文を書くのが好きです。

 

それが仕事になったらどんなにいいだろうと、いつしか思うようになっていました。人生には追い風が吹くことがあって、最初の風は、家を建てる時でした。住宅雑誌「LIVES」を愛読していた私の目に留まった小さな記事。そこには、「これから家を建てるあなたの体験をコラムに書きませんか」というようなことが載っていたのでした。

 

書きたい。

 

応募するしかない状況です。神のお膳立てだと思いました。応募メールを送ると、すぐに出版社の方から連絡があり、面接をすることになりました。その時持っている中で一番きれいな服を着て、生まれて初めて出版社というところに行きました。とてもドキドキしたのを覚えています。

 

編集長と副編集長が面接してくださり、少し話して拍子抜けするくらいすぐに決まりました。それもそのはず、書くのは私ではなく、ゴーストライターさんが話を聞いて書いてくださるということなのでした。後日、ゴーストライターさんが書いてくださった原稿が送られてきて、読みました。

 

違う。これ私じゃない。

 

でもプロのライターさんがもう仕事を始めているわけだから、後には引けない。ガマンしようかなと思いました。けれど、どうしてもどうしても、体がワナワナしてしまって、ダメなのでした。それは連載になる予定でしたから、ずっと不本意な気持ちでいるなんて耐えられなかったのです。とても勇気がいったけれど、出版社の方に連絡を入れました。

 

私に書かせてもらえないでしょうか。

 

編集の方がその時どう思われたのか、そしてゴーストライターさんは書いた原稿を素人にダメ出しされてどんな気持ちだったのか、今もわかりません。だけど、試しに一度書いてみますか、と書かせてもらえたのでした。

 

連載は始まりました。最初はいぶかしげに思われていたに違いないですが、2回目の原稿を出した時に、副編集長がおっしゃいました。

 

文章うまいですね。面白いですよ。

 

そして、何度目かの原稿を提出した時に、原稿料が倍に上がりました。

 

結果として、予定をオーバーして、家が建ったあともずっと連載は続き、三年か四年くらい続いたのでした。好き放題勝手なことを書いて、面白いと言ってもらえて、原稿料がいただける。こんな楽しい仕事があるのだなと、とても嬉しかったです。

 

書く仕事(2)に続く