよなっていうのもあるんですよね。
そこがまたこの作品のしんどくて良いところというか。
「取られたからかわいそう」とか、そういう単純な話でもないし、立場の問題もあるし、本人なりの葛藤もあるし、背負ってるものもある。
だから、グリンダの心情もちゃんと描いてくれたのはすごく良かったです。
どっちか片方だけが全部悪い、で終わらないから、見終わったあともいろいろ考えちゃうんですよね。
すっきりしきらない感じが逆にいい。
ああいう後味って、やっぱり強い作品だなって思います。
あと、『オズの魔法使い』につながる部分もやっぱり面白かったですね。
臆病なライオンとか、木こりとか、カカシとか、ちゃんとああいう形でつながっていくんだっていう。
でも、それを見れば見るほど、
「え、じゃああの有名な物語の裏側で、こんな複雑で重たいこと起きてたの?」
ってなって、なんか気持ちがだいぶ複雑になるんですよ。
昔はもっとシンプルな童話とか冒険譚みたいな感じで見てたのに、ウィキッドを通すと一気に陰影が増すというか。
『オズの魔法使い』そのものの見え方まで変わる感じがあって、そこはかなり面白かったです。
でも面白いだけじゃなくて、ちょっと切ないんですよね。
「表から見える話と、裏で起きてた話って全然違うんだな」っていう、その重さがありました。
あと個人的には、やっぱりこれくらい大人向けの感じの方が好きですね。
ウィキッドって。
原作、結構えぐいじゃないですか。
図書館で読んだときも、「うわ、思った以上に重いしグロいし、なかなか容赦ないな……」ってなった記憶があるんですよ。
だからそれを思うと、今回の映画版ってかなり見やすくしてあるし、ミュージカルとしてちゃんと美しく着地させてるなって思いました。
かなりハッピーエンド寄りというか、少なくとも救いが見える形にはしてくれてる。
そこはやっぱりミュージカルの良さでもありますよね。
ただ一方で、これオペラで見てみたいなって気持ちも少しあります。
いや、絶対もっと悲劇っぽくなると思うんですけどね。
でもウィキッドって、誤解される苦しさとか、運命に飲まれていく感じとか、そういう悲劇性もかなり強いじゃないですか。
だから、もしオペラ的にもっと重く、もっと悲しく、もっと逃げ場なくやったら、それはそれで相当合うだろうなって思うんですよ。
ミュージカル版はミュージカル版で本当に好きなんですけど、
「別ルートとして、悲劇全振りのウィキッドも見てみたいな……」
っていう気持ちは結構ありますね。
とはいえ、ミュージカルだからある程度明るい方向に持っていくのは自然だと思います。
もちろんミュージカル全部がハッピーエンドってわけじゃないんですけど、それでもやっぱり“華やかさ”とか“救い”とか、そういうものを期待しちゃうジャンルではあると思うんですよね。
どうしてもディズニーっぽい印象も重なるし、
「ミュージカル=最後に少し光があるもの」
みたいなイメージは、自分の中でもやっぱり強いです。
だから今回の着地も、すごく納得感がありました。
そんな感じで、二部作を見終わって、寂しいのは寂しいし、「もうちょいここ見たかったな」ってところもあるんですけど、でもそれ込みでかなり満足でした。
ほんとに、「観てよかったなあ」って素直に思える作品でしたね。
見終わったあとにスッキリした感じもあるし、同時に余韻もちゃんと残るし、
「ああ、ちゃんと大きい作品を観たな」
っていう実感がありました。
正直、最初ちょっとでも「ミュージカルだしな」って甘く見てた自分に対しては、
「お前、ちゃんと観てから言えよ」
って言いたいです。
それくらいちゃんと力のある作品でした。
制作陣にはほんとにありがとうって感じですね。
ここまで本格的に、ここまで丁寧に、しかも二部作でしっかり映像化してくれたのはかなり嬉しかったです。
いやもう、ほんと、最高のミュージカル映画でした。
終わって寂しいけど、それでも「観られてよかった」ってちゃんと思える、かなり良い作品だったなと思います。