「長野の家も売ってしまいたいの。残しておくと処分が大変で、子供に迷惑がかかるし。」
2023年の春先、母からこんな話があった。
長野の家は、30年程前に父と母と姉(1つ違い)の名義で購入したものだった。
お父さんは同意しているのか聞いた所、「何遍も言ったよ」と母。
早速、母より教えてもらった昔から付き合いのあった浦和の不動産会社より長野の不動産会社を紹介してもらい、3月、長野へ行く際に会って売却の話をする事になった。
長野はまだ寒さが残る中、不動産業者がセカンドハウスにやって来た。誠実そうで言葉を慎重に選んで話をする人だった。
母は長野までの道中、地元の工務店が、この建物なら1千万ぐらいと言った事を何度も何度も言って、期待していたが、不動産業者との会話では、具体的な売却希望額は言わなかった。
「買ってくれるなら、いくらでも良い」母は業者にそう言っていた。
不動産業者側もその場で金額の話はせず、「家をよく見させてもらった上で、改めて連絡します」と後日、電話を貰うこととなった。
売却代金の事は私の持ち物でもないので、不動産業者より母へ直接電話してもらう事にした。
2週間程経ち、不動産業者より電話が入った。
金額を母に伝えた所、母がかなり怒っている、との事。早速、母に電話して聞いた所、母に伝えた金額は300万円という事で、母が期待している額の1/3以下だった。
「二束三文で買い叩こうとして!」母は確かに怒っていた。
「いくらが希望なの?」(自分)
「最低限、土地代ぐらいはないと」(母)
「希望は倍ぐらいかな?」(自分)
「それぐらいはないとね。お前に任せるよ。」(母)
「じゃ、倍の600万円ぐらいでないと売れない、と言ってみるね」(自分)
早速、不動産業者に電話で希望額を伝えると、渋々「また検討してご連絡します。」という答えだった。
数日後、不動産業者より電話があり、「600万円で買わせて頂きます。」と了解してくれた。
私は安堵し、早速、母に業者が600万で了承してくれた事を伝えた。
ただ、母はそれでも不満だった様で、「そんなの当然でしょ。1000万の価値があるって言われているのに」と。これには自分も、ちょっとガッカリ。
とは言え、売るなら早い方が良いと、ゴールデンウィークに不動産業者に契約書類一式を受け取る為に長野へ行く事となった。