Currency Mix for Green Chemistry IV.

2022年1月28日、米De Gruyter でOnline出版された私の論文からの論考である。

 

このケースも、中国政府の「債務の罠」からの離脱に、公共貨幣が使えることを示している。

 

(公共貨幣とは、政府が直接発行する通貨のことで、従来、これは、硬貨の発行に限られている。ここでは、社会的に長期の大問題となる災害対策、公害、感染症、バブル崩壊時の対策などをするための選択肢として、提案している。)

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「一帯一路」を推進する中国による支援を受けたスリランカ政府は、多額のローンを借り入れ、

 

Hambantota港湾開発(2010年完成)、

Norochcholai 石炭火力(2011年完成)、

Mattala Rajapaksa国際空港(2013年完成)など

 

を実施してきた。

 

2010年代後半には、中国政府への債務残高は、US$9 billion (1兆円超)に達し、スリランカ政府の返済能力を超えることとなった。

 

そのため、2017年、スリランカのHambantota港湾局は、中国商業港湾企業が85%の株主となるJVを設立、そのJVと99年間リース契約を締結(対価:US$1.12billion:約1.3兆円)した。

 

開発途上国政府が合意する限り、いくらでも貸し付けるという中国政府の姿勢は、従来から問題である。

 

しかし、日米豪ASEANにとり、大きなポイントは、港湾の経営権が、中国側に99年間、委譲され、インド洋に面した戦略上重要な拠点が中国に支配された事実である。

 

IMFによると、2019年スリランカの外貨債務は、US$56billion(約7千億円)に達し、GNI国民総生産の69%になっている。

 

当時、スリランカを自国の権益圏と見るインド政府は、強い嫌悪感を示したが、中国政府の「債務の罠」は、従来、英仏などがトルコ他諸国を植民地化、または、外交上屈服させるために行った伝統的手法である。

 

中国政府の借款案件では、典型的に中国企業が請け負い、多数の中国人技術者・労働者を現地に連れてきて従事させる。

 

つまり、中国の人民元を現地政府に貸し付けているとは言うものの、プロジェクトが終わった時点では、貸し付けた通貨のかなりが、中国経済に戻っている。

 

スリランカ政府は、中国に返済できないとしても、中国政府が、公共通貨を発行すれば、帳簿内の手続きだけで、返済を受けたのと同じ効果である。(貸方;資本内の利益剰余金を増加すると同時に、借方;人民元通貨を増加する。ただし、中国政府への説得が必要である。)

 

他の方法として、仮に、日米欧(EU)の中央銀行がコンソーシアムで公共通貨発行を行えば、中国による「債務の罠」を無効化できる。

 

方法は、

1.日米欧の中央銀行が、公共通貨を発行する。

(各々、国債発行はないため、通貨発行の痕跡は、残らない。)

 

2.それらをスリランカ政府に貸し付ける。

3.スリランカ政府は、中国政府に支払い、返済を済ませる。

4.日米欧が、市場をモニタリングしながら、債権放棄する。

 

この債権放棄のスキームは、1990年代の日本を含めたOECD諸国の債権放棄と同様である。

 

当時、アフリカ諸国の国家債務が、大きくなり、

次々にHIPCs(Highly Indebted Poor Countries:重債務貧困国)と認定された。

 

しかし、

国々の医療、福祉、教育などを守るという人道的見地から、OECD諸国は、多額の債権放棄(途上国から見ると債務免除)を実施した。

 

2003年から2013年にかけ、日本政府の債権放棄額は、2兆1651億円になる。

 

この金額を大きいと感じるかも知れない。しかし、日本の国家経済の金融資産額は、8000兆円以上であることを知れば、少額であることが理解できるだろう。

 

 

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続きは、以下です。

 

 

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前段は、以下です。

 

 

2022年1月28日、米De Gruyter でOnline出版された論文

 

 

当記事(政府債務(160))では、通常の国債発行経由で政府が円通貨を得て、日米EUが協調して、中国政府に返済することで、中国覇権主義に対抗するものである。

 

以下は、日本政府の自国通貨での債務は、全く問題でないことを示すもの。