川上哲治氏が逝去された。
93歳だから大往生であろう。
川上氏といえば、われわれの年代にはやはりV9である。
私が少年時代に野球で遊び始めたのは、まさにV9も真っ只中の頃である。
当時、巨人は絶対的な存在であった。今より比べ物にならないくらい強かった。
かく言う私はアンチ巨人であった。
最初、父に巨人キラーと教えてもらったヤクルトが気に入り、直ぐ後にに大洋ホエールズのファンになった。
当時は、かなり巨人が憎らしかったものである。
しかし、不思議と川上氏にはそういう感情はおこらなかった。
当時たくさんあった野球マンガにも、川上監督はよく登場していた。
だから架空のイメージも我々の頭に注入されていたかもしれない。
今は、プロ野球自体にあまり興味を持たなくなってしまい、巨人にもほとんど敵対心は起こらない。巨人も憎らしく思うほど強い存在ではなくなってしまった。
思えば、V9時代の巨人は、「壁」のような存在だった。
どんなボールを投げつけても、はね返してくれる「壁」だった。
我々はそれに向かって敵対心を燃やし、努力することができた。
逆に、それに頼ることもできた。
その「壁」をつくってくれたのが、川上さんだったわけだ。
今、あたりを見回しても「壁」のような存在はない。
齢を重ねた私自身も、そうなっていない。
そのあたりが、今の日本の不安を象徴しているかのようだ。
今年の日本シリーズ、私は横浜ベイスターズの優勝以来、久しぶりにプロ野球に興味を持ったといっても過言ではない。
楽天という新しいチームが日本一になろうとしている。
対する巨人が日本一になれば、川上監督以来なのだという。
私はシリーズ当初、楽天に勝ってもらいたかった。
だが、訃報を耳にし、巨人にも勝ってもらいたい気持ちも出てきた。
今夜、決着する。
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