当て字
「永田・・・せい君?」
新学年の新クラス。最初の出席で、担任が俺の名前を間違える。毎年のことだ。
「・・・・・・・ひかる・・・です・・・」
俺は消え入りそうな声で訂正した。おしゃべりしてた奴らもピタリとだまったこちらを見るのが、空気で分かる。
「え?何だってぇ?」担任の奴。聞こえてるだろ、絶対。
「ひかるです!永田星(ひかる)!」クラス中に、知られてしまった。
後の奴の腹筋が痙攣してる音が聞こえそうだ。
「ああ、星って書いてひかるって読むの。ふーん。そうだね、星は光るよね。・・・・・・ご両親、何の仕事してる人?」
クラスが爆笑の渦に包まれた。笑ってないのは斎藤だけだ。
俺の親友。唯一心を許せる兄弟のような存在。
おれが信じられるのはお前だけだよ、野口騎士(ないと)。今年もお前と一緒のクラスになれて良かった。
そう思ったら、もう一人、笑ってない奴がいた。
あれは・・・米田皇帝(ぷりんす)!米田皇帝(ぷりんす)じゃないか!今年は奴も同じクラスだったのか!?
・・・・・・・いやごめん、お前の名前は俺でも笑うわ。
読める読めない以前に皇帝はどう考えてもプリンスじゃないし。
伝説の鈴木さん
新入社員の頃、課内で「伝説の鈴木さん」という名前がよく出ていた。
ある日、主任から「この書類、伝説の鈴木さんに渡してきて」と頼まれた。
「どこにいらっしゃるのですか?」と聞き返したら、
「伝説の鈴木さんなんだから伝説の部屋に決まってんだろ。3階の奥だよ」と言われた。
伝説の部屋という言葉にわくわくしながら3階の奥へ行くと「電気設備課」があった。