父親の様子がおかしいと感じたのは2016年の春、まだ寒さが残っている頃だった。
実家の母から電話があり、父が運転免許の認知症検査の練習問題を受けに行ってきたが、全然問題が解けず、運転免許が切れる父の誕生日(6月27日)までに認知症検査に受からないかもしれない、というものだった。
同じ会場に来ていた受験者が、練習問題がスマホに出ていた練習問題をやっていたのですらすら解けた、と言っていたとの事で、自分もスマホが欲しい、と言っている。携帯電話店にスマホ買い替えに連れていてもらえないか、という相談だった。
運転免許の認知症検査の問題は県警のホームページからダウンロードできるので、それをプリントアウトして持って行ってやることにした。
認知機能検査について - 埼玉県警察 (saitama.lg.jp)
私は現在は千葉県の浦安市に住んでいるが、埼玉県の浦和市出身で実家もまだ浦和にあり、両親2人で住んでいた。
浦安の自宅から浦和の実家まで電車で約2時間弱、練習問題を持参し、早速、父に解いてもらった。
驚いたことに、時計が読めない・・・。時計の針の位置が何時を指し示しているかがわからないのだ。
最初はふざけているのかもしれないと思ったが、いくら聞いても、実際の時計で説明しても理解できないのだ。
その後、北浦和の駅前の携帯電話店まで行き、父と母のガラ携をシニア向けのスマホに買い替える手続きへ連れて行った。
約30分ほど順番を待ち、今度は購入手続きに2時間近く掛かり、夜になってもまだ受付が終わらなった。
自分は夜、別の用事があり早く帰りたく、予め両親にもそれを伝えていたのだが、父がそのことを気にしていて、受付時間が長いことに苛立っていた。
ついに「いったい、いつまで掛かるんだ!」と大声を上げ始めてしまって、いくら制止しようとしても収まらない。
父は秋田出身。中学卒業後、大工一筋で多くの職人を使ってきたお山の大将のような人で、自分の思う通りにならないと大声を出すことは昔からあったが、この日の父はどこかおかしかった。
狂ったように、受付の若い女性スタッフに怒鳴り続けた。
結局、ついにその日にスマホは受け取らず、翌週、自分が受け取りに来ることとなった。