イメージ 1







今回はごくごく普通の映画に感じたアクションスリラーをご紹介します。



ザ・ボーダーライン 合衆国国境警備隊


主演:ジョニー・シモンズ

出演:ガブリエル・ルナ クリフトン・コリンズ・Jr.


・あらすじ

ある男が車から降りてトランクから閉じ込めていた一人の少年を取り出した。少年は男に怯えて後ずさりしていたが、男はバットで少年を殴って殺していった。

アメリカとメキシコの国境にて、検問所ではデーヴィス、フローレス、ホッブスが国境警備隊として働いていた。

3人は平凡に検問所で勤務していたがある車が検問所に通りがかったことを機に状況が一転する。

その車が来たときは元々はフローレスとデーヴィスが対応するはずだったが、元々休憩していたはずのホッブスが運転手を厳しく取り締まり、怪我をしつつも運転手を銃で殺していった。

その車のトランクには大量のコカインがあり、およそ1000万ドル相当もあった。
ホッブスとフローレスはこの収穫を喜んだのだったが、デーヴィスはホッブスとフローレスに通報できないと言うと2人に銃を突きつけるのであった。



・感想


うーん、普通……。


映画としてはいい映画ではありましたがいざ本編をざっと観るとスローテンポかつかなり地味なつくりになっていたのでとても面白そうという感じではないです。

内容は良かったと言えば良かったのです。しかし、あまり詳細があんまりないこともあり登場人物の背景は少々しかなく、ほぼほぼ荒野の光景が繰り広げられるので良作なのにどうも良作よりも上だとは言い難い微妙な映画です。


なお、この映画はちょっと社会派路線ではあるのでまあ恐ろしいと伺える描写はあったものの…そういう描写も少なくこれまで観たこういう社会派路線の映画に比べては若干弱い方でした。


イメージ 2




物語の冒頭、麻薬組織の関係者とみられる男が車で奥さんと電話をしたあと、車から降りるとトランクから10代前半とみられる少年を下ろしました。少年はロープで拘束されていて、身動きできません。そして更にトランクから埋めるためのスコップも取り出すと、男は少年をバットで殴って殺してしまいました。


数時間後、国境警備隊で新人のデーヴィスと中堅のフローレスが国境沿いを歩いていました。フローレスは国境沿いで少年の足跡を発見し、二人はその足跡をたどって荒野を歩いていきます。

雑談をしながらその足跡をたどっていくと、フローレスが足跡を発見し、少年が足を引きずって歩いていることに気づきます。

イメージ 3




足跡の先をたどっていくと、二人はあるものを発見しました。それは麻薬組織らが立てた祠です。フローレスは組織は分からないものの少年は麻薬の運び屋だと推測しました。フローレス曰くその祠は砂漠での願掛けだと云います。

イメージ 18


(恐らくだが冒頭の少年とみられる。少年は拘束を解いて逃走したものの男に止めを差されて死んだとみられる?それか命からがら逃げ延びたか?冒頭とあの足跡は無関係か?)


二人が検問所から戻ると、検問所では上司のホッブスが待っていました。フローレスはあの少年を逃がしてしまったことを報告します。三人は休憩所で休憩しながら雑談し、フローレスはあまり収穫がないと取り締まる運転手がいないことをぼやきます。

それを聞いてホッブスは「今朝、風の音を聞いてそれで検問所を設置した。風の音を聴けと言われたろ。」と言いました。

(国境警備隊ではそう言い聞かされているのだろうか?)


そうこう休憩しているうちに一台の軽自動車がやって来ました。運転手は牧場で働いているアルベルト・フェレーラさんで街へ野菜の買い出しに行く予定でした。デーヴィスが親切に対応するなか、ホッブスが厳しく対応して今日ここに検問所があったことをご存知だったか?と問い詰めましたが、フローレスがアルベルトさんを通す許可を出しました。


そのあと、フローレスとデーヴィスはまわりのものを使って野球遊びをしたりデーヴィスが検問の際に悪ふざけをしたりと平凡な光景が続きます。

イメージ 19



昼頃、ホッブスがフローレスとデーヴィスに麻薬組織の一員と国境沿いで戦闘した話をしました。そこでホッブスが戦闘していた相手がアメリカの不法移民がメキシコに麻薬を密輸していたというオチを言い、フローレスとデーヴィスはホッブスが不法移民をウェットバックと称してることにちょっと鼻につきました。


ホッブスがあまりに厳しいことを言うのでデーヴィスはホッブスに「あんたはクソ野郎で嫌なやつだがどう呼べばいい?」と訊き、ホッブスは「クソ野郎様だ。」と答えました。

そんな折、一台の車がやって来たのでデーヴィスとフローレスが対応します。しかし元々休憩していたはずのホッブスがフローレスに電話だと言い、フローレスが抜けたことでデーヴィスのみに。

デーヴィスは運転手を通そうとしましたが、休憩したはずのホッブスが厳しく検問していきます。しかし運転手がホッブスの言うことを聞かずにエンジンを動かして車を発進させたのでホッブスが走行中の車にしがみつきます。

イメージ 4



運転手は抵抗しますがホッブスが拳銃を窓越しに運転手に発砲したことで事は丸く収まりました。その代わりホッブスは腕を骨折しました。

電話を終えたフローレスとデーヴィスがホッブスのところに駆け込みますが、デーヴィスは死体を見て嘔吐。そしてキョロキョロと挙動不審な行動をとります。

フローレスがホッブスの手当てをしたあと、フローレスはブツがあるかどうか調べました。デーヴィスも少し手伝い、車を調べた結果、トランクにはなんと大量のピザ用のトマトソースの缶詰めがあったものの、中身を確認するとコカインが1缶にひとつずつは入っていました。

イメージ 5



フローレスとホッブスはこの収穫を喜んで通報しようと考えていたものの、一人浮かない顔をしているデーヴィスが何故か通報できないと言ったあと、デーヴィスはフローレスとホッブスに銃を構えてブツを届けないと俺も家族も殺されると脅して来ました。

デーヴィスは二人に銃と無線機を捨てるように指示し、二人は従うしかありません。デーヴィス曰く、元々あの運転手を通すつもりだったのですがホッブスが取り締まったせいで計画が台無しになったそうなのです。


フローレスは通報して、脅迫を報告すればデーヴィスは転勤になって保護されると言いますがデーヴィスは言うことを聞いてくれません。デーヴィスは結束バンドで両手を縛るようにと二人に指示します。二人は従います。そしてデーヴィスは二人にパトカーに乗るように言い、二人は乗りました。

車中でホッブスが怒り心頭になるなかで、フローレスは冷静にどうすべきか考えていました。デーヴィスがコカインを座席に積んでいるなかフローレスが車から降りて行動に出ます。

デーヴィスは車に乗れと言うなか、フローレスはデーヴィスに一人じゃ無理だと言ってデーヴィスを手伝うことにし、デーヴィスはハサミで両手の拘束を解き、フローレスに地図を渡しました。フローレスは地図を見てデーヴィスが言っていた座標の番号を頭に入れながらデーヴィスのコカインの取引場所に行くための行き先を教えました。デーヴィスは俺の騙すなよと言って一応フローレスを信じました。

(フローレスがなぜこの様な行動とったのかは定かではないが、職場上の仲間を思いやった行動?それかフローレスの過去に理由があると思われるが詳しい描写はない。)


それからフローレスとデーヴィスは死んだ運転手の処理をし、シフト交代の時間が来そうなので仲間の隊員たちを迎える必要がありました。そのときデーヴィスはフローレスに麻薬カルテルから家族を脅されたと話し、自宅に職場で働く母親の写真が何も前触れもなく送られていたことがあったそう。

数分後、検問所にパトカーがやって来ました。出てきたのは同僚の隊員と新人の隊員です。フローレスとデーヴィスが対応するなか、相手の二人の隊員はホッブスがいないことを不審に思いましたがフローレスとデーヴィスは病院に行っていると言って嘘をついて誤魔化しました。

同僚の隊員たちを対応し終えたあと、フローレスとデーヴィスはデーヴィスのコカインの取引場所に行くためにパトカーを走らせました。フローレスはデーヴィスにいつからこんなことを?と訊いたところ、デーヴィスは「最初は8ヶ月前、一度きりのはずだったのにそのあと、妹の写真が送られてきて、またやった。先月も3回も車を通した。」と言いました。

イメージ 6



それからというものの麻薬カルテルの奴らから監視されたり家族の写真が送られてきたり、脅されたりと踏んだり蹴ったりな日々を送っていたのです。


その後、車を走らせると一台のポストのある場所にたどり着きました。どうやらこの場所がコカインの取引場所のようです。フローレスとデーヴィスが取引の準備に取り掛かっていると、ホッブスがデーヴィスに奇襲をかけて取り押さえようと首を絞めました。しかしデーヴィスは手元にあった拳銃でホッブスを狙撃して身を守ってしまったのです。

イメージ 7



そうこうしているうちに麓の崖から麻薬カルテルの一員が乗っているとみられる青いワゴン車が近くに来ました。しかし、間も無くしてワゴン車はUターンしてあとを去っていきました。



フローレスはデーヴィスに病院に行けと言いましたがデーヴィスは病院は無理だと言うので仕方なくフローレスとデーヴィスはホッブスを連れて近くに住んでいるマヤ人のマリサのところに行くことにしました。

フローレスとデーヴィスはホッブスを心配します。マリサたちはホッブスを台に乗せて傷口を確認し、ある程度の手当てをしましたが、近くにいたマヤ人の男はフローレスにもう打つ手はないと言い、マリサは臓器の損傷が酷いからもう出来ることはないと言い、もはや安楽死させるしか方法はないとのこと。

フローレスはホッブスを助けようと病院に行こうと考えますが、デーヴィスはもう安楽死させる方向でいました。マリサらは傷口を塞ぐよう処置をしたあと、何故かマリサがデーヴィスに妙な告げ口をしました。

イメージ 17



フローレスとデーヴィスはホッブスを乗せてパトカーを走らせました。

(マリサがデーヴィスを何を言ったのかは不明。)

パトカーを走らせるなか、無線の相手がホッブスのシフト交代が確認できていないと言ってきたのでデーヴィスは焦りました。

間も無くしてフローレスがコカインを車に下ろして来たのでデーヴィスが銃を構えてフローレスのところにやって来ましたが、撃つんだったら撃てよ!と言ってデーヴィスを気絶させ、両手を拘束しました。そしてデーヴィスの拳銃と無線機を取り上げました。

そのあと、フローレスはホッブスの様子を確認するとホッブスは戦い疲れたと言って延命する意志はありませんでした。
フローレスは意志を尊重して安楽死させることにし、デーヴィスの拘束を解いて起こすことにしました。


デーヴィスが罪悪感に暮れるなか、フローレスとデーヴィスは死に行くホッブス
と共に夕日を見ました。そしてホッブスは死に際に俺の子供たちに絶対に忘れるなって伝えてくれと言い残してこの世を去りました。

イメージ 8



フローレスはホッブスを抱えながら泣きました。側で見ていたデーヴィスは通報すべきだったと悲しみに暮れます。

フローレスは連絡係は誰だ?と問いますが、デーヴィスは麻薬カルテルの面識は全くなく、連絡係すらも知りませんでした。

暫くしてパトカーを走らせた末にあのポストのところにやって来ました。そしてフローレスは懐中電灯をつけながらデーヴィスに仲間の血だと言ってホッブスの血痕を指差しました。途中で無線がかかりホッブスが行方不明だということが伝えられましたが、軽く無視します。

フローレスはデーヴィスに取引の際にあのワゴン車がいた崖のところを車のライトで照らすように指示し、フローレスが懐中電灯で確認し、デーヴィスが車のライトで照らして先へと進みます。

そうしていくと、パトカーのライトが照らしたのは麻薬カルテルの居場所とみられる建物で、あのワゴン車も停まっていました。その建物は大きな倉庫のような場所で、中には飛行機も停まっていました。

イメージ 9


フローレスとデーヴィスが中に入って確認すると、奥に初老の男性がいたので二人はその男性に麻薬の運び屋か?と訊きました。男性の名前はミゲル・ヒルナンデスと言い、麻薬カルテルの手先なのかデーヴィスのことはご存知のようでした。

イメージ 10



フローレスは誰の使いっぱしりか?とミゲルに訊きましたが、ミゲルはお前らが追ってきたのは職場に向かう高齢の市民だと言い、どうやらこの場所には麻薬カルテルのアジトではないらしく、続けてミゲルはフローレスをスペイン語(メキシコ人の言語)で挑発してフローレスを怒らせました。

フローレスは親玉の名は?と言うと、ミゲルはティオという男性の名を言い、ティオはこの一帯の元締めだと言いました。カルテルの名は不明です。

ミゲルは彼らにブツをトランクに入れたまま川まで運転して捨てるんだと指示しました。ミゲル曰くティオは手下の子供たちと川と船にいるらしく、ブツを回収して別の運転手に渡す決まりだと言います。そしてミゲルは

「お前らがティオを見つけないことを祈ってる。俺は恐ろしい連中の残虐な扱いを見てきた。だがな、ティオに比べたらそこらの犯罪者なんか可愛いもんさ。もし船を見つけ、ティオに顔を見られたら絶対に生かしておくな。みんなのためだ。」と言い、ティオの恐ろしさを警告しました。


ーーーーーーーーーーーー
ネタバレ

こうして、フローレスとデーヴィスは崖から川へ落としてブツを渡し、ティオらと対峙する運命を辿ることになるのです。

デーヴィスは車中で「俺は呪われた。あのマヤ人だ。あの女が俺に対して唱えてたのは俺に対する呪いだ。」と言いました。デーヴィスはそう言って若干不安になります。

フローレスとデーヴィスが車中で話していると道の真ん中に一人の少年がいて、フローレスとデーヴィスはビックリしました。

イメージ 11



ん?これって嫌な予感が?


フローレスとデーヴィスは車から降りるとその少年を保護しようとします。フローレスはスペイン語で少年に対応し、デーヴィスはフローレスに水を用意してと言われたので水を取りに行ってフローレスのところに行きましたが…


イメージ 12



実はこの少年。ティオらが用意したおとりだったのです。間も無くしてフローレスとデーヴィスはティオの手下の子供たちにやられてしまい、おとりの少年は子供たちに引き取られました。子供たちはコカインを回収し、銃でパトカーをパンクさせたあと、この場所を去っていきました。

(この時、デーヴィスはフローレスをかばうかたちで子供たちに狙撃された。デーヴィスは自分のために家族を守るためにコカインを運ぶという行動をやったのにも関わらず仲間であるフローレスを守った。)

夜明け前、フローレスは負傷したなかで立ち上がることが出来ましたが、デーヴィスは銃撃に撃たれて死んでいました。フローレスは愕然となり泣きながらもまだ体力が残っていたので、パトカーの中から持ちものを取り出して軽く手当てをしたあと、パンクしたパトカーを残して行けるところまで歩いていきました。


そうして、フローレスは銃撃で負傷した脚を引きずって歩き、とうとうぐったりして荒野で倒れてしまいました。そして道行くメキシコの不法移民たちに助けられました。不法移民は何人かいましたが
中心人物とみられる中年夫婦とその夫に手伝うように指示された中年の男性が残り、ほかの不法移民は先に進みました。

イメージ 13



その後、大勢のパトカーがやって来て警備局の方々がフローレスを保護しにやって来ました。フローレスは局で取り調べを受けたあと、上司からは「これはとんでもない事態だ。いいか、他言無用で頼むぞ。」とデーヴィスの一件を外部の人には漏らさないように指摘しました。

続けて上司は「暑い土地に勤務しないなら北の国境に欠員があるそうだ。」とフローレスに勧めると、上司と取り調べをすると女性隊員から麻薬カルテルの手先である少年二人が逮捕されたと言い、一人は銃撃での傷を負っていてもう一人は3000ドル相当の麻薬を持っていたそうです。フローレスは静かに聞き入れ、女性隊員と上司はあとを去りました。


後日、フローレスは再びもとの検問所のところで若手の隊員と共に周辺の荒野を歩きながら麻薬カルテルの手先を追跡していました。

イメージ 15



フローレスは若手の隊員があまりに質問をしてきたりしてフローレスに話しかけようとするので「喋ってばかりで集中できないなら車に戻って携帯で遊んでろ。」と注意します。気を改めた若手の隊員は「すいませんでした。」と言って謝ると、フローレスは「いいよ。話をしてると耳に入らない。風の音が…」

「風が導いてる。」

と煙草を吸いながら言い、フローレスは若手の隊員と共に追跡を続けました。

イメージ 14




THE END

(恐らく、デーヴィスやデーヴィスの家族は麻薬カルテルによって殺されたという解釈で合っていると思う。フローレスは上司たちの教えを守って新人隊員の面倒を見続けるとみられる。)


ーーーーーーーーーーーー

「ウォールフラワー」「プリズン・エクスペリメント」のジョニー・シモンズ、「ザ・ボルト」「スタング」「トリプル9」のクリフトン・コリン・Jr.出演のこの映画。

キャリアの違う国境警備隊の3人が新人のある行動をきっかけに麻薬カルテルの事件に関わってくるといういわゆるメキシコ麻薬戦争が背景にあるとみられる映画で、内容はアメリカならではの社会派なものでした。

デーヴィスが麻薬カルテルに脅迫された末に犯罪を犯し、フローレスはそんな新人を庇うように手伝い、ホッブスは正しいことをしたのにデーヴィスに正当防衛であるが故の行動で殺されてしまうというわけでして3人の人間性が見受けられるシーンが確認でき、悪くはないのです。

しかし、どのシーンを見ても麻薬カルテルの恐ろしさやフローレスやデーヴィスの背景が弱く、それにテンポがなかなかスローということもありとても良作なのに良作と言い難い映画でした。責めてフローレスの背景だけでも描いてくれたら有り難かったのですが、デーヴィスらがこの先どうなるかしか描いておらずなぜフローレスがデーヴィスを手伝おうとしたかという心理的な描写がないためにキャラクターが弱く、フローレスが事実上主人公にも関わらずとても肩入れしにくい映画なのです。


最も、ラストで麻薬カルテルの手先の少年たちが銃を持って現れるところは恐ろしさは伝わったものの他は説明不足だったので何とも言えない気分でした。

ということで、映画としてはごくごく普通に観れますので劇場未公開映画の入門としてはオススメできると思うので是非ともレンタルしてみてください。


イメージ 16