La Sarthe, my back pages-003



















今年のK4GPセパン24時間、少しばかり受け入れ体制が変わったことで、地元のTVメディアがいくつか取材に来ていた。“観る”から“参加”するへ。これはK4GPの発足意義だが、日本でもまだ不十分な参加型モータースポーツが、歴史の浅いマレーシアで早くも認められてきたということだ。


F1を頂点とする集客型(観衆型)のモータースポーツは、現在興業面で行き詰まりを見せている。F1を幕内、GP2以下を十両、幕下と下がっていく大相撲の序列にたとえると話は早いだろうか。幕下の取り組みを興味深く積極的に観る人は、ごく一部のファンに限られる。


K4GPの特徴は、観客席に人影がない代わりに、パドックが人でごった返しているところにある。夏の富士1000㎞で4000人近くなることも珍しくない。全日本クラスのカテゴリーでも閑古鳥が鳴いていることを考えれば、これは盛況といっていいだろう。


しかし、目的は人を集めることではない。みんながレースもどきのことをやりたくて、結果的に人の集団ができているにすぎない。おもしろければ、人は自然に集まってくる。だが、自分の都合だけで物事を考えると……。


閑話休題。この前BSで、それこそ久しぶりにマリア・ジョアオ・ピリスを見た(聴いた?)。シャイな性格ゆえ、生を嫌いスタジオを好むピリスの演奏は、オーディオファンにとっては希少な存在で、故・岡本太郎氏ではないが“芸術は爆発だ”的な迫真の力があり、CDからエネルギーが弾け飛んでくる。思わず、聴き入ってしまった……。


このときはヤマハだったが(ピリスとヤマハは合っていると思う)、連鎖というか、無性にベーゼンドルファを聴きたくなった。芯の通ったppp、ダイナミックレンジの広大さは壮絶を通り越し、凄絶ともいえる。いい、やはりいい。至福の時だ。


そういえば、あるオーディオエンジニアが言っていた。「アンプは古くならない」と。もう時効だから許されるか? それほど高額機ではないが、K社がモノラル構成のハイスピードアンプを売り出したことがあった。作為のある音を嫌う故・長岡鉄男氏が絶賛したモデルで、欲しくて欲しくて仕方がなかったのだが、当時は学生で金がなく、後年オーディオの仕事を始めてから知己を得た同社のエンジニアにこの話をしたら、なんと開発に携わった人物で、手組みのモデルを頂いてしまったのだ!


この音が素晴らしくいい。音に脚色がなく、シングルコーンのスピーカーとすごく相性がいい。CDプレーヤーからの出力をDC12V駆動の管球式ボリュームアンプ(アッテネーター付きバッファアンプと考えてもいい)を通し、このモノラルアンプに入力。フルレンジ+スーパーツィーター構成のSPユニットが自然に鳴る。いまだに現用機。このナチュラル感がなんともいい。音もいいが、それよりも音楽性がいい。聞くのは音でなく音楽だ。設計者のセンスと資質が丸裸で問われてしまう。木を見て森を見ず。すべからく肝に銘じておきたい。