私たちが初対面のクライアントさんとコーチングを始める時は必ず「コーチングのセットアップ」をします。
セットアップとはこれから始まることが「コーチング」であることの確認と、同意を取ることです。
「そんな大仰な」とは思わないでください。とても大切な事なのです。
かつて、こんな方がおられました。
企業で、幹部職員、希望者5名のコーチング開始場面です。
1人目の方が、部屋に入るなり
「私は忙しんです。5分で終わらせてください」
キタ――(゚∀゚)――!!強烈な先制パンチです。
良くあることですが、希望者のはずのコーチングが強制的に上司から行かされるケースがあります。
さて、どう対処したか?
「そうですか。お忙しいのですね。しかし、5分ではコーチングを終わらせることが出来ません。後日、別な時間を取りましょうか?」
「いや、日を変えるほどではないので、じゃ、このまま、始めてください。」
しかし、明らかにしぶしぶ。
そこで、
「そうですか。ありがとうございます。○○さん、コーチングはコーチングを受けたいとの意思があって初めて成り立ちます。もし、受ける意思がないのならご辞退いただくのも選択肢ですが、如何なさいますか?」
(ここで、この時間がコーチングであることを明言)
「え!いや、そんなつもりはないので、始めてください」
明らかに、動揺されている様子。
「今回は、希望者の方にコーチンを受けていただくことになっているのですが、○○さんは希望されたんですか?」
「いや。私は希望なんかしていません。副部長が行けと言うから来ました。」
「正直にお話頂いてありがとうございます。コーチングは受けたいと思うクライアントさんとしたいと思うコーチがいて初めて成立します。どうしても、乗り気でないのなら、私から部長さんには上手く○○さんを外すよう言いましょうか?」
「いえ、大丈夫です。受けます。」
(「5分で終わらせてください」の真意を探り、逃げ道を探る)
「そうですか。もし、よろしければ、今日、早く帰らなければならない理由があったら教えてください。」
「私は遠隔地から単身赴任してきています。今日は金曜日で、自宅に帰ります。ここから家まで3時間かかります。」
「そうだったんですか。それは早く終わらせたいですよね。今後の日程では出来るだけ金曜の夕方は外すように事務と調整します。貴重な金曜の時間を申し訳ありません。」
(承認と、相手への気遣いを伝える)
「いえ、いえ。今日以外は時間がなくこの日を選んだのは私です。今日は、これがあるから仕事を切り上げてきました。実質的に帰る時間はいつもと変わらないと思いますので、気にしないでください。むしろ、失礼なことを言って、申し訳ありませんでした。」
「いえ。そんなことありません。コーチングはお互いの信頼関係があって、成り立ちます。何か気になることがあれば、いつでも仰ってください。」
「ありがとうございます。それでは、改めてよろしくお願いします。」
と、無事にコーチングがスタートしました。
そして、この方とは5人の中で、一番深くコーチングをすることが出来ました。
コーチングは「ティーチング」でもなく「アドバイス」の場でもありません。
その場はお互いが信頼関係があって初めて成り立ちます。
従って、私は1対1のコーチングでは必ず、誓約書をクライアントさんと交わします。
一部抜粋します。
コーチングとはクライアントの自己成長、自己実現を唯一最大の目的としてコーチとクライアントの間に結ばれるパートナーシップ です。
したがって、クライアントは決して受け身になることなく、 自らにとって最適なパートナーシップを築くべく、そのデザインに 主体的・積極的に関わっていくことが求められます。
その意味でも、クライアントはコーチングの進め方等に関して 改善してほしいことがあれば、時期を待たず率直にそれをコーチに 伝える責任を負い、一方のコーチはコーチングの原理を逸脱しない 範囲内で、各クライアントの個性に応じた進め方を追求する責任を負っています。
さらに、コーチはクライアントがコーチングの中で話した内容をクライアント本人の許可なく他言しないという守秘義務を負っています。
日常の部下とのコーチングにはこのような誓約書は必要ありませんが、
これぐらいの気持ちでコーチングは開始してください。