久しぶりの更新は、本のご紹介にしようと思います。
Twitter のタイムラインに流れてくる書評で見かけているうちに気になって手に取ったところ、久しぶりに良書に出会いました。
この本は、もちろん企業トップでもいいのですが、
個人的には若年層から中間管理職層くらいまでに強くお勧めしたい本です。
階層別研修の最後に推薦図書として、会社の書棚に置かれる1冊として、同僚や後輩への贈り物にいいかもしれません。
「突破する力」猪瀬直樹(著)
東京都副知事の著者が就職せずにフリーターとして過ごしていた20代。
やがて、作家となり自分への投資であったと振り返るような積極的かつち密な取材活動を続ける中で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど活躍。
小泉政権下で道路公団の民営化を推進、東京都副知事へ任命されるなど。
仕事と自分と真正面から向き合ってきたこれまでの体験から、閉塞状況を打ち破る心持ちや具体的な仕事の進め方について書かれています。
読了後、かなりの数のページに折り目がつけられ、かなりの言葉にマーカーが引かれていました。
以下、私の心の琴線に触れた部分や感じたことをご紹介しようと思います。
・「みんなで群れて夢を語れば、そこになんとなく希望が存在しているように見える。しかし、それは幻にすぎず、一夜明ければ酔いとともに消えていく。希望は、バーカウンターなどにはありはしない。ある種の孤独を抱え、徹底的に仕事と対峙した先に、ようやく見えてくるものなのだ。」
・「本当は孤独を抱える覚悟をできた人にしか、未来を切り拓くことはできない」
・「孤独を友として仕事と向き合った時間は、けっして自分を裏切らない。ギリギリまで自分を追い込めば仕事力が磨かれて、それが閉塞状況を打ち破る武器になる。」
確かに。
個人でやっていても、会社組織で仕事をしていても「孤独」を感じる瞬間はあると思います。
そこと前向きに向き合うこと。それが力になるということ。
自己啓発本を読んだり、異業種交流に顔を出したりすることは、それ自体は悪くありません。
しないよりはずっといい。
前向きな空気に触れてある種の高揚感を感じることは大切です。
ただ、そこに本当の夢や希望はなく、孤独と向き合って行動(仕事)に移して初めて、夢や希望に近づくのですよね。
胸に突き刺さりました。
・一見、無駄に見える経験をしたり、興味のない仕事を引き受けたりして、守備範囲を広げておくことも大事
所謂「T字型人間」的キャリア深耕について著者の体験も交えつつ書かれていました。
最近、私の周囲を見ていても感じます。実感として納得です。
・「たとえ周りから異端児扱いされても、新しい価値をつくり出すために絶えずチャレンジを続けていくこと」
・社会に出ると型通りの仕事だけでは評価されないし、型と違う部分はこちらから働きかけないと認めてもらえない。
・今の仕事とは別の世界を持つこと。
心が擦り減らないためにどのような心持ちでいくかの件。
まったく同感です。
・人生はトーナメント戦ではなく、リーグ戦。1敗をきっかけに途中退場するのではなく、粘り強く試合に参加し続けること。
・「大切なのは目先の収支にとらわれずに、いかに自分の可能性に投資できるか」
・「自分らしさ」を磨きこむ章 ~3自分に不利な空気を変える方法
ここでは人間心理の「同調行動」について、アメリカの心理学者アッシュの実験に基づき説明されています。
そうして、まず一人の味方を作ることその一人目の味方は論理とデータで説得するべきであると書かれています。
これはまさにその通り。
この件を読んでいて、思いだした映画があります。
「12人の怒れる男」
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父親殺しの罪に問われた少年の裁判で、12人の陪審員が評決に達するまで蒸し暑い一室で討論する様子を描いた傑作です。
全陪審員一致で有罪になると思われていましたが、たった一人の陪審員だけが、少年の無罪を主張します。やがて、初めは少年の有罪を信じきっていた陪審員たちの心が変化していきます。
この映画が、まさに「同調行動」、そしてそれをひっくり返す熱意と論理(戦略)について描かれています。
実はこの映画を題材に研修を作られているのが、何度かこのブログでご紹介している村山昇さん。
私も一度受けたことがありますが、いろいろと考えさせられるいい研修です。
ネタばれするといけないので、興味のある企業の教育担当者は、是非、自社の組織開発の研修プログラムの一環として導入を検討してみて下さい。
http://careerscape.weblogs.jp/about.html
・「強い欲望を持つことが、ストイックに生きるコツ」
・「手段は欲望を固定したあとで考えるべき」
・プレゼンの時は、キーワードでなくキーフレーズで書く。
・「成果主義だから結果さえ残せばいいんだ、というのは大間違い。仕事の結果を左右するのは、じつは日頃の小さな言動や立ち居振る舞いにかかっている」
「ブロークン・ウィンドウ理論」を用いて、小さな乱れを正すことの重要性を組織から個人まで述べています。
若かりし頃の自分の反省も踏まえて、納得です。
些細なことですが、職場環境の小さな乱れにも気をつけることが大切です。
床や壁の汚れ、備品の破損をそのままにしないこと。
なんでもないことですが、とても大切なことです。
・「無償の公共性」
「目先のメリットを追うのではなく、視野をもっと広く持って、周りとのオールウィンの関係を築いていく。」
これまでの人生を振り返って、「私が「この人のために」と思える人は「私心」がない人です。
私心がなく、ここでいう「無償の公共性」を持つ人間。
私自身、そういたいものです。
いろいろ書いてきましたが、著者自身の経験を交えながら仕事、人生の「壁」「閉塞感」を打ち破る気持ちの持ち方や具体的手法が盛りだくさん、気づきや思考の派生も多い良書でした。
<紹介図書>
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