Photo†Genic | Acknowledgment Distance Torment

Photo†Genic

2年と少し前に、ギターを買った。



生活の全てだった女の子に振られ、大学に行くまでの時間が空白に思えた。



バイトもせず、勉強もせず。
皆のように自動車免許を取ることもせず。


お年玉をつぎ込んで、一本のギターを買った。





朝起きて、飯も喰わずにギターをひいた。
少し外に出て、帰るなりギターをひいた。
食欲も性欲も睡眠欲も全てギターに還元した。
空白を全てギターで埋めた。




大学が始まり、忙しくなった。
バイトを始め、新しい彼女を見つけ、ギターのチューニングは狂って行った。


それでも、たまに。高校時代の彼女を思い出してギターを弾いた。

その子もギターを始めたと聞いて。

その子の空白を想像した。



レッドメタリックは少し色褪せて、替えたばかりの弦はもう所々茶色になっている。



僕の下手くそなコードチェンジは、二人分の空白を埋めてくれたのだろうか。