金正恩の正体: 北朝鮮 権力をめぐる死闘 (平凡社新書)/平凡社

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星星星

北朝鮮の独裁者の金正恩が父親の金正日の後継者として国の実権を握る前後の情勢について書かれた本です。ただし情報のソースが明らかにされていないものもあるので、どこまでが確実な情報なのかが?ではありました。幾分著者の憶測も含まれているようです。

現在の北朝鮮は、やっぱり崩壊の危険度が増しているようですね。金正日は自分の死期が近づいた頃、末息子の正恩を後継者として権力の継承を行いました。しかし、若干28歳の正恩に世界最貧国を統治していく方法を伝授する十分な時間はなく、また正恩にそのような能力が十分に備わっていたとはいえず、正日没後の北朝鮮はますます危険度を増していきました。

新たな若き独裁者である正恩を取り巻く側近たちの腐敗ぶり、権力を握った者たちが当然のように権益を独り占めにしている様子、失脚すれば粛清されるために、それを恐れての裏切りや姦計などなど、具体的に人名をあげて述べられています。中国の新体制が2012年に始まり、習近平が北朝鮮に対して極めて冷徹な態度でのぞんできました。金正恩が行き詰った状況を打開するためにミサイルを発射したり、核実験をしたりする度に、かえって中国との関係が悪化してきたようです。そもそも北朝鮮は自国だけで生き延びていくことができず、他国(主に中国)からの貿易と援助がなければ崩壊してしまうような脆弱な国です。その中国が北朝鮮をもはやバッファーゾーンとしての価値よりも、自分に核ミサイルを向ける無謀で身の程知らずな国とみなしはじめています。中国と韓国との急接近もこの文脈で理解できます。「朝鮮半島を統一するなら、北だろうが南だろうが構わない。38度線以北にアメリカ軍さえ来なければ。」と中国が考え、韓国もそれに乗っかっていこうとしているのが最近の中韓蜜月状態の背景にあるのだと読めます。そして正恩は隣の大国(中国)に生殺与奪権を握られ、大きな恐怖心を抱いているようです。

どれほどミサイルを打ち、核実験をするぞと脅してみても、アメリカは北朝鮮に振り向いてくれません。血盟同盟関係にあったはずの中国は経済制裁をしてくるし、韓国は左派政権時代には太陽政策を行い、援助もしてくれていましたが、現在の朴政権にその期待はできません。ロシアにも支援を期待できないとなると、あとは日本との関係を改善するしか生き延びる道はありません。そして拉致被害者を人質として日本から援助を(そして国交回復を)引き出そうと考え始めました。

日本としては拉致被害者を何としても取り戻さなければなりません。今は最大のチャンスなのです!そのことがよくわかる本でした。

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