警察署を後にし、国道でタクシーを拾おうと思ったが、なかなかタクシーが現れなかった。


結局、ホテルまでは2km程度なので歩いて行くことにした。たまたま会社のPCを持ち帰っていて、その重さが肩にのしかかっていたが、構わず歩いた。少しでも早く、警察署から離れたかったからだ。


「お父さん、今晩は家には帰れないよ。駅前のホテルに泊まろう。」(私)


父は何かモゴモゴ言っていたが、よく聞き取れなかった。


夕食を食べていない事を思い出し、途中、コンビニで弁当を買った。


「お父さんは何がいい?」(私)


「俺はいらねえ。」(父)


自分だけ食べるわけにも行かないので、父の好きないなり寿司を買ってあげた。


(どちらが子供か分からないな)


駅前のホテルに着くと、もう夜10時近くになっていた。


もう一度、母に電話し、明日朝の予定を伝えた。


「お母さん、明日朝は6時前にお父さんを家に連れて行くのでよろしくね。」(私)


「うん、わかった。色々迷惑掛けるね。」(母)


「一旦、お父さんは実家に戻さざるを得ないけど、とりあえず、お父さんだけでも先に入れる施設を早く探そうね。」(私)


母との電話後、父と遅い夕食を食べた。


「お父さん、美味しい?」(私)


「うん、美味い。」


明日の朝が早い事、明日も仕事が忙しい事から、夕食が済むと早々に寝床に着いた。


父は時折、思い出した様に呟き寝ていない様だった。


「おまえのお母ちゃんは何処に行った。」


私は何も答えず、早く寝る事に努めた。


翌朝、朝5時頃起床し、身支度を整えるとタクシーで実家に向かった。


夜中の父の呟きで殆ど熟睡は出来なかったが、何故か気が張っていて目は冷めていた。


実家に着くと、母がいつも通りに迎えに出て来た。


「お母さん、大丈夫かな?」(私)


「お父さんは病気だと思って優しく接する様にするよ。」(母)


「週末にはまた来るから、その時、今後どうするか話そうね。」(私)


タクシーを実家の外に待たせていた私は父と母を実家に残してタクシーに乗り込んだ。


深く長いため息が自分にも聞こえた。