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今回は評判通りの良作だった、イギリスのLGBT映画を紹介します。


ゴッズ・オウン・カントリー


主演:ジョシュ・オコナー 『ライオット・クラブ』


出演:アレック・セカレアヌ 『アクト・オブ・ウォー』/イアン・ハート 『ネバーランド』/ジェンマ・ジョーンズ 『ブリジット・ジョーンズ』シリーズ/ハリー・リスター・スミス 『アンツ・パニック 巨大蟻襲来』『ドラゴン・ハート 最後の闘い』


・概要


この映画はヨークシャー地方を舞台に2人の青年の愛の行方を描いたLGBT映画で、監督は今作が日本初公開作品となるフランシス・リー。き

ちなみにこの映画は昨年秋頃に開催されていた特集上映『のむコレ』で上映されていたのですが、数回の上映にも関わらず、全てチケットが完売してしまうほどの盛況ぶりで、今年2月に全国公開された作品です。

この映画に関しては当初観る予定は無かったのですが、ネットでかなり評判が良かったのでレンタルで観賞してみました。BLものではあるのですが、内容が濃く、かなり面白いです。

主に主人公目線で描かれていて、主人公のジョニーとルーマニアから来たゲオルゲの2人の人間性が題材として描かれている一方で、ジョニーの職場である実家の牧場のことやジョニーの父親の描写もしっかりと描かれていました。









イギリス ヨークシャー地方


ジョンことジョニーは家族が経営している寂れた牧場を1人で切り盛りする毎日を送っていました。

彼の父親は病気で杖がないと歩けない状態になっており、母親はまだジョニーが幼い頃に家出したっきりで戻ってきませんでした。現在はジョニー、父親、祖母の3人で生活しています。


その日、ジョニーは地元のバーで泥酔した挙げ句、夜遅くに帰っては部屋で嘔吐していました。彼は下着姿になり、休んでいましたが、両親は彼の行動に呆れていました。


翌朝、ジョニーが起きると、トラクターに乗って山に向かおうとします。出かける前、彼の祖母は「昨夜は飲み過ぎだよ。今度吐いたら掃除しないからね。」ときつく注意するのでした。

山に着くと、ジョニーはトラクターに積んでいた木の柵を牧草地に運びました。
ジョニーが見渡すと、牧草地の石垣が崩れており、彼は石垣の修復を考えました。

山を下りると、彼は牛舎に行き、牧場で飼っている肉牛の世話をしました。そのうち、一頭の肉牛は出産を控えており、
ジョニーは出産間際の肉牛を優しく接しました。

ジョニーは世話をしたあと、一頭の肉牛を運搬車に入れ、競売をしに出掛けました。競売でかけられた700キロの肉牛は99.50で売りさばくことができました。

競売を終えると、ジョニーは会場にあるレストランで朝食をとりました。すると、レストランにはジョニーと共に競売に参加していたであろう同業者の男性が近くのテーブル席に座っていて、彼はその男性を誘うと、自分の運搬車の中で肉体関係に至りました。運搬車を降りると、さっきの男性が「良かったらビールでもどう?僕たち気が合いそうだし……」とジョニーに誘いましたが、ジョニーは断りました。


ジョニーが牛舎に行くと、祖母に競売で稼いだ金を渡しましたが、祖母は父親が困っていたとジョニーに伝えます。牛舎の中に入ると、そこには動けなくなった子牛を見下ろす父親の姿がありました。
ジョニーは出産介助に間に合わなかったのです。

ジョニーは父親に「獣医を呼ぼうか。」と提案しますが、父親は子牛の肩の骨が骨折したために歩行ができないので安楽死させるしかないと考えていて、彼はジョニーに猟銃を渡します。ジョニーはためらうことなく子牛を猟銃で射殺しました。

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用事を済ませると、父親は「俺は手伝えないから人を雇うことにした。」とジョニーに伝えました。ジョニーは「1人でやってきたよ。」と言うと、父親は「お前は大したもんだよ。」と言って牛舎を出ていきました。苛立ったジョニーは子牛の遺体に向かって蹴りを入れました。

労働者を迎えに行く前、ジョニーは自宅に戻ると、冷蔵庫にあったビールを飲むと、食事に取りかかりました。ビールを飲んでいた孫を見た祖母は「迎えに行く前に飲まないで。」と注意します。ジョニーは自分が労働者を迎えに行かなければいけないことに対し、親が自分に仕事を押しつけているのではないかと思い、腹を立てました。


夜、ジョニーが車で駅に向かうと、駅前に髭面の男性が立っていました。彼はその男性を呼ぶと、男性はゲオルゲと名乗りました。ゲオルゲはルーマニアからはるばるイギリスに来たらしく、母親が英語教師ということもあり、
英語が喋れるようでした。車内でゲオルゲは携帯を操作していましたが、ジョニーは「ここじゃ使い物にならない。」と彼に教えました。

ジョニーはゲオルゲが宿泊するトレーラーを案内しました。そこで彼はガスの使いすぎを注意したうえで、「お前はパキか?」(パキは差別用語。)とゲオルゲを軽蔑しました。ゲオルゲは「俺はルーマニア人だ。」と名乗りましたが、ジョニーは彼のことをジプシーと呼びました。ジョニーはゲオルゲに荷物を置いたら食事をするよう呼び掛けると、トレーラーの扉を閉めましたが、閉まりにくかったので「ここはクソ溜めだ。来たことを後悔する。」と苦言します。


ゲオルゲは食事をしながらジョニーの父親の話に耳を傾けました。祖母はゲオルゲの英語が上手いことに気づき、ゲオルゲは母親が英語教師であることを説明します。父親は「羊の出産時期だから息子の手伝いが必要だ。」とゲオルゲに頼んだうえ、「雇うのは1週間だけだ。」と告げました。

ほどなくして、ジョニーが衣服を探しに部屋にやって来ました。どうやらジョニーは地元のバーでまた酒を飲むらしく、父親は明日ゲオルゲと一緒に山に行くようジョニーに告げました。

ゲオルゲはトレーラーに戻ると、トレーラーの照明を消し、卓上ランプを点けて
就寝の準備に入りました。彼は母国で撮った大事な写真を壁に貼りつけます。

ジョニーが地元の酒場で飲んでいると、
ジョニーの大学の同級生、ロビンがジョニーに話しかけて来ました。ロビンはジョニーとの再会を嬉しく思い、ジョニーは「大学に行ったまま戻って来ないのかと思ってた。」と言います。

ロビンは休みが取れたので地元で友達と一緒に休暇を楽しんでいるとのことで、ジョニーは「田舎者を笑い者にしてるのか?」と冗談半分に言います。ロビンは
ジョニーにタバコを求め、ジョニーはタバコを1本渡しました。

ロビンがタバコを吸うと、ジョニーを遊びに行こうと誘いましたが、仕事があるという理由で断ります。それでもロビンは「私の友達とも仲良くなれるよ。彼って面白いのよ。昔のあんたみたいにね。」と友達を紹介しようとしますが、
ジョニーは「それは現実を知る前の話だよ。」と言いました。ロビンはジョニーにうんざりして去っていき、仲の良い男友達と抱き合いました。

(それ以降、ロビンは物語上、深く関わることはない。あくまでもジョニーとゲオルゲの関係性がメインか。)

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深夜、ゲオルゲは外の車の音に気づいて目を覚ましました。窓の外の様子を見ると、外ではジョニーの父親が酩酊状態に陥ったジョニーを車で家に送っていたようで、父親はジョニーを地べたに置いて放置しました。

翌朝、父親はジョニーを家の前に放置させると、ゲオルゲを山に連れていきました。ゲオルゲは牧草地で飼っている羊の出産を介助し、羊を無事出産させることに成功します。父親はゲオルゲの様子を見ていましたが、牧草地にある石垣が修復されていないことに気づきます。

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その頃、ジョニーが目を覚ますと、自分が家の外で寝ていることに気づきました。ジョニーの身体にはビニールシートが被せられていて、酔いが覚めなかった
ジョニーは思わず嘔吐しました。

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ジョニーは自分がやるべき事を思い出し、牛舎に行くと、中には牛舎で作業しているゲオルゲと父親の姿がありました。父親は既にゲオルゲと山に行ったことをジ説明したうえ、崩れている石垣を山で宿泊している最中に修復するようジョニーに指摘しました。

父親は毎日のように飲んでは家で吐いているジョニーに節制するよう呼び掛けました。しかし、ジョニーは「たまには夜遊びぐらいしたいよ。」と甘ったれたようなことを言ったうえ、「俺は親父とは違う。親父は俺をこき使いたいだけだろ。」と反論しました。父親は腹を立て、息子を注意しようとジョニーを連れて牛舎の外に出ました。

ゲオルゲはチョコバーを口に入れると、窓から外で息子を注意しているジョニーの父親の姿を見つめます。


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昼頃、ジョニーとゲオルゲは山に行って泊まり込みで仕事をすることになりました。山に出掛ける前、2人は必要最低限の荷物を整えていましたが、ジョニーがまたゲオルゲをジプシーと呼び、ゲオルゲは再び苛立ちました。

2人は作業をするため、トラクターに乗って山に向かいました。山にはレンガで作られた古い小屋があり、ジョニーとゲオルゲはそこで数日間泊まりながら仕事に取りかかります。


夜、2人は生まれたばかりの子羊が息をしていなかったので蘇生させようとしました。ジョニーが「ムダだ。」と言って諦めるなか、ゲオルゲは優しく子羊に接してあげた末、子羊は息を吹き返しました。それを見たジョニーは「好きにしてくれ。」と言ってその場を去りました。

その後、2人は備蓄していたカップ麺を焚き火の前で一緒にすすりました。味付けに納得がいかなかったゲオルゲは調味料のようなものをかけてカップ麺を食しました。


翌朝、ゲオルゲは近くの小川に行き、小川の水をバケツに組むと、バケツの水を使って身体を洗いました。焚き火の前で暖まりながらその様子を確認していたジョニーは「行くぞ、ジプシー。」と声をかけましたが、ゲオルゲは腹を立ててジョニーに馬乗りをすると、「その呼び方はよせ。調子に乗るな。俺を怒らせると後悔するぞ。」と怒鳴りつけました。

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2人は仕事に取りかかり、山にいる羊の世話をしました。そこで、一頭の黒い羊が病気にかかっていることに気づきました。ゲオルゲは「獣医に診てもらおう。薬はあるか?」と尋ねますが、ジョニーは薬を持ってきていないようでした。

次に2人は父親に指摘されていた石垣の修復をしました。ジョニーは石を運んでいましたが、石を置くときに手を怪我してしまいます。それを見たゲオルゲは怪我をしたジョニーを気にかけると、彼の手の平の傷を確認したうえ、自分の唾を傷口に塗りました。


それから、2人は羊の世話と石垣の修復を同時進行で進めました。このとき、ジョニーはゲオルゲが子羊に対して優しく接している様子を見て、惹かれるようになっていきます。


夜明け前、ゲオルゲは小屋で起き上がると、小屋にいた子羊の頭を撫でてから外で小便をしていました。ジョニーは彼の様子を確認すると、小便を終えたゲオルゲにちょっかいをかけました。ゲオルゲはジョニーに馬乗りし、両手を押さえつけましたが、2人はお互いに激しく惹かれ合い、芝生の上で服を脱ぎ、性的な行為をしました。

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その後、2人は小屋で仮眠をとりましたが、ゲオルゲはジョニーに好意を抱いていることに気づきました。

朝、ゲオルゲは神妙な面持ちをしながら焚き火の前で暖まっていました。ジョニーはゲオルゲの隣に行ってカップ麺を食べていましたが、ゲオルゲはじっとジョニーの顔を凝視しました。

2人が石垣を修復している際、ジョニーはハンマーで石を整えていましたが、彼は寒いと感じ、両手に息を吹きかけました。それを見たゲオルゲは自分の手袋を差し出しますが、ジョニーは遠慮しました。ゲオルゲはコップ一杯の水を飲むと、「ここは美しい。うちの牧場が恋しいよ。ここは美しいが寂しい。」と話します。

夜、2人は焚き火の前で夕食のカップ麺をすすりました。子羊を抱き抱えながら食べていたゲオルゲは調味料のようなものをかけてカップ麺を食べようとしていましたが、ジョニーはそれを欲しがり、ゲオルゲは調味料のようなものをジョニーのカップ麺の中に入れました。ジョニーは美味しそうにカップ麺を食べてから先に就寝しようと小屋に入っていきました。


翌日、2人が羊の世話をしていると、柵の中に入っていた一頭の子羊が死んでいることに気づきました。ゲオルゲは子羊の両足を全てハサミで切り落とし、頭部以外の毛皮を剥ぎ取ると、小屋にいたもう一頭の子羊に毛皮を着させました。

(出産介助や羊の皮剥は全て本物。決してCGやVFXで見せているのではない。)


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日中、休憩中に焚き火の前にいたゲオルゲはジョニーに向かって「変態。」とつぶやきました。ジョニーが「ホモ野郎。」と言い返すと、ゲオルゲは「うるせえよ。ホモ野郎。」と言い返しました。2人はお互いの顔を見て、笑みを浮かべました。

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その日の夜、ゲオルゲを抱きたいと思いながら小屋で横になっていたジョニーを見て、ゲオルゲがジョニーの隣で横になり、彼の手の傷口にキスを仕掛けました。やがて、激しく興奮した2人は服を脱ぐと、ゲオルゲはジョニーの上半身を撫で回し、ジョニーもゲオルゲの唇にキスをしました。2人はお互いの体温を感じながら激しくキスをして、愛し合います。


翌朝、ゲオルゲは下半身裸のまま、ジョニーは全裸になった状態で小屋でリラックスしていました。ゲオルゲは「俺の国では春が一番美しい。」と語ると、ジョニーは「お袋は春が好きで、長すぎる冬を嫌ってた。」と言いました。ジョニーは自分の母親の夢が美容師だったことや
幼少期のときに母親が家を出たことを語ると、ゲオルゲはジョニーの手の傷口にそっとキスをしました。

服を着ると、2人は山を下りる準備をしていましたが、ゲオルゲが突然どこかに行ってしまいます。ジョニーは石垣を越え、ゲオルゲのあとを追いました。ゲオルゲが行ったのは遠くの景色が眺められる高台であり、ゲオルゲのところにたどり着いたジョニーは景色を見渡します。2人は暫くして、のどかな緑の景色を眺めると、お互いに見つめ合います。

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山を下りると、家ではジョニーの祖母が窓から2人を見つめていました。ジョニーは家に入ると、朝刊を読んでいる父親を目にしますが、父親は何も言いません。

その後、2人は病気になった黒い羊を家の近くの小屋に入れました。ゲオルゲが黒い羊の体調を確認すると、その羊が潰瘍であることを突き止めました。


夜、ジョニーとゲオルゲは家でテレビを観て休んでいました。2人はお互いの顔を見て微笑んでいましたが、それを見たジョニーの祖母が孫を見て「下心でもあるの?」と不思議に思います。

祖母がリビングから出ると、ジョニーはゲオルゲの首筋にキスを仕掛け、その場で身体を求めようとしましたが、ゲオルゲはトレーラーでやろうと提案します。
それでもジョニーは家でやろうと持ちかけますが、ゲオルゲはジョニーの唇にキスしたうえ、トレーラーでやりたいと告げました。ジョニーは渋々自分の気持ちを抑えつつ、トレーラーに向かいました。

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ゲオルゲが大事にしていた母国の自然の写真を見ていると、ジョニーがトレーラーにやって来ました。ゲオルゲは笑みを浮かべると、ジョニーの首筋にキスをしました。ジョニーはゲオルゲの唇にキスをし、次第に身体を重ねていきます。

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翌朝、ジョニーとゲオルゲは朝食を早めに食べ終えると、仕事に取りかかりました。ジョニーの父親はジョニーが別人のようにゲオルゲと仲よく仕事をしている様子を真面目な顔をして観察します。

仕事を一段落終わらせると、ジョニーとゲオルゲは近くの湖に行きました。そこで2人は下着姿で湖の中を泳ぎ、じゃれ合いました。


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一方、ジョニーの父親は杖をつきながら自宅に帰ろうとしていましたが、病気が悪化したのか、自宅から目と鼻の先にあるところで突然倒れ込んでしまいます。
それを見た祖母は驚き、ジョニーの父親に駆け寄ります。

暫くして、ジョニーとゲオルゲがバイクで家に帰ってきました。ジョニーは家の電話が鳴っていたので応対してみると、
電話の相手は父親が病院にいることを伝えます。

ジョニーとゲオルゲは父親が入院している病院に向かいました。病室には父親が人工呼吸器を着けて横になっていて、その隣にはジョニーの祖母がその様子を見ていました。ゲオルゲは状況を察し、ジョニーを残して病室から出ていきました。


ジョニーが椅子に腰かけると、祖母は父親が発作を再発していたことを伝えたうえ、発作の原因はストレスが原因ではないかと医者が言っていたと明かします。祖母は「夕食はどうするの?」と聞くと、ジョニーが要らないと答えたため、「あんたは一家の大黒柱だよ。ちゃんと食べなきゃ。」と言いました。

病室を出ると、ジョニーは休憩所にいたゲオルゲのところに行きました。ゲオルゲはジョニーの父親の体調について聞きたがりますが、ジョニーは答えようとしません。ジョニーは「悪いことを言われたらどうする?」と不安になりますが、
ゲオルゲはジョニーの両手を指でつつきました。

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病室に戻ると、ジョニーは寝ている父親の顔を見て、ふと牧場のことを考えていました。祖母が病室に入ると、ジョニーは牧場の仕事を優先しようと、病院をあとにします。

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夜、ジョニーは牛舎にいる肉牛に餌をあげていましたが、ストレスがたまっていたのか、肉牛に当たり散らしてしまいます。側にいたゲオルゲがそれを注意し、肉牛に優しく接します。

仕事が終わり、ジョニーが家に戻ると、ゲオルゲが夕食にショートパスタを作って待っていました。ゲオルゲはショートパスタをテーブルに置き、ジョニーはパスタを口にしますが、ジョニーが満足していなかったため、ゲオルゲはジョニーが食べているパスタに塩を振りかけて味付けしました。ジョニーが満足そうに食べると、ゲオルゲも自分のパスタに塩を振りかけます。

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その頃、病室で寝ていたジョニーの父親は意識を取り戻しました。祖母はジョニーの父親に発作を起こしたことを伝えたうえ、「元気になりなさいよ。」と励まします。祖母は家に電話をかけ、父親が回復したことを報告しました。ジョニーは安心し、ジョニーから話を聞いたゲオルゲも笑みを浮かべました。

ジョニーがゲオルゲと一緒に湯船に浸かっていると、ゲオルゲは「お父さんの具合が良くなるまで残るよ。人手が必要だろ。」とジョニーに頼みました。ジョニーはタバコを吸いながらそれに承諾します。

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翌朝、一夜を過ごしていた2人は全裸にのまま、ジョニーの部屋のベッドで休んでいました。ジョニーはゲオルゲに牧場や羊をルーマニア語では何て言うのかを質問していきます。

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服を着ると、ゲオルゲは羊に搾乳し、羊乳を使ってチーズを作りました。ジョニーは台所でチーズを作っているゲオルゲに羊たちを山に下ろしたいと告げました。

チーズが出来上がると、2人は山にいる羊たちを山から下ろしました。山に下りると、2人は家の近くで仕事を続けていましたが、ジョニーの祖母が車で家に帰ってきました。祖母はジョニーの父親の寝巻きを取りに行こうと家に戻っていましたがジョニーの部屋に行き、部屋を片付けます。そこで、祖母は床に落ちていたコンドームを発見してしまいます。

祖母はコンドームをトイレに流すと、ジョニーの衣服をアイロンにかけましたが、孫がゲオルゲと肉体関係にあることを知り、衣服を持ちながらすすり泣きします。

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そこへ、ジョニーが家の中にやって来ます。ジョニーはゲオルゲがもう少しだけ牧場に残ることを祖母に伝えると、祖母は「仕事のためだね?」と確認しました。ジョニーが「親父が元気になるまでさ。」と説明すると、祖母は「回復しないよ。あと少しで死んでた。現実を見なさい。」と言いました。

牛舎に戻ると、ジョニーは牛舎を掃除していたゲオルゲに「このあと飲みに行かないか?」と誘いました。ゲオルゲは承諾し、ジョニーと一緒に地元の酒場に行きました。

酒場に行くと、ジョニーはビールを気分よく飲んでいましたが、ゲオルゲは酒場の店主がルーマニア人である自分に対して露骨に差別的な目を向けていることに気づきます。ジョニーもそれに気づきますが、あまり気に留めません。

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ゲオルゲは前に恋人いたことを明かしたうえ、「俺の国は死んでる。どこの町にも子供に出ていかれ、泣いてる母親がいる。」と母国での現状を話しました。ジョニーは真面目な顔で「今後のことは分からないけど、このまま残らないか?」と言い、長くいてほしいと頼みました。しかし、ゲオルゲは「牧場はどうするんだ?今のやり方では続かない。」とジョニー問いかけ、自分が働いていた母国の牧場でもやりくり出来なかったことがあると明かします。更にゲオルゲは「家族はどうなる?君はどうなる?君と俺だよ。」と問いかけます。ジョニーは求婚という意味で言ってないと話したうえ、
店主にビールをもう一杯頼みました。


暫く時間がたち、酒場にはロビンとその男友達が来店するようになっていました。ゲオルゲはダーツしようと誘いましたが、さっきの話で決心がつかなかったジョニーはゲオルゲに残っているビールを飲むようと促すと、ロビンたちを興味ありげに見つめます。ロビンの男友達が自分がジョニーに視線を向けられていることに気づくと、ジョニーは男子トイレの中に入って用を足しました。

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すると、ロビンの男友達はトイレに入り、用を足していたジョニーに接触しました。ロビンの男友達はジョニーを洋式トイレの個室に誘いました。

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一方、ゲオルゲはダーツをやめ、カウンター席で残っていたビールを持って休んでいましたが、隣には差別的な目を向けている酒場の店主がいました。店主は指でビールをゲオルゲにかけて悪態をかけてきました。

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ゲオルゲは店主が挑発してきたため、怒ってやり返しますが、店主の妻が「さっさと出ていきな、警察を呼ぶわよ。」と追い出そうとします。ゲオルゲがトイレに駆け込むと、ジョニーとその男友達が個室で関係を持っているのを目撃します。

(ロビンの男友達は明らかにジョニーが自分に気があるというのは間違い無さそう。ジョニーはロビンの男友達に誘惑され、まんまと関係を持ってしまった。ロビンが男友達が同性愛者だったことを知ってるのかは不明。)


ロビンの男友達が去ったあと、ジョニーは個室を出ましたが、ゲオルゲは酒場から姿を消していました。仕方なく、ジョニーは車で家に帰ろうとしましたが、ゲオルゲが車の前に立ちふさがります。ゲオルゲはジョニーが他の男と関係を持ったことに対してジョニーに怒りを向けましたが、落ち着きを取り戻し、その場を去ってしまいます。

翌朝、ジョニーは何食わぬ顔で家にいましたが、祖母は「出ていったよ、あんたのせいでしょ。これからどうするの。」とジョニーを責めました。ジョニーは「何とかする。」と答えます。

その後、ジョニーは潰瘍になっていた黒い羊を世話していました。彼はその羊の後ろ足の近くに着色スプレーを吹き掛けていきます。

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日中、ジョニーの父親が病院から退院しましたが、言葉を発したり身体を動かしたりするのが以前よりも不自由になっていました。そのため、ジョニーやジョニーの祖母の介護無しでは生きられないようになっていました。

ジョニーが牛舎を掃除していると、ゲオルゲが忘れていった上着がかけられていることに気づきました。ジョニーは改めて、自分が孤独になったことを知ります。

ジョニーが家に戻ると、険しい顔をしている父親がダイニングにいました。冷蔵庫の中にあるビールを取り出していると、父親は口をもごもごしながらも「牛舎は掃除したのか?」と仕事のことを尋ねてきました。ジョニーが掃除をしたと答えると、父親は「羊を見てこい。」とジョニーに言いました。ジョニーは家を出ると、ゲオルゲが泊まっていたトレーラーの中に入り、感情を爆発させます。

羊の様子を見たあと、ジョニーはゲオルゲが忘れていったセーターに目を止めました。彼はそのセーターに腕を通し、ゲオルゲの匂いや温もりを感じました。

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夜明け前、ジョニーは家の固定電話でゲオルゲの携帯に電話をかけましたが、応答はありません。


朝、ジョニーと祖母は車椅子に座り、身体が不自由になっている父親をお風呂に入れさせました。ジョニーは祖母に「俺がやるよ。」と言い、湯船に浸かっている父親と向き合いました。ブラシで父親の背中を流していると、父親はジョニーの手に手を置き、「すまないな。」(字幕では「すまないな」となっているが、実際には「ありがとう。」と言っている。)とつぶやきました。

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ジョニーは父親を寝かせたあと、仕事に関する書類に目を通していました。祖母は「あんたも休んで。」と声をかけると、ジョニーが「俺は耐えられる。」と応えたので「父さんにみたいになっても?」と言います。


翌日、ジョニーは車で父親を連れて山に
向かいました。牧草地を見渡した父親は石垣が直っていることに気づき、ジョニーに指摘します。ジョニーは父親に「俺には無理だ。牧場は続けるけど親父のやり方ではできない。あいつが必要なんだ。連れ戻しに行く。」と言い、ゲオルゲを迎えに行くと伝えると、父親は「俺は?牧場は?」と心配します。ジョニーは「お婆ちゃんに頼むよ。」と答えたうえ、「必ず戻る。でもやり方を変えたい。」と言います。父親は「それで幸せになれるのか?」と尋ねると、ジョニーは「ああ、なれると思う。」と答えました。父親は石垣を直したジョニーに「よく頑張った。」と労いました。

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ジョニーは家に戻ると、部屋に行ってルーマニアに行く準備を整えました。祖母はジョニーの衣服を洗濯しようとジョニーの部屋に行こうとしましたが、外出の準備をするジョニーを確認します。

ジョニーが外に出ようとすると、祖母は「黙って行くつもりかい?」と声をかけ、ジョニーは「今言おうとしてた。」と言いました。祖母は出かけるジョニーに「忘れ物だよ。」と言ってメモ書きを
渡します。そのメモ書きにはゲオルゲが残していったものであり、ゲオルゲの今の勤務先が記されていました。


ジョニーはメモ書きを頼りに長距離バスに乗ってゲオルゲの勤務先であるブロッケン・ミューア農場に行きました。その勤務先はジョニーが働いていた実家の農場よりも規模が大きい農場でした。彼は中に入ると、農場の従業員にゲオルゲの居場所を尋ねます。

ジョニーがゲオルゲを待っていると、ここで働いている2人の男性がジョニーに向かってルーマニア語で悪口のようなことを言うと、どこかへ去っていきました。ジョニーは鼻についたものの、タバコを吸いながらゲオルゲを待ちわびます。

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暫くして、ジョニーが居眠りをしていると、ゲオルゲが目の前に現れました。ジョニーは起き上がると「起きてようとしたけど、疲れてて…。」と誤魔化しました。ゲオルゲは酒場での件で腹を立てているのか、怒っているようでつれない態度を取っていました。

ゲオルゲは「何しに来た?」と尋ねると、ジョニーは「羊の薬を手に入れた。羊は元気になったよ。」と報告しました。ゲオルゲは「元気になってうれしいよ。」と話しますが、まだつれない態度を取り続けます。ジョニーは「どうして去ったんだ?」と尋ねますが、ゲオルゲは本当のことは言わず、「来られても困る。」と言います。ジョニーは「あぁ、分かってる。でも会いたかったんだ。もしお前に会って話したら何か変わると思ったんだ。来るだけ来た。」と話し、ゲオルゲは「もう会ってるだろ。」と言います。

ゲオルゲは「他に話があるのか?」と聞くと、ジョニーが首を振ったため、ゲオルゲは「行かないと。」と言ってジョニーのもとから去ろうとしました。すると、ジョニーは去ろうとするゲオルゲに「努力してるんだ。やり直そうと努力してるんだよ。だからバスに乗ってこんな遠くまで来たんだよ。戻ってくれ。俺と……離れたくない……一緒にいたいんだ。」と泣きながら訴えます。

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ゲオルゲは話を聞き入れると、「ヘンタイだな。」とつぶやきました。ジョニーが「お前もな。」と言い返すと、ゲオルゲは「ホモ野郎。」と言いました。ジョニーは笑顔になり、「ホモ野郎。」と言い返しました。ゲオルゲも態度を変え、ジョニーの顔を見つめ、おでこをくっつけ、キスをし、彼を抱き締めました。

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その夜、ジョニーとゲオルゲは長距離バスに乗って家に戻っていました。熟睡していたジョニーがゲオルゲの肩にもたれかかると、ゲオルゲは笑みを浮かべ、ジョニーの隣で寝ました。


後日、ジョニーはゲオルゲがかつて泊まっていたトレーラーを引き払いました。
ジョニーとゲオルゲはトレーラーが業者によって去っていくのを見届けると、ジョニーとゲオルゲは仲良く家の中へ入っていきました。



(そこまで具体的には描かれていないが、ゲオルゲは仕事を辞め、ジョニーの実家の牧場を手伝うことになった。また、トレーラーに泊まるのをやめ、ジョニーの家で同居するようになった。)



THE END


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(エンドロール)
イギリスの農場や牧場での風景が流れる。




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結論からすると、雰囲気はシリアスで寒々しい感じであり、インパクトに欠けているところはあるのですが、LGBT映画として、恋愛映画としてはかなり面白い作品でした。


とにかく、驚かされたのはジョニーとゲオルゲが牧場で仕事をしているシーンで実際に羊の出産介助をしたり皮剥ぎをしているところでしょう。特に皮剥ぎのシーンは多少グロテスクではあるものの、
最後までカメラで撮影されていて、非常に農業のシーンを徹底的に作られていることが伝わりました。

また、劇中では外国人労働者による人種差別の描写がいくつかありました。特に後半ぐらいでゲオルゲに悪態をついて挑発し、追い出そうとする酒場の店主には
とても腹が立ちました。それでいて、ジョニーがゲオルゲがいないことに気づいて辺りを見回してる際は何食わぬ顔でカウンター席にいるのでイライラしました。映画自体はガッツリ酒場の店主のことは描かれていないのですが、店主にはいつも田舎街に外国人労働者がいると、悪態をついて、外国人労働者に殴られたら警察送りにして被害者ぶるのでしょうか。こういう差別主義者が現実にいると、なかなか酷いです。

あと、ゲオルゲの優しい行動には女性のみならず、男性でもキュンと来そうな感じでした。ジョニーが石垣の修復で寒そうにしているところをゲオルゲが自分の手袋をジョニーに差し出したり、夕食のときにジョニーがゲオルゲの作ったパスタに満足できていなかったらゲオルゲが
パスタに味付けをして調整していたりと
ちょっとした気遣いをしていて、頼もしいキャラクターでした。


ただ、映画はかなり完成度が高かったものの、どうしても気になったのは後半ぐらいでの酒場のシーンでジョニーとロビンの男友達が関係を持つことに違和感を感じました。前半でロビンがあの男友達のことを昔のジョニーみたいだと話していたのでジョニーによく似た性格なんだろうなぁと思いますが、責めて冒頭の競売の男性がジョニーと再び関係を持っていたほうが面白かったような気がしましたね。そもそもヨークシャーにそんなに身近にホモの男性がいるなんてことはあるのかな?もしゲオルゲと出会う前にジョニーが同性愛じゃない男性でも抱いてるのならかなり凄いことだと思いますね。


ラストシーンではジョニーとゲオルゲが僅かながらの希望を持ってジョニーの実家の牧場で新しい一歩を踏み出そうとする下りは清々しさがあって良かったものの、少しモヤモヤ感が残りました。

そもそも父親での介護や牧場での仕事は「なんとかなるだろう。」という感じで上手くやりくりできそうな気がするのですが、それ以前にロビンの男友達とジョニーの関係性をどう絶ち切るんだろうとか他の同性愛者と浮気するのではないかと思い、2人のプライベート面で色々と突っ込みたくなりました。いっそのことジョニーがゲオルゲのことを仕事のパートナーとして、恋人として一途に思っていればそれでいいのですが、ゲオルゲと仲良くなる前のジョニーがクズで自堕落だったので成長できてるのかちょっと怪しい感じではありました。



ということで、LGBT映画ではあるものの、農業を行う家族の描写や主人公と同性の相手との恋愛模様を田舎街の閉塞感と共に手堅く描ききったこの映画。ドラマ映画として、恋愛映画として、かなり完成度が高く、雰囲気が決して軽いという訳ではないのですが、なかなか良かったです。是非ともレンタルや配信で観てみてください。