最近は曇り空なので星が見れなくて寂しいです。
では本題、七号機”飛鳥”に関してです。
まずは今回目指すところの説明から
まずはこの図を見てください。

これは今までの鳥人間コンテストの資料を拝見し、昨年プラットフォームから飛び立つ他チームさんを見た感想です。
飛鳥ではこの図を

こうしてしまいたいと思います!
とんぼ型二枚翼で”飛ぶ”ということにとことんこだわった飛鳥――設計コンセプトは
「飛ぶ二枚翼+α」。
ここではその大まかな構造について説明したいと思います。
以下は軽く読み物として読んでいただければ幸いです。
実際の思考手順に沿って書いてみたらめっちゃ長くなってしまいました。


【乱流対策+α】
先輩方が乱流の影響がどうのこうのと言ってたんで具体的に解析して対策を打ちました。
まず、昨年の様な前翼の方が長く、主に揚力を持つ翼では乱流の多くが後翼の上面を通ってしまい、翼効率の低下が起きることがテストフライトで見られていました。
そのため今年のとんぼ型二枚翼機体”飛鳥”では後翼を長くしようと考えました。
何故ならば、乱流が翼底面を通る方が翼上下面の圧力変化に与える悪影響が小さく抑えられるからです。
飛鳥の後翼のスパンは前翼に比べ4m長いので良くたわみます。よって前翼からの乱流は後翼では翼底面を通過します。
解析をした所、たわみの無い状況下では後翼の効率が最大で13%低下することが判明しました。
このことを踏まえ、揚力比が前翼・後翼で45・55であったが後翼のみの揚力を低下しうる分増加させました。(干渉を受けるのは後翼であるため。)
このことにより、仮に最大干渉が起きても飛ぶようにしました。(現実の翼の用に撓む場合は前述の理由により必ず翼面での効率低下は必ずこれ以下となります。)
すると、多く揚力を持つ後翼が、重心に近づいて行ってしまいます。

これは乱流の影響という観点からも良い傾向とは言えません。
しかも最適解を得ようとすると二枚の翼が重なってしまいます。これでは元も子もありません。
そこで水平尾翼でダウンフォースを用いることにしました。

これで後翼の接近を防ぐことが出来ました。
操作角・失速角、揚抗比の観点から操縦者の操作感、操作性を考慮し、既存の翼型には適切な翼型が見当たらなかったため翼型を自作し水平尾翼翼型としました。
これにより後翼の位置接近が無くなり翼位置にかなりの自由度が生まれました。
さらにとんぼ型二枚翼の特性上、ピッチ方向の安定性が高いので昨年は頭上げ遅れが原因で定常飛行に入る前に着水してしまっていたが今年はダウンフォースを用いることによる早い頭上げが可能になりました。
水平尾翼に関しては主翼に対して重心からの距離が長いので揚力・抗力の小さい翼型を用いた面積の比較的小さな翼型でも十分効果が見込める。そのためダウンフォースを用いることは翼位置・乱流・頭上げの観点からとんぼ型二枚翼にとって一つの解であるといえます。
【反省と対策】
①桁の安全率が16もあり、非常に重く重量増加につながった。
⇒必要な強度は持たせたうえで大幅軽量化。
②体をひねって水平垂直尾翼の操作をするタイプの操縦桿だった。
⇒トリガーをつけたので体をひねる必要はなくなり、フェアリングも非常にスリムになり抗力も少なくなった。
③パイロットの姿勢が高かった。
⇒以前より寝そべり姿勢に。フェアリングの前方投影面積の減少に成功。
④スラスト方向をまちがえてギアボックスを作っていた。テストフライト時のプロペラの迎い角を大き く取り過ぎた事もあいまって歯飛びも起き、正しく力が発揮できなかった。
⇒より強いギア使用し、スラスト方向を正しく確認。一体成型を導入し、大幅な精度向上と軽量化に成功。
⑤翼は接着剤がとても多く、過強度な部分が非常に多く、重量増加が著しかった。
⇒二次材料の量を変えながら去年のうちに実際に翼を作り実験を行った。そのため、必要な強度を保ちつつ大幅な軽量化に成功。
これ以外にもたくさんありますが、他に書きたいことがあるので各班長さんにその他の説明は投げます。
【翼位置】
まず、次の図を見てください。
板翼後流の主流方向速度の分布です。

つまり同一レイノルズ数において平板翼後流の主流方向速度の分布が分かるので、翼の厚さの1.5倍の地点で乱流境界層から層流境界層になることが分かります。
その為、後翼を翼の厚さの1.5倍すれば乱流によって機体が影響を受けることは考えにくい。飛鳥の場合、前翼の厚さが約12cmなので層流境界層に後翼を置くためには約18cmの翼上げをすればOKとなります。

こんな具合です。
【乱流利用】
①ボルテックスジェネレーター
翼型に厚みがあり、翼上面での剥離が起こることが予想されるので導入し、人工的に小さな渦を作りだし、剥離する空気を抑えて翼効率の低下を軽減させます。
具体的には翼前縁部にデルタ型の突起物を一定間隔で設置します。
計算は割愛しますが、ボルテックスジェネレーターはその地点での乱流境界層厚さの程度の高さのものとなる筈です。

画像は説明のため、やや大げさにしてあります。
②翼端板
翼下面は圧力が高く、上面は圧力が低い。翼端ではこれがボルテックス・リングを生み、乱流となります。
ウイングレットはこのリングを後ろに流すことで効果を得ていますが、我々は単純にこの圧力差をキャンセルする翼端版を制作することで翼端での乱流の影響を減らすという思案の下、数パターンの少しねじれた形の翼端版を製作しています。ベンチュリー管の曲面に沿うような形と言えばいいのか・・・。なんとも表現し辛い形をしています。進展があったら書きます。
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大まかに書くとこんな感じでしょうか。
三面図を見ていただければわかるんですけど、凄く良い形してますよね!
ぱっと見、どっちに進むのか分らない上に、どこか心にぐっと来る感じ。
理に適った変な形はすごく好きです。ハコフグとかもそうですし。
ちなみに俺は生き物好きです。凄く。過去のブログ見てくれればわかると思いますけど。
昔、ギンヤンマ取ろうとして池に落ちた事あるくらいとんぼが好きです。
ちなみにトンボの羽根と同じレイノルズ数の模型の翼では、同じ揚力の時、トンボの羽根の方が抵抗係数が小さいです。原理はボルテックスジェネレーターと同じです。
宇宙と星と生き物が好きな人は俺に声かけて下さい。語りだします。
みんな!絶対飛ばそうぜ!!!!!!