日曜日、NHKの朝の政治経済関係の番組に寄せられる視聴者からのツイッター内容に、不安になることがある。

 

それは、近代史への理解のない多くのコメントである。

 

以下は、渡部昇一著の「語源力」(英語の語源でわかる人間の思想の歴史)から。

 

(簡単のため、内容を維持し、省略、変更・前後させた。)

 

『ドイツが、第一次世界大戦の敗戦による多額の賠償金を、一生懸命に物をつくって売り、何とか返済していた当時、米国では、1929年にホーリー・スムート法が可決され、農産物を中心に、1千品目以上に高率関税をかけることとなった。

 

この万里の長城みたいな高率関税で、ドイツは、輸出できなくなり、ものすごい失業者が出て、その切迫感がヒトラーの台頭を促す。

 

重要な点は、米国の高率関税を課すホーリー・スムート法が発動後1年以内に、世界の貿易額が半減したということだ。

 

米国に応じて、イギリスとその植民地が ー(当時、世界経済の約4分の1を占めていた)ー は、オタワで英帝国経済会議を開き、米国と歩調を合わせてブロック経済に入った。

 

こうして、世界の貿易量が減り、世界的な大不況が始まった。

 

米国も輸出額は48%に、輸入量も57%に落ち込んだ。

 

大都市の至るところに失業者があふれるこの深刻な状況が、あたかも資本主義の終焉のごとくに見えた。

 

日本が大陸に進出したのも、大恐慌のために失業者があふれ、大陸に新天地を求めざるを得なかったという要素が強い。

 

鉄や石炭といった資源を確保するためには、手段を選んではいられなかった。

 

ヒトラーもムッソリーニもそうだった。

 

こうして、第二次世界大戦が引き起こされることになる。』

 

以上は、第2次大戦前の経済状況であるが、この反省に基づき、

 

1944年、ブレトンウッズ会議が自由貿易の重要性を認め、

 

大戦後の1947年、GATT(関税と通商に関する一般協定)が成立した。

 

よく人々は、戦争反対という。

 

しかし、その前提や原因としての経済環境の行方、それらを支える政策を監視する必要があるのではないか。

 

日本の歴史教育において最大の問題は、歴史を古代史から学習を始めることである。

 

是非、現代史、近代史から、より昔に向かって、学習をするような仕組みが必要であろう。

 

例えば、江戸時代の後期から、現代までを最初の一学期で、学び、その次は、戦国時代から、江戸時代の後期前までという方法が考えられるのではないだろうか。