今回は残酷でリアル、悲しくて切ないものがあるんだけど、、人生の成功と失敗、勝ち負けについて考えさせられる日本のボクシング映画の最新作をご紹介します。

BLUE/ブルー 

主演︰松山ケンイチ

出演︰東出昌大/木村文乃/柄本時生/守谷周徒/吉永アユリ/長瀬絹也/住川龍珠/菱沼つる子/松浦慎一郎/松木大輔/竹原ピストル/よこやまよしひろ

・あらすじ

大牧ボクシングジムのトレーナー兼選手・瓜田(松山ケンイチ)と、ジムで20年ぶりの日本チャンピオンを狙う瓜田の親友・小川(東出昌大)。高校の先輩・後輩の二人だったが、瓜田はどんなに努力しても試合では負け続きで、ジムの後輩たちにも軽んじられていた。一方、瓜田の勧めでボクシングを始めた小川は、天性の才能ですぐに瓜田を追い抜き、瓜田を介して知り合った天野千佳(木村文乃)とも付き合っていた。千佳は瓜田の幼馴染にして初恋の人で、今も好意を寄せているがその想いを伝えられずにいた。自分が欲しいものすべてを掴んだ小川を瓜田は羨むが、小川と千佳の関係を応援することしかできなかった。順風満帆に見えた小川だったが、ボクシングの影響で脳に障害が現れ、競技を医者に止められる。千佳は引退してほしいと頼むが、チャンピオンを目指す小川は聞き入れない。千佳は瓜田に説得を頼むが、自分では届かない高みを掴もうとしている小川を止められる訳がないと突っぱねられる。ある日、さえない男・楢崎(柄本時生)がジムを訪れる。ゲームセンターで働く彼は、同僚の女性に片思いしている。客とトラブルになり、ボコボコにされながらも、「ボクシングをやっているから素人には手を出せない」と嘘をついて引っ込みがつかなくなって、近所の大牧ジムにやってきたのだ。楢崎は瓜田に“やってる風”程度のトレーニングを頼む。しかし、日々の練習や、チームメイトとの関係を経て、いつしかボクシングに魅了されていく。小川に日本タイトルマッチの話が舞い込み、同じ対戦日、負け越しが続いた瓜田にはデビュー選手との対戦がマッチメイクされ、楢崎もデビュー戦が決まる。次の試合で勝ったら千佳と結婚すると決めていた小川は、勝利しチャンピオンになる。一方、瓜田はデビュー戦の相手にさえ勝つことができなかった。試合後の祝勝会で、仲間から負けを貶されても平静を装っていた瓜田だったが、その帰り道、長年抱えてきた想いを千佳と小川の前で吐き出す……。
(KINENOTE)
ーーーーーーーー
感想・考察
この映画は『ヒメアノ〜ル』『犬猿』『空白』など、日本の映画界で良作、傑作を生み出している吉田恵輔監督による3人のプロボクサーの人間模様を描いたボクシング映画。吉田恵輔監督が構想8年をかけて作られ、監督・脚本、そして、監督自身が中学校1年生から経験しているボクシング経験を生かし、殺陣指導も行っています。

今年の7月に韓国映画『私のボクサー』で1本だけボクシング映画を観賞したのですが、あんまりボクシング映画を観ていない分、もっと正統派なボクシング映画が観ていないと思ってしまい、私が好きな監督のひとりで、今年上半期公開の作品の中で期待していた作品のうちのひとつ、『BLUE/ブルー』を観ていないことに気づき、今年のベストを決める前に間に合わせようとDVDレンタルで観賞してみました。結論から言うと、観た後の余韻が深く、これまた残酷でリアルなんだけど、苦くて味わい深い、素晴らしい1作だと思いました。

本作は日本映画の中では2020年の『アンダードッグ(前篇・後編)』に続く1年ぶりのボクシング映画であり、試合で負け続けている身でありながらボクシング好きである弱小プロボクサー、瓜田信人。瓜田の誘われてボクシングを始め、スーパーウェルター級のチャンピオンに王手をかけるが、パンチドランカーになる運命を辿ることになる後輩のボクサー、小川一樹。アルバイト中のある出来事から"ボクシングをやってる"風を目指してボクシングを始めた楢崎剛といった3人のボクサーの視点で描かれています。3人のそれぞれの人間模様、日常生活をリアルに見せられていて、本格的な試合シーン、ボクシングジムの描写は用意されているのですが、話運びは淡々としていて静かで、切なくて残酷、苦味の強い作品になっていました。

まずは冒頭、ここでは物語の構成でよくある中盤のある展開を冒頭の初っ端に置いていき、それまで何が起きたかを見せようと時制を巻き戻していく展開になっていて、先に負け続きのボクサー、瓜田が試合直前で準備を整えてから後楽園ホールのリングに上がるまでの姿が描かれているのですが、冒頭の段階では瓜田がどういうボクサーが伏せられ、選手出場でリングに上がるくだりでドラマチックな演出を加えることによって、瓜田が旗から観れば、輝かしい功績を残している立派なボクサーであることを印象付けていて、冒頭の掴みの演出が上手いなと感心させられます。それから主人公のひとりである後にプロボクサーの道を歩むことになる新人ボクサーの楢崎を第三者の視点として置きつつ、物語が進むにつれて、瓜田が10連敗続いている負けっぱなしのプロボクサーなんだけど、彼のボクシングへの愛が本物だという情報が示されていく。それでいて、物語の世界観、舞台設定を作るうえで欠かせないディテールの描き込みが素晴らしく、まるで観客のいる現実世界と地続きで、フィクションなのに実際に劇中の大牧ボクシングジムやゲームセンターがあるんじゃないかと思わせてくれる。特に引き込まれるのは冒頭、ここも冒頭の掴みの部分と言えるんだけど、楢崎がボクシングを始めるきっかけとなるゲームセンターでの一幕、彼が吉永アユリさん演じる同僚に勧められて中学生カップルを注意しに行くんだけど、ここで出てくる中学生カップルの2人がなんとまあ演じている演者さんのハマりっぷりで、実際に中学生時代にいそう、地方の町でうろついていそうな実在感、存在感の高い人物になっていて素晴らしい。むしろ、観客にとっては爆笑を誘い込む凄く笑えるくだりとなっている。

で、3人のボクサーの中では実質的に1番第三者の視点で描かれ、コメディリリーフ的なキャラクター造形になっている柄本時生さん演じる楢崎。好意を寄せている同僚のタエのために「ボクシングをしている」風を装おうと大牧ボクシングジムに入会し、赤髪の練習生、洞口からおちゃらけた態度で馬鹿にされるんだけど、楢崎がプロボクサーとして、ひとりの人間として成長していくサクセスストーリーは時にはカラッと笑えたり、時にはシリアスで現実の厳しさを突きつけられたりと非常に明確で面白く、ボクシング映画、スポーツ映画をあんまり観ていない人でも、共感しやすいディテールの描き込みを含めて話を飲み込めるように作られているんですよね。楢崎の本来の動機、つまり、楢崎が好きな同僚タエから気を引かせたかったというボクシングをやることへの理由付けはモデルくんの同僚の男性、三上に取られたことでなくなるわけなんだけど、大牧ボクシングジムでトレーナーとしての顔を持つ瓜田とボクサーとしての先輩後輩の関係、師弟関係がプロボクサーとして一歩成長することへの大きな秘訣となっているように感じられました。

一方、試合に負け続けているんだけど、人前ではその悔しさを見せず、ボクシングの経験や知識を生かして楢崎をサポートする松山ケンイチさん演じる瓜田。瓜田にはモデルがいて、瓜田と同じ優しい人柄で、物語の後半の展開のように突然ジムから姿を消した実在の負けっぱなしのボクサーを基にしているんだけど、瓜田はひとりのプロボクサーとしては人一倍努力に努力を重ねているのにも関わらず、敗戦に敗戦を重ねてしまっているんだけど、小川や千佳の前ではボクシングで負け続けていることへの悔しさを表情には出さず、ひとりになった時にはその悔しさを出していて、特に序盤、瓜田が千佳が売店でドリンクを買っている間に客席で涙を堪えようとしている様子は凄く悲しい気持ちにさせられます。それでも、瓜田はボクシングジムのボクシングトレーナーとしては楢崎ら後輩たちの面倒見が良く、基本、基礎を楢崎に教えたり、自分の試合より小川の試合を優先して彼に戦法を伝授させたりとボクシングの才能がない代わりに、ボクシングを愛している自分が今できること、或いは、自分の人柄、人間性でカバーしていることで確実に結果を残そうとしていて、その姿勢、その情熱に感動をさせられます。それでこそ、瓜田は小川なんかよりも才能が無いと受け入れていて、中盤、練習生の洞口に「基本身につけたら強くなるんですか?」「勝てないボクシングとか教わりたくないんですよね。」と言われているわけなんだけど、クライマックス、最後の教え子である楢崎が洞口、もしくは比嘉の挑発的な態度を真似しつつ、基礎、基本を取り入れて比嘉との試合に挑戦して、結果を出したことである意味洞口の「勝てないボクシングとか教わりたくないんですよね。」という台詞の解答になっているのかなと感じました。つまり、瓜田の指導者としてのスタイルは間違って無くて、教え子の楢崎がそれを証明したと言えます。

そして、瓜田、小川、楢崎の3人のボクサーの中では1番辛い気持ちにさせられたのは瓜田の後輩であり、後にパンチドランカーとなる天才ボクサーの小川に尽きると思いましたね。冒頭の段階で呂律が回りにくくなって言語障害となり、物忘れが酷くなって記憶力が低下していく兆候が現れるんだけど、物語の登場人物の中では彼の事情から考えると、自分の人生と向き合い、自分自身の壁とぶつからなければならない状況、苦境にある人物なんじゃないかなと感じられましたね。特に中盤、小川が新居のアパートの引っ越しの途中、前のアパートの部屋にあったエアコンのリモコンを返そうと自転車を走らせるシーン、突然自転車から倒れるのは観客の想定内の展開ではあるんだけど、そこからカメラワークが微妙に揺れて、画面全体がグワングワンと歪み出し、パンチドランクの症状が悪化していく辺りは観客にとっては視覚的な恐怖と精神的な恐怖を体感させられるシーンになっていて、プロボクサーとしての栄光と同時にその代償が来ることへの前兆があのショック描写にあると思うし、ボクシングが続けられなくなるという大きな壁を与えている瞬間であると感じさせてくれます。そして、後半、ことごと左様に小川は千佳との新婚生活で記憶力が更に低下していき、吐き気を催すことになるのですが、小川の試合に出ることの葛藤がダイレクトに伝わってきて、以前、小川が宣言していた「負けたら引退する。」という約束を自分自身で破いてまで無理してボクシングを続けようとする。だからこそ、序盤、瓜田と千佳の喫茶店での会話シーン、千佳の「もし一樹だったらどう思う?だんだんおかしくなって、頭痛に苦しくなって。それでも同じ事言える?」という問いかけに対し、瓜田は「俺なんかにとっちゃ夢みたいな話じゃん。手に入るんだったら、どんな犠牲も払うでしょ。」と言うんだけど、物語を追うごとに次第にその言葉が現実味を増していき、瓜田の言葉通りに犠牲を払ってまでチャンピオンの座を掴み取ろうとしていく。なので、千佳と同じ目線で心配させられつつ、どこか小川を応援したくなる。

で、その他のサブキャラ、脇を固めている人物は役者陣の自然な演技も相まって、ユーモアを持たせつつ、登場人物たちの描き込みが上手いと思いましたね。特に個人的に印象に残ったのは大牧ボクシングジムの練習生のひとりであり、瓜田をちょっといじめている感じの悪いキャラとして描かれていた洞口というキャラ、物語上、前半部分では洞口の視点で話を進めてもいいんじゃないかと思うほど、脇役なのに割りと準主役級の活躍をしていたのですが、特に中盤、スパーリングで楢崎から受けた強烈なストレートパンチがきっかけでボクシング生命を絶たれてしまうんだけど、非常に魅力的なキャラなだけに、洞口が会長たちがガードをするよう言われているのに言うことを聞かずにパンチを浴び続け、

し、プロボクサーをやるうえでのボクシングの厳しさ、残酷さ、或いは、ボクシングの勝負で誰かにとっての選手生命を奪いかねないという怖さ、恐ろしさが伝わってくる展開になっていていました。更に言えば、よこやまよしひろさん演じる大牧ボクシングジムの大牧会長。よこやまよしひろさんの安定感抜群の演技パフォーマンスによって、地域の地方自治体にいそう、身近にいそうな佇まいをしていて安心感のあるキャラになっていて素晴らしい。あと、たった1シーンしか出てこないんだけど、山野海さん演じる小川のアパートの大家のおばさん、「ドカドカドカドカ 何やってんのよ!」と怒鳴るくだりは漫画的なんだけど、非常にインパクトがあって面白いです。

あとは吉田恵輔監督が殺陣指導を務め、プロボクサーの比嘉役で出演もしている松浦慎一郎さんがボクシング指導を行っているボクシングの試合シーン。さっき書いた洞口を再起不能にさせたきっかけになった楢崎と洞口の2度目のスパーリングシーン、小川のボクシング人生最高のピークとなる小川のタイトルマッチの試合は非常にリアリティがあって良かったのですが、その中でもクライマックスの赤コーナーに立つことになっと楢崎と比嘉の試合、物語上、最大の盛り上がりであり、最大の白眉となるシーンとなっているんだけど、松浦慎一郎さん演じる比嘉の挑発的な態度はさることながら、指導者の瓜田が立ち見席で見守るなか、楢崎が優勢に進めようとする様は何度も食い入るように観ちゃいました。おまけに、試合後の楢崎がプロボクサーとして清々しい表情を見せているのが非常に好ましい。ただ、そこからその後のパンチドランカーの小川と本人役で出演している細川チャーリー忍さんによるスーパーウェルター級のタイトルマッチの試合シーンは小川が最後までリングに立って勝ちたいという意志とは裏腹に、審判や医師から試合続行不可能だと告げられて判定負けされるので爽快感に欠けている分、小川のやりきれない気持ち、それを見ていた瓜田の曇った表情と後ろ姿が才能があるはずの小川のボクシング人生にとって悲劇を物語っていて、滅茶苦茶辛かったですね。

そして、ラスト、瓜田、小川と千佳、楢崎のそれぞれの後日談が描かれているのですが、まず、小川と楢崎、ボクシングを引退した小川がボクシングを完全に諦めてない時点で千佳の複雑な気持ちが読み取れ、小川の視点にしても、千佳の視点にしても、非常に辛い気持ちにさせられるんだけど、小川がプロボクサーの楢崎と合流して共にジョギングをするくだり、あそこは中盤、小川がひとりで濃霧の朝にジョギングをしているシーンと対になっていて、小川は今後の実人生で多少の犠牲を払うつもりなんだろうけど、同じボクシング仲間に支えられることで、パンチドランカーの後遺症という試練、障害、壁そのものが少しでも楽になることが匂わされているし、濃霧の中のジョギングシーンが小川の孤独なボクシング人生のレールを意味しているならば、ラストで楢崎が合流することによって小川のボクシング人生は孤独ではなかったと提示していると言えます。そういう意味では、小川がこれからどういう道を歩むのか、想像するだけで辛くて胸が痛みそうにはなるのですが、あの河川敷の引きの画を見せられると、小川に一縷の希望を与えているようでとても味わい深い。そして、瓜田は魚市場で仕事を行っていて、仕事の合間にシャドーボクシングをやっているんだけど、これは瓜田が今でもボクシングを愛していることを映像ではっきりと提示しているんだけど、瓜田に実際にモデルがいることを踏まえると、瓜田が小川と千佳、楢崎が近くにいない場所でひっそりと生活しているという見方が取れるし、逆を言えば、瓜田が胸の内に秘めているボクシングへの愛、情熱、熱意を捨てられていないことから察するに、現役時代に2勝10敗という成績を残しているにも関わらず、いつか復帰したいという思いがあるんじゃないかと思いましたね。それこそ、序盤の最後ら辺、瓜田はボクシングダイエットに通う主婦にあれこれ聞かれ、「やりたいこと他にないんですよね。」とボクシング以外にやりたいことはないと言うんだけど、好きなこと、好きなもので生きていきたい、その情熱を人生のどこかに生かしておきたい。小川が1度チャンピオンの座を取ったのがひとつの成功だとするならば、誰かが得意な分野で誰かを支え、誰かを勇気づけ、影響させることもある種の成長なんじゃないかなと感じさせられます。もっと言えば、楢崎と小川が同じ道を歩むシーン、瓜田が孤独に魚市場でシャドーボクシングをしているシーン、3人が歩んでいる人生はそれぞれ全く異っているのですが、人生の勝ち負け、成功と失敗、光と闇、そして、人間にとっての本当の強さと弱さ、何を基準に"成功"と言えるのか、何を持って勝ち組、負け組だと言えるのか、勝ち組だったとしても、負け組だったとしても、人生のレールはまだ続いていて、いくらでも負け組じゃなくなるチャンスはあると言えるし、人生には勝敗、勝ち負けなんて無いんじゃないか、現実の厳しさ、苦しさ、痛みは平等にあるんじゃないかという風に強く感じさせられます。

強いて言えば、序盤、主人公のひとりである瓜田と小川がボクシングの試合に出場して、瓜田が対戦相手と試合に挑む描写がしっかり見せられているんだけど、瓜田は試合の描写で彼が連戦連敗で負けっぱなしのボクサーであり続けていると説明されている一方で、対する小川の試合の描写は選手入場のシーンのみで、次の居酒屋の打ち上げのシーンに切り替わるのでカットされていて、小川のパンチドランカーの一面は分かったとしても、パンチドランクが激しくなる以前の小川の天才ボクサーとしての一面がさほど説明されていないような印象がありましたね。ここは瓜田と小川の見せ場はバランスが取れるように試合の描写は途中でカットしててもいいから、両方見せるべきだったんじゃないかなと感じなくもなかったですね。あと、クライマックス、楢崎とキックボクシングの経験があるとされる比嘉によるライト級の試合を物語における最大の盛り上がりにして、非常にドラマチックで興奮させられるように作られてはいたんだけど、試合の判定結果の描写はレフェリーの音声をバックにリングの外のショットにするんじゃなくて、試合終了直後のリング内でのショットをはっきり見せたほうがより楢崎の心情が味わい深く見せられていたんじゃないかと思っちゃいましたね。

ということで、1本のボクシング映画として地味で淡々としていて静かなんだけど、瓜田、小川、楢崎の三者三様の人間ドラマを通して胸が熱くなり、ボクシングへの熱意、愛、葛藤、苦悩に自然と感動させられるし、個人的な感想ですが、これからの人生を生きるためのヒントを受け取ったように感じさせてくれる苦くて味わい深い素晴らしい1本だと思いましたね。30代、40代、50代になって、先の見えない人生を歩んでいく中で、ふとした瞬間にまた観賞することになったら、人生を歩むため、生きるための重要なヒントが得られるかもしれないし、人生の勝ち負け、成功と失敗、光と闇、そして、人間にとっての本当の強さと弱さ、何を基準に"成功"と言えるのか、何を持って勝ち組、負け組だと言えるのか、何を理由に強いと判断すべきなのか…。ボクシング映画としての面白さはさることながら、人間ドラマに関しても。非常に心打たれる1作となっていますので是非ともレンタルや配信で観賞してみてください。