

本の一部を掲載します
メキシコ駐在中の最大の事件、
前回Part10の続きです
Part11:強盗団 2
前章の続きです。
“犯人と盗まれた商品を追え“
賊に盗まれた5億円分の商品在庫を見つけて出来れば取り戻すこと、盗んだ盗賊団を見つけること、
この2つが事件後、僕に課されたMissionでした。
さっそく僕は人事部長と会社のお抱え弁護士と一緒に、州の法曹界に属する弁護士集団の事務所を訪ねました。
警察の取り調べなどとは別に大きな事件を取り扱う部門が州の弁護団にはあり、調査の方向性を確認するミーティングです。
10人くらい弁護士が会議室に入ってきて、一通り挨拶が終わるとスペイン語で会話が進みます。
専門的な内容で、何を言っているのかほとんど理解できず、眠そうな顔で聞いていると、
弁護士A「日本人のあなたの意見も聞きたいな」
と英語で会話を振られました。
僕「私から確認したいことは2つです。いつ犯人が捕まって、いつ盗まれた商品が戻ってくるのか、どなたか回答お願いします。
州が抱える弁護団は優秀な人材が多いけど、そこはメキシコ人、人によって緊張感に差があるだろうと考えて、強めの発言を意識しました。
弁護士A「さすがにこの場で“いつ“というのは言及できないけれど、我が弁護団の中で盗賊案件のスペシャリストとなる弁護士Bを専任に就けるから、解決まで時間はさほどかからないだろうね」
僕の目の前に座る弁護士B、自信満々の笑みを向けてきました。
僕「頼りにしてます。1日も早く解決していただかねば、メキシコでのビジネスは継続できません。我々がオフィスをたたんでUSAへ撤退することはそちらも望んでないでしょう。」
これくらいストレートに言わないと海外では響きません。
弁護士Bとハグしてその場は終了、それから事態は驚愕の展開を見せます。
弁護団との打ち合わせから約二週間が経過した頃、人事部長に呼び出され、TVの録画ニュースを見せられました。
なんと、ニュースでは弁護士B死亡が報じられています。
弁護士Bのオフィスがあるビルの地下駐車場で何者かに殺害されたとのことでした。
背筋に寒気が走りました。
わずか二週間前の打ち合わせでは僕の目の前に座り、自信に溢れた笑顔を見せていた弁護士Bが殺害された、、、。
ここはメキシコ、こんな展開もありなのか、いやいや、この前ハグした人が死んじゃうなんてありえないだろ、、、
頭の中は完全に混乱状態です。
人事部長の情報だと弁護士Bはほぼ犯人を明らかにしていたようで、その情報を人事部長へは資料と合わせて提出していました。
さらに、驚愕の情報が一つ。
弁護士Bが殺される2日前、弁護士Bのオフィスに僕の会社員を名乗る訪問者があったようです。
(続きは本でお楽しみください)