職人Tくんに家まで送ってもらったある日の夜ー。
家に着くと早速、手際よく部屋中の照明器具の電球を替え始めた彼。
いつも彼の仕事は現場で見ているけれど、やっぱり手際はいいし無駄な動きがないわね。
・・・頼もしい。
“ 他に何かやることあれば言ってね ”
そんな彼のコトバに甘えてソファーとTVの移動をお願いした。
(男性がいる時じゃないと移動大変だしね・・・)
“ ねぇ、聞いていい? これさぁ、TVの録画できないでしょ? ”
と言いながらガサゴソガサゴソ。
“ 配線間違っていたから直しておいたよ。 ”
と彼。
そんな彼の姿をソファーに座り、ただただ彼のすることを関心しながら見ているだけの私。
・・・なんかいいかも、こんな感じ。
と、ふともれたコトバ。
そして全てが終わると彼はあるものを指差し、
“ ねぇ、お嬢。この Wii 今は使わないでしょ? 借りていっていいかな? ”
と無邪気な笑顔で言った彼。
“ いいよ。ソフトも少ないけど好きなもの持っていっていいよ ”
まだ 24歳の彼。
そんな彼の少年のような無邪気な笑顔で言われたらダメ!!なんて私は断れないよ。笑
彼とは玄関先で別れ、私はベランダへ・・・
そうここからは駐車場がよく見えるの。
きっと彼はこの部屋をふり返ることでしょう。
私のことが気になるとかではなく、ただ彼が灯した明かりを確かめる為にー。
前にね、彼がこんなことを言っていたの。
“ 自分が取り付けた照明器具がその家にどんな明かりを灯すのかをみるのが嬉しいんですよ。 ” と。
だから彼は絶対にふり返るー。
しばらくすると彼がWii を大事そうに抱える姿が現れた。
そして彼は今日もふり返るー。
私の姿を見つけ彼は驚いていたけれど、
“ 優しい明かりをありがとう ”
とココロの中で思いながら、今日の感謝の気持ちを込めて満面の笑みで私は彼に手を振った。
照れくさそうに手を振る彼がとても微笑ましく、自然と笑顔がこぼれる。
何気ない日常にこそ微笑みはある。
そして優しい明かりの先にこそ笑顔がある。
笑顔になるのは簡単ね。
理屈じゃないんだよ。
そう思ったある日の夜ー。
