今回はなかなかのドロドロな物語が観れた上質な韓国映画を紹介します。
女教師 シークレット・レッスン
主演:キム・ハヌル
出演:ユ・イニョン、イ・ウォングン
・あらすじ
非正規教員のヒョジュは親しかったキム先生が産休によってお休みすることをきっかけに教頭からキム先生が担当している3年4組の臨時教師を頼まれることととなった。
ヒョジュには作家として活動している彼氏がいたが、ろくに執筆もせずにゴロゴロしている為に愛想尽かしていた。そんな折、3年4組にはジェハというバレエ特待生がいることを知る。彼は夜遅くまでバレエの練習を欠かさずに行っていたのであった。
翌日、理事長の娘で大学時代の後輩とみられるヘヨンという女性が正規教員として赴任することとなった。どうも理事長のコネでの赴任らしい。ヘヨン先生はヒョジュに積極的に接し、あたかも友人同然に話し掛けようとするが、大学時代にヘヨンという人物に心当たりもなく、意気投合出来るわけにもいかなかった。
別の日にヘヨンに誘われてレストランで食事をすることになった。どうやら仕事中に彼氏がずかずかと入って来たこともあってか婚約者を紹介したかったようだが、ヒョジュはみずぼらしい自分を同情しているのかとヘヨンに怒り、帰っていった。
彼氏とは性格の不一致から別れ、一人になったヒョジュはバレエ特待生のジェハに「バレエコンクール」の貼り紙を届けようかと体育館へと行った。しかし、仲には誰もいない。気になったヒョジュは
倉庫の扉が開いていることに気づき奥へ進みと、男女のあえぎ声が・・・。よくみるとジェハとヘヨン先生が身体と身体を合わせている光景が目の前で行われていたのであった。
職員室の朝礼後、ヘヨン先生を化学実験室に呼び出し、体育館でのことを観て「理事長の娘だからお遊び感覚で来てるんだろう」と皮肉混じりに指摘し、ヘヨン先生にケリをつけるようにと言うのだった。
やがて、ヒョジュはヘヨン先生がケリをつけたことからジェハのために「バレエコンクール」に向けて関係を結んでいくのだが・・・
・感想
素晴らしい、素晴らしい映画でした。
ドロドロとした作風で、登場人物はほとんどクズか悪魔。それでいて、衝撃のラストと韓国映画の濃厚な味が堪能できる作品でした。
「女教師 シークレット・レッスン」ということで、邦題は悪くないのですが、
本編はざっと観るとヒョジュがヘヨン先生を心理的に嫌いという意味での反撃なのかという認識に見えてならんかったのですが、ヒョジュが理事長の娘であるヘヨン先生を嫉妬でジェハを奪い取るといった展開や状況は個人的には認識できなかったですね。
なお、この映画に関しては非正規教員のヒョジュ、理事長の娘でコネで入った正規教員のヘヨンの対比が少々描かれております。冒頭では非正規教員の厳しい扱いが描かれており、職場での地位でかなり差別化されているのが明らかです。
それでいて、非正規教員なのでマンション暮らしでヒモで作家のダメ彼氏と同棲しているので臨時教師はちょっと・・・とヒョジュは教頭に言う下りはあるのですが、こういう個人的な案件は直ぐに引き受けないのか、結局ヒョジュは3年4組の臨時教師をすることになるのでした。
ダメ彼氏は作家なのですが、執筆するにあたって書き上げるのに時間がかかるとかああだこうだ理屈を言ってヒョジュをごまかし、ヒョジュが洗濯のさいにはヒョジュの服と彼氏の服を別々に洗濯してほしいとヒョジュが言ってるのについ一緒に洗濯してしまったり、仕事中にずかずかと学校の運動場に上がり込んでいく自分勝手きわまりない始末。おまけにフランスに行って執筆しに行くと言い、俺はお前に期待なんかしてないとキャリーバックを引きずってどっか行っちゃうのでした。
そんななか、ヘヨン先生が来るのですが、一見素直そうな性格の持ち主であるものの何処か場違いな行動を取っていてヒョジュには気がかりといった様子でした。
理事長の娘ということか正規教員のおじさんたち相手を軽く受けとめ、化粧品会社の婚約者を持つ順風満帆そうな美人さんなのですが、ヒョジュに対しては「先輩じゃなくて、先生」とちょっと生理的にいらっとすることを言ったり女性教師は殆どズボンなのにヘヨン先生に関してはスカートだったりと色々と抜けていました。
で、ヒョジュはまるで市原悦子並みにジェハとヘヨン先生が情事をしているところを目撃しているのですが、まあおっぱいは見えていないものの濡れ場としては生々しく良く出来ておりました。
やがて、ヒョジュはジェハとケリをつけてとヘヨン先生に突き付け、ジェハをまるでヘヨン先生のところから強奪するかのようにジェハを手元に置くようになります。それでヒョジュはちょっと意地悪をして痛め付けてやろうかと行動を起こすように。
まず、体育館を夜遅くで使用することを強引にやめさせると、知り合いが経営しているバレエ教室に夜に通わせておくことにします。
それで、ジェハの携帯をヒョジュが見るのですが、ヘヨン先生と明らかに関係を持っていたのでムカついて携帯を教室の外で投げ捨てるのでした。
ジェハとヒョジュの関係が進み始め、ヒョジュはジェハが職員室にいるときにヘヨンに向かってフフフと微笑みを送る。
まあ女にとっては嫌な感じに捉えてもしょうがないシーンでした。
それからヒョジュはジェハから「コンクール終わるまでの担保だ。」腕時計をプレゼントされたりジェハからの提案で一緒にバレエの公演を観たりと順調そうに日々を送ります。
そんななか、ジェハが「お父さんが最近恋人と一緒だから・・・」と言って家に帰りにくいムードを作るのですが、ふとヒョジュが家に来ようかと言ってジェハを誘うことに。(後にこの発言が嘘だということが明らかになる。)
ヒョジュがジェハをマンションの一室に入り、ヒョジュが元彼氏と同棲したときの服をジェハに差し出したことから「まさか男の人と一緒だったの?」と疑問を募らせたその時、なんとまあ元彼氏がずかずかと登場。
元彼氏曰くあれから考えてたんだけどお前の作る飯以外はのどが通らないんだと言い、復縁を迫る元彼氏ですがヒョジュはそんな事言うなら家族に言いなさいとキッパリ。そこに背後からジェハが余裕で登場。元彼氏が「誰だこいつ。まさかあのガキと!」と言うのでもう復縁する気もなかったヒョジュが肯定するので
元彼氏は「クソ女に豹変しやがった。」と言ってマンションをあとにするのでした。
その日は自分の部屋で鍵掛けて寝たのですが、夜明けにジェハのもとに行ってジェハが「僕が彼氏になろうか?」と言われ、そのままジェハが寝ていたリビングのソファーで情事を交わすのでした。(ちなみに、ヒョジュとジェハのパートはあまり露出はありません。ジェハとヘヨンのパートのほうが刺激的でした。)
で、バレエコンクールが近づくなか、職員室でふと他の教員と話をしているヒョジュのあの腕時計を観て、死んだ魚のような目で見上げるヘヨン。これってなんか企んどるなあ。
そして、バレエコンクール当日。
ヒョジュは本番前に楽屋に行って花束持ってジェハに挨拶をすると、いざ会場に行って後ろの方の席に座ってジェハのステージを観ることに。まるで保護者同然にスマホでジェハを撮影していると、何故か会場にヘヨンが座っているのに気づき、不審感を覚えます。
で、ヒョジュはバレエを終えたジェハを迎えようと走りますが、会場のどこにもいないし、電話にも出ない。ジェハはヘヨンの車内にいてヘヨンと話しております。
実はヘヨンはヒョジュに反撃を開始していました。
ケリをつけたどころか今度はジェハにヒョジュを落としたらヨリを戻すと言い、ヒョジュとの関係は実はヘヨン先生の指示で動いたってこと。それで理事長の娘ということで、ヘヨンはジェハに学費を免除すると言いますが、ヒョジュに目撃されたことで、理事長にバレるのではと焦りに焦り、車内に出て泣き出してしまいます。ジェハは「バレなければいいんだ。」と言い、ヘヨンを抱き締めます。
その頃、ジェハがいない間に会場ではジェハがバレエコンクールでは銀賞授賞という発表が。
そこはジェハさん。会場にいてくれよ!
ヒョジュは車でヘヨンと帰ってるのかという確認のためかジェハの実家の近くへ。
すると、実家の近くにひとつの車が。なんとヘヨン先生がジェハを帰りに実家に送り、キスを交わしているという光景だった。
翌日、朝礼のあとにジェハを呼び出しますが、ジェハはどうもヘヨンを本気で愛しているらしく、ヒョジュはもうお払い箱といった模様でした。それと父親に恋人がいたのは嘘だと言うのでした。
さらにヒョジュはヘヨン先生と話しますが、今度はヘヨン先生がヒョジュとジェハとの関係を理事長に密告すると言い出し、更にヘヨン先生はジェハに通わせた
バレエ教室のレッスン代を札ごと差し出すのでした。
更にヒョジュは追い詰められます。
しばらく臨時教師だったのですが、なんと3年4組の担任だったキム先生が教頭から急かされて復帰。当然生徒との禁断の愛なんか話せる訳もなく、キム先生とは話さず。更に教頭から契約が更新されていないと非正規教員であるヒョジュの教師生命にも危機がかかります。
3年4組のキム先生とジェハを遠目に観て、彼女がとった行動はと言うと・・・
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ネタバレ
昼ごろ、車で学校を去ると「僕は死にません!」とあのドラマを彷彿とさせるかたちでヒョジュが車の上に立ちます。
ヒョジュはヘヨンにヘヨンに向かって厳しく接したことやこの状況で教師をやめたくなかったことを泣きながら土下座で謝り、ヒョジュとヘヨンは男子生徒に見られながらお互い抱き締めます。
そして、契約の件はパパに言っておくからとヘヨンはヒョジュの契約更新を考えておくことにします。
夜、和解したところでヘヨンはヒョジュをヘヨンの高級マンションの一室に入れることに。そこで、ヘヨンは先に風呂に上がりバスローブ姿になってソファーで寝ようと、ヒョジュは台所で調理しようとしていました。
そこで、ヘヨンの黒い心が露出していきます。
突然、ジェハのこと愛していたの?と話始めたヘヨン。ヘラヘラと笑いながら最悪な話をしだします。
なんとヘヨンはジェハをガキだからといって真剣に愛していることはなく、本当は来年には婚約者とカナダに行って暮らそうとしていたのでした。それまでにジェハと遊ぼうとしていたのでした。
おまけにヘヨンが言ったヒョジュを利用しようとしていたジェハが言った一言をのべます。「ヒョジュに本気で愛されてるかも。」と。
ゲラゲラと笑い、のんきに寝ようとするヘヨンにヒョジュはジェハを弄んだヘヨンを許すわけにはいかず、沸騰したやかんを手にとって鼻の穴を伸ばしながら寝ているヘヨンに熱湯を攻撃。ヘヨンはヒョジュに手を伸ばしますが、間もなくして息を絶つのでした。
ヒョジュは風呂に入り、ジェハのことが頭から離れずにいたので、ヘヨンの携帯でジェハをメールで呼び出します。
ジェハは来ますが、ヘヨンじゃなくヒョジュが来たので動揺します。ヒョジュは「大学のときから仲が良かったのよ。」
料理は並べられており、ヒョジュは食事しようと誘います。
「ヘヨンは何処なんだ。なぜあんたがこの家にいる?」と焦ります。ヒョジュは「私を愛してたでしょ?」とジェハを抱き締めますが、それでもジェハはヘヨンの居場所を聞きます。
そこでジェハは「お前があの時体育館でのことを目撃しなければ幸せになれた。」「お前は先生でも女でもない。悪魔だ。悪魔。」と言い、ヒョジュは「ヘヨンは君を本気で愛していなかった。」と真実を述べました。それでジェハは「じゃあ先生はちがうのかよ!」とヒョジュを詰問。そしてジェハはヒョジュをソファーのところまで追い詰めると
「先生には愛犬が必要だった。」「僕はなんでも従ったのに。」
とジェハは下半身のズボンとパンツを脱がし、ヒョジュのベージュのパンツを引き剥がすとそのまま犯しあげます。
「でも僕は先生を愛してなんかない」
ヒョジュは嬉しさと悲しみが混じったような顔でそれを受けとめるのでした。
夜明け前、ヒョジュは何事もなかったかのようにヘヨンの高級マンションのもとへ去り、ジェハは下着姿で顔を洗って折りました。すると、バスタブが気になったジェハ。ジェハはそっとバスタブのカーテンをめくると、その光景に顔が凍りつき、思わずかがみこみます。
ヘヨンはバスタブで無惨な姿に置かれており、ジェハは号泣します。
朝、学校で男子生徒が登校するなか、パトカーが数台学校に来ます。ヒョジュは職員室に着くと、自分のマンションで作ったのか、ヘヨンの高級マンションで作ったのか、華麗にサンドウィッチを平らげ、不意にパトカーの走るところを遠目に観ているところで物語は終わります。
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「私を忘れないで」のキム・ハヌル主演で、11月頃まではwowowで放送されてからは劇場未公開だったものの、特集上映「のむコレ」にてシネマート新宿、シネマート心斎橋にて限定で劇場公開されたこの韓国映画。(wowowのジャパンプレミアムだけで放送されたからといって劇場公開されるやつもあるので劇場未公開というレッテルを貼るのはやめてもらいたい。)
私を忘れないで
https://blogs.yahoo.co.jp/yukey19971128/41062466.html
正規教員と非正規教員の厳しい対比とみずぼらしい生活を送るヒョジュとコネで赴任したヘヨンがバレエ特待生のジェハを巡ってドロドロの愛憎劇が繰り広げられるのですが、あくまでもヒョジュ以外は殆どは明らかに酷い人間ばかりで、特にジェハは高校生の癖に父親がどんな教育してんだよと言いたくなるほど腹が立つキャラで、更にヘヨンもつくりか天然かと思えば結局は殆どは作って演じていたという酷い魔性の女でした。
ヒョジュもちょっと悪そうな女に見えますが、かえって後半ではジェハとヘヨンが悪いやつだったのでラストシーンでいい意味で懲らしめたのでちょっとスカッとした終わり方で意外と良かった映画でした。
なんせ、邦題がエロ剥き出しの邦題ですが、露出もあまりないので、R15指定ですがエロ描写が控えめなのでやや普通に観れそうな映画ではありました。
ということで、この映画。韓国映画好きにはたまらん濃厚な一作なので是非とも観賞してみてください。