

本の一部を掲載します
メキシコの有名なリゾート地、アカプルコに笑えない盗賊がでます
Part7:アカプルコ(Acapulco)の山賊
メキシコシティは日本人がけっこう多くて、僕が住んでた頃は3,500人くらいの在留邦人がいました。
現在はコロナの影響で帰国者が増えて若干減ったようですが、それでも3,000人以上はいるようです。
需要あれば供給あり、ということで日本人向けのスーパーはいくつかあり、駐在員が多く利用する品揃えが良い店舗が3つほどありました。
その一つのお店の話。
そこは土曜日のお昼頃になると市場で仕入れた新鮮なお魚を売り出すお店でした。
ちなみにメキシコで新鮮なお魚を入手するのは非常にハードルが高いです。
お金持ちをターゲットにする高級スーパーでも魚コーナーに行くとうっと鼻をつまみたくなるような数日経った魚の独特な臭いが漂います。
新鮮な魚を種類豊富に提供してくれるそのお店は週末の日本人の楽しみの一つで、たくさんの人で賑わっていました。
ある土曜日、我が家もお魚を買いに行ったところ、なんとお店が閉まってるではないですか。
休店日の告知は特になかったので、同じように魚を買いに来ていた他の日本人とどうしたんだろう?などと会話したのを覚えてます。
数日後、衝撃的なニュースが入りました。
そのお店のオーナーがアカプルコへ食材を仕入れに行った道中、山賊に襲われて重症を負ったという内容でした。
Guerrero(ゲレロ)州Acapulco(アカプルコ)に関して少し触れます。
アカプルコはメキシコシティから南へ380kmほどの場所に位置して飛行機で1時間、車で4~5時間で行けるリゾート地です。
かつてはハリウッドスターや米国人学生が休暇に大挙して訪れる人気の観光地でした。
しかし2010年前後になるとマフィア間の抗争が激化、その頃年間3万人近くいたアメリカからの観光客はわずか2~3年で500人に減りました。
僕も何度かバカンスや仕事でアカプルコへ行きましたが、空港からホテルまで全体がひなびていて寂しい印象を受けました。
イメージ的には日本の熱海といったところです。
現在はCancun(カンクン)やLos Cabos(ロスカボス)などのリゾート地に人気を奪われた形となります。
さて話を日本スーパーに戻します。
オーナーはアカプルコに寄港する船の食材調達を目的に車を運転して向かいました。
その道中、山賊に車を止められて揉み合いとなり、車から引きずり下ろされ暴行を受けました。
結果的に重傷を負いましたが命までは取られることなく入院したということでした。
この事件は当時、犬を飼っていて飛行機を避けて車でアカプルコへよく行っていた僕の先輩が大きなショックを受けていました。
そして山賊という日本では昔話でしか出てこない危険な存在がメキシコには実在することを認識し、多くの日本人が改めて気を引き締めてました。