5巻はレイが絶体絶命のピンチ、と言うシーンで終了し、鬼ヒキのまま突入した6巻。
レイは突如鉄火場に闖入してきた、怪物に騎乗した何者かに拾われ、九死に一生を得る。
助けられて向かった先の洞穴には、エマや子供達の無事な姿が。一体彼ら(彼女ら?)は何者なのだろうか、と言う疑問を読者に突き付けて来る。
冒頭からこれである。ストーリーテリングが上手い。
そして、明かされる、謎の救助者達の正体も明らかになる。
鬼やんけ!と言っても、我々人間にも色々な奴がいるように、どうやら鬼と言う怪物達も一枚岩では無いらしい。
少女らしきムジカと言う鬼と、その保護者らしきソンジュと言う鬼。彼らは食人はしないとエマ達に告げる。
別に利益がどうとか他の鬼がどうとか言う話では無く、本人の言う所の、単に宗教上の理由らしい。
ただし人以外は何でも食うがね、と脅しもキチンと入れて来る。じゃあ何故エマ達を助けたのかと言うと、生きた人間が珍しいからであり、それは興味にしか過ぎないと言う。
さっそく彼らと情報交換を始めるエマとレイ。あんな化け物がいるなんてここは地球じゃないのか?と言う質問に対して、ソンジュの答えはノーであった。
あれー?ここ、地球なんですねぇ。勝手に地球じゃないファンタジーな世界だったと思っていたが、そうでも無いらしい。
まあここが地球と言うだけで、世界がファンタジーである事に違いは無いのだが。
遥か昔、人と鬼は敵対し、お互いを狩り狩られるような関係であったと言う。そしてある時人間側が、「鬼を狩らないから人間狩るのやめてくんない」と言う約束事を締結させたらしい。
その時、人と鬼は別々の世界で暮らす事になり、エマ達がいるのは「鬼の世界」だと言う。
エマ達はそこから類推し、ウーゴ冒険記、つまり農園の外のガイドブックから、二つの世界をまたぐ人物が存在する、とあたりをつける。
目的地に到着する前に生き物を殺す経験をしたい、等とソンジュに頼み込む、少女ながら男らしい事を言い出すエマも成長している。
そして出会いがあれば当然別れもある訳で、ムジカとソンジュとは目的地付近で別れる事に。
人を食わない鬼だから良い奴らだったんだろうと思わせておいて、別れた直後の言葉がこれ。
「ソンジュは人間を食べたいのね」
「てめぇは食った事も食う必要もねぇからわからんのさ」
ヒエッ…食う気満々やんけ!
原初信仰の約束事、つまり最初の鬼と人間の約束がここで生きていたからエマ達は助かったのだ。
ソンジュは約束事をぶっ壊してくれるかもと言う期待をかけていた。
「もう一度食いてえよなぁ、腹一杯人間をよ」
物騒な事を言いつつ、彼らはフェードアウトしていく。
今後出会った時、友情とかに目覚めてくれていたら良いなあと言うのはムシの良い考えだろうか?
そしてエマ達は目的地でてんやわんやの後、地下を発見する。そこにはまた別の人間が――!と言う所で6巻終わり。
一体誰なんだこのオジサンは?と言うヒキで終わるので、続きを読まねばなるまい。


