うそだドンドコドン
お腹が空いて眠れないってマジか。
俺いくつだよ。
二十歳だよ?
来月21だよ?
ご飯食べたよ?
なんか鶏肉を煮たやつ食べたよ?
成長期かよ。
本当に成長期ならもう勘弁だわ。
着る服マジでなくなるわ。
うぅ。お腹空いた。
俺いくつだよ。
二十歳だよ?
来月21だよ?
ご飯食べたよ?
なんか鶏肉を煮たやつ食べたよ?
成長期かよ。
本当に成長期ならもう勘弁だわ。
着る服マジでなくなるわ。
うぅ。お腹空いた。
tote bag bear
電車に中学生が乗っていた。
冬休みも後僅か。
友達と買い物にでも来たんだろう。
彼は薄汚れた有名ブランドのスニーカーを履き、量販店の自社製品に身を包んでいた。
短く刈られた頭はふわりとした寝癖がつき、両手で吊革に掴まる姿がいやに幼く見えた。
彼はまた同じような背格好の友人と、間近に迫っているのであろう高校受験の話をしている。
そして、自分の今の身の上を未熟な暗喩で語り出した。
それは何の意味とも取りがたい習作だったが、彼はしたり顔で微笑した。
あぁ、気持ち悪い。
あぁ、気持ち悪い。
彼は僕だ。
幼き日の僕だ。
僕には彼の心の内が手に取るように見える。
皮肉だ。自嘲だ。そして自慢だ。
自身の努力でどうともなる事柄を、できうる限り難しくわかりにくく言い換えて人に話すのだ。
さもどうしようもない事柄を嘆くように話すのだ。
総じてそんなものは凝り過ぎて本来の意味を見失ってしまい、そこには自己満足だけが残るのだ。
彼は僕だ。
幼き日の僕だ。
その内、彼も世間をなんとなく知って行くのだ。
家の外を知り学校の外を知り、その外が思っていたよりみすぼらしいことを知るのだ。
親を知り敵を知り、随分と後に女を知るのだ。
そして、自分が世間に背を向けていることに気付くのだ。
ちらりと彼に視線をやると、疲れにうなだれていた彼と目が合った。
汚れのない舌をペロリと出して、彼はダルいと、そう言った。
冬休みも後僅か。
友達と買い物にでも来たんだろう。
彼は薄汚れた有名ブランドのスニーカーを履き、量販店の自社製品に身を包んでいた。
短く刈られた頭はふわりとした寝癖がつき、両手で吊革に掴まる姿がいやに幼く見えた。
彼はまた同じような背格好の友人と、間近に迫っているのであろう高校受験の話をしている。
そして、自分の今の身の上を未熟な暗喩で語り出した。
それは何の意味とも取りがたい習作だったが、彼はしたり顔で微笑した。
あぁ、気持ち悪い。
あぁ、気持ち悪い。
彼は僕だ。
幼き日の僕だ。
僕には彼の心の内が手に取るように見える。
皮肉だ。自嘲だ。そして自慢だ。
自身の努力でどうともなる事柄を、できうる限り難しくわかりにくく言い換えて人に話すのだ。
さもどうしようもない事柄を嘆くように話すのだ。
総じてそんなものは凝り過ぎて本来の意味を見失ってしまい、そこには自己満足だけが残るのだ。
彼は僕だ。
幼き日の僕だ。
その内、彼も世間をなんとなく知って行くのだ。
家の外を知り学校の外を知り、その外が思っていたよりみすぼらしいことを知るのだ。
親を知り敵を知り、随分と後に女を知るのだ。
そして、自分が世間に背を向けていることに気付くのだ。
ちらりと彼に視線をやると、疲れにうなだれていた彼と目が合った。
汚れのない舌をペロリと出して、彼はダルいと、そう言った。