いつも講義の時に頭に置いていることがあります。

 

価値と意味ということです。

 

金銭的な意味ではなくて、

生存のための意味で使います。

 

 

例えば、

眼が2つあること。

直立二足歩行であること。

可視光線を色の3原色でとらえること。

などなど。


どんな価値と意味があると思いますか?

 

そんなこと考えて、何の意味があるのというかもしませんが、

これが大あり。

 

私たちは生物ですから、

心理的な現象や、

こころを云々しても、

生物のしがらみからは逃れられません。

 

つまりある「現象」があったとき、

次の3つの事柄を常に頭に、

置いて考えなければならないということです。

 

この事柄は、

1.生存価:生き残っていくうえでどんな役に立つのか?

2.進化:地球進化の過程でどんな意味があるのか?

3.生態学的位置:生物界の中でどのような生態学的な位置にあるのか?

 

生物現象、心理現象を問わず、

現れる現象には、

何一つ無駄なものはないはずです。

 

例えば、眼が2つだとどんな意味があると思いますか?

 

眼は1つでは立体視がしにくいです。

2つあると立体的に見えます。

平面的なだけよりは、立体的な方が生きていく上では有利になる。

では、多い方が良いでしょうか?

3つも4つも、あるいはもっと沢山あるとよいでしょうか?

 

 

直立二足歩行だとどんなことが起こりますか?

地面を這っている生物よりも、視界は良くなるでしょう。

その代わり、嗅覚は劣るかもしれません。

でも、

手が自由になるので、その分生態学的位置も有利になるでしょう。

 

 

心理的問題で考えるとこんな事柄は上記の3つに照らし合わせると、

どんな解釈ができますか?

 

・心配

・不安

・思いやり

・愛情

・短期記憶と長期記憶

・優位な知覚

・痛み 

などなど

 

1つ1つは、

どんな生存価があり、

どんな進化の過程をたどって獲得され、

その結果、

どんな生態学的位置を獲得したのでしょう。

 

 

色々なことで、

生存価、進化、生態学的位置を考えると、

きっと新たな発見と驚きがあると思います。

 

全くそんなことを考えないということは、

生存価が低いことになるのかもしれませんよ…

 

 

 

 

 

心理学をやっているというと、

必ず聞かれます。

 

 

人が何を考えているか分かります?

とか

人を自由に操れますか?

 

 

笑いますよね。

 

みんな、そんなことで悩んでいるんだって?

 

 

人の考えていることがわからないの?

人を操れないの?

って思います。

 

そんなこと、簡単じゃないねぇ。

 

 

えっ、

簡単じゃないの?

 

 

D.カーネギーと言う人は1955年に亡くなったけど、

もう半世紀も前に書かれた「人を動かす」という本に書いてある。

 

 

最初の方だけ見ても、

その秘訣が書かれております。

 

初歩的大原則 三つ

1.批判も非難もしない。苦情も言わない。

2.率直で、誠実な評価を与える。

3.強い欲求を起こさせる。

 

これらは完全に正しい。

 

この頃すでに、カーネギーは、

心理学の情報を披瀝し、

文中でさりげなく、B.F.スキナー、W.ジェイムス、J.フロイト、H.セリエが登場している。

当時としては、新しい知識であります。

 

 

その語の50年の心理学の進歩とその知識を加えれば、

無敵の心理学が出来上がることは容易に想像が付くでありましょう。

 

心理学を本当に応用すれば、

冒頭の質問には応えられることがお分かりいただけると思います。

 

 

 

なんちゃって、

ホント?

 

 

少しでも、

この疑問に答えていこうと考えたのが、

今年のブログを書くに当たっての抱負であります。

 

出来るかなぁ……乞うご期待(^^ )

 

 

 

 

年の瀬は明るく終わろうと思ったのですが、

書庫をいじっていたら、

ふと出くわした1冊。

昨年の暮れに書いた一文を添えてお届けします。

  
 

堤未果さんという人の書いた「日本が売られる」

幻冬舎新書という本があります。
  
我々が知らないところで、
様々な理由で日本は蝕まれています。
本の宣伝をするつもりは毛頭ありませんが、
ざっと目次の一部だけでもご覧下さい。
 
第1章 日本人の資産が売られる
  水が売られる
  土が売られる
  種が売られる
  ミツバチ、食の選択肢、牛乳、農地、森、海、築地
第2章 日本人の未来が売られる
  労働者が売られる
  日本人の仕事が売られる
  ブラック企業対策、ギャンブル、学校、医療、老後、個  人情報 
以下略
 
我々はあまりに知らないのです。
 
水道事業が民営化するとどうなるか、
原発事故で出た汚染土を通常ゴミと一緒に焼却して再利用すること、
公共種子と種子法の関係、
遺伝子組み換え作物と専用の農薬がペアになっていること、
ミツバチは蜂蜜だけのために大事なわけじゃないこと、
高度プロフェッショナル制度と労働時間の関連、
労働基準監督の一部民営化、
などなどなどなど……
 
こっそり、
あるいはおおっぴらに、
でもマスコミに取り上げられることは少なく、
 
なんだか知らないうちに、
さまざまなことが決められて進められています。
 
情報は次から次と止めどもなく流れ、
一時 多くの人に曝されてもあっという間に、
古くなり捨て去られ忘れられます。
 
覚えていますか、
近年起こったいろいろな災害や事件を。
その顛末を知っていますか? 
 
福島原発は現在どうなっているのでしょう、汚染水はどれほど貯まっているのでしょう?
熊本の地震や土砂災害のその後は?
そういえば大阪や長野でも災害があったなと言う程度の認識に風化しているのではないですか?
 
”高速の点で次々にやってくるニュースに慣れて、自分の頭で考えるのをやめてしまえば、「今だけ金だけ自分だけ」の狂ったゲームを暴走させ、足元が崩れるスピードは増してゆくだろう” p.285 より
 
 
2年くらい前だったか、「未来の年表」で将来の日本を憂いたとき、

まだ間に合うと書いたことがありました。

大学の最終講義でも、

近未来予想を取り上げたことがありました。

 
最近は、まだ間に合うと書くことに逡巡を覚えます。

「未来の年表」を否定する本も出ています。
まさにあなたはどっち  なのですが、
本は人為が強い。
 

「日本が売られる」は、
一読の価値はあるかと……

 

本書を紹介して早1年。

今や新書は、読み捨ての時代。

 

本屋さんにあるでしょうか?

https://amzn.to/2QBayWv