泥のように眠る、って言葉を最初に考えた人天才だよなと先日まさに川の底に沈む泥になったような気分で目が覚めた時に思ったのですが、ちょっと調べてみたら、泥のように眠る、の泥はどろんこの泥ではなくて、水の中に住む架空の生き物のことなのだそうですね。
水から出ると、でろーんと動かなくなってしまうのだそう。
そして読み方は「どろ」ではなくて「でい」

そっか、私は時々架空のいきものになっていたのか。ちょっとショックだ。





それはさておき。
リレー小説「9の扉」
読み終わりました。

それぞれ独立した作品ですが、執筆者が次の執筆者を指名し「お題」を手渡すリレー方式の短編集。

北村薫、法月綸太郎、殊野将之、鳥飼否宇、麻耶雄嵩、竹本健治、貫井徳郎、歌野晶午、辻村深月(敬称略)の9人の作家さんが参加されています。

元々、麻耶雄嵩氏の作品が読みたくて手に取った本だったのですが、これはもう本当に読んで良かった。
「神々の遊び」という言葉が頭に浮かびました。才能のある方々が本気で遊ぶとこういうことになるのね。
読後は手を合わせて、ありがとうございました。ごちそうさまでした。と頭を下げたい気持ちになります。

リレー方式なのですが、手渡されるのはお題だけで特に前の作品の続きを書かなくてはいけないわけではないので作風は勿論作品の内容もいろいろで、でも前の作品の登場人物のお名前が出てきたり、設定を受け継いでいたり、名前は出てこないけどさっきあの公園にいたのは前の小説のあの人たちだよね、みたいな遊びがたくさん仕込まれていてなんとも絶妙。
アンカーの辻村深月氏の作品が、第一走者の北村薫氏のお話にリンクして、結果ループしていて、なので最初からまた読み直したくなるのです。凄い。

幸せな作品ばかりではないのに、むしろ不幸な未来が見えるようで心細くなるようなストーリーも多いのに、ああ読んで良かった、と思わせてくれる本でした。
次の走者に渡すお題の依頼文、9人それぞれが書かれているあとがきまで、隅々堪能させていただきました。

そもそもの目的だった麻耶雄嵩氏の作品は、ダークな感じでぞわっとできて、これもとても素敵。

そしてまた芋づる式に気になる、読みたくなる作家さんが増えてゆくのです。



さて、まずは「貴族探偵」にもどろう。
後は「神様のカルテ 0ZERO」も再読。