私が母にとっていい結果を残せた時だけ母は褒めてくれた。
私はそれでも嬉しくて段々と自分のやりたいと思う行動ではなく母に褒められるための行動をするようになった。
私は小さい頃からお菓子作りが好きだった。
一から作ってできた時の達成感、お菓子のかわいさ、きれいさ、自分の作った物で誰かが笑顔になってくれること。
いつからか将来はパティシエになりたいな、なんて思っていた。
でも母は私に手に職をつけさせて安定した生活が送れるようにしないと、と言い聞かせた。
私がなりたいと言った職業は否定された。
母も私の未来を心配して言ってくれていたのだとは思う。
「私のため」に言っていた。
私が自分でなりたいと言った職業で私が成功するとは思ってもらえなかったということだ。
「●●ちゃん(近所の人)看護師になるんだって。すごいね。立派だね」
母はどういう気持ちでそれを私に言ったのかわからない。何回も聞かされた。
褒めてもらえる、そう思った私は次第に看護師になりたいと言うようになった。
もちろん母は賛成した。
「看護師以外で(母に)認められる職業ならいいけど、そうじゃない職業なら学費は一切出さないし家にも住ませない。自分でどうにかしな」
そう言われた私に選択肢はなくなった。
今なら奨学金やバイトでどうにかできたかも、と思えるが、あの頃の私には知識もなく母の言う通りにしないと生きていけないと思っていた。
洗脳みたいだ。
こうして私は看護師を目指すことになった。
自分に「看護師になりたい、お菓子作りは趣味くらいがいい」と言い聞かせて。
余談だが、私は写生会で人と違う観点で絵を描いたことがあった。
その時の写生会の絵は全員分合唱コンクールの日に貼り出され、親も見ることができた。
「なにあれ、恥ずかしい」そう言って笑い話にされ、いつまでも私の恥ずかしい話として誰かに聞かせ続けた。
「よく描けたね」「頑張って描いたね」って言ってほしかったな、と思った。