プロミス


『プロミス』 (2001・アメリカ)

■監督:ジャスティーン・サピロ B.Z.ゴールドバーグ カルロス・ボラド

■撮影:ヨーラム・ミロ イラン・ブックビンダー

■キャスト:ヤルコ ダニエル マハムード シュロモ サナベル ファラジ モイセ


さてさて、今回は僕の個人的にお気に入りの映画、プロミス。

テーマは、残念ながら今でも連日悪いニュースに登場してしまうイスラエルとパレスチナ。


僕は去年の冬に中東を訪れたのですが(シリアとヨルダン)、この辺でもイスラエル問題に触れました。例えばみなさん、パスポートにイスラエルの入国スタンプが残っていると、シリアに入れないのって知ってました?それくらいこの辺の地域は現在でもピリピリしてるんですよね。


それでは本題。この映画では、イスラエルに住む普通の子供たちと、パレスチナ側(ウェストバンクだったかな?)に住む普通の子供たちとの交流(監督のゴールドバンク氏を通してお互いの写真を見せたりして、お互い興味を持たせるようにして一日遊ばせるまで)を描いています。


「今までイスラエル人に私達パレスチナ人の境遇を説明した子どもがいる?いないでしょ」

映画の中で、複雑な心境を抱えて逢うのを拒んでいたパレスチナの男の子に対して友達の女の子が言ったセリフです。これが何よりも大事なことだと僕は思います。それは言葉を用いて説明、対話すること。それが問題解決の第一歩であり、なお且つ最終手段であると強く感じていますから。まぁどっかから「何甘いこと言ってんだ」って声が聞こえてきそうですが、最終的にはこれしか解決策はないのでは?と、それを改めて認識させてくれる良い映画でした。


プロミス 公式ページ


【勝手に採点:★★★★★★★★★☆】

あ

■青の稲妻  (ジャ・ジャンクー)

■アザー・ファイナル  (ヨハン・クレイマー) 

■あの娘と自転車に乗って  (アクタン・アブディカリコフ)


か

■花様年華  (ウォン・カーウァイ)

■カンダハール  (モフセン・マフマルバル)

■紅夢  (チャン・イーモウ)


さ

■ザ・カップ 夢のアンテナ  (ケンツェ・ノルブ)

■シベリア超特急  (MIKE MIZNO)

■シベリア超特急2  (MIKE MIZNO)

■白い風船  (ジャファル・パナヒー)

■スプリング 春へ  (アボルファズル・ジャリリ)

■世界  (ジャ・ジャンクー)


た

■大河のうた  (サタジッド・レイ)

■ディスタンス  (是枝裕和)

■再見 また逢う日まで  (ユイ・チョン)


な

■2046  (ウォン・カーウァイ)

■ニュースの天才  (ビリー・レイ)


は

■博士の異常な愛情  (スタンリー・キューブリック)

■裸足の1500マイル  (フィリップ・ノイス)

■初恋のきた道  (チャン・イーモウ)

■HERO  (チャン・イーモウ)

■フェーン・チャン  (コムグリット・ドゥリーウィモン 他)

■ブエノスアイレス  (ウォン・カーウァイ)

■プラットホーム  (ジャ・ジャンクー)

■プロミス  (B.Z.ゴールドバーグ 他)

■ぼくセザール10歳半 1m39cm  (リシャール・ベリ)


ま

■幻の光  (是枝裕和)


ら

■ランド・オブ・プレンディ  (ウィム・ヴェンダース)

■LOVERS  (チャン・イーモウ)

■龍城恋歌  (ヤン・フォンリャン)

■ロック,ストック&トゥー・スモーキング・パレルズ  (ガイ・リッチー)

これまでは5段階だったのですが、10段階に変更しました。


今まで20近くの映画を勝手に採点してきましたが、好きな映画だとどうしても5になりがちなんですよね。でもそれじゃあつまらないよなぁ・・・、いっそ倍の10倍にしてしまおう!ということでこうしました。


早速これまでのを全部10段階評価にしてみましたので、よろしければご参照ください。

幻の光


『幻の光』 (1995・日本)

■監督:是枝裕和

■撮影:中堀正夫

■音楽:陳明章

■キャスト:江角マキコ 内藤剛志 浅野忠信


さて、気を取り直して是枝監督の作品。

宮本輝原作の小説を映画化した『幻の光』。

ちなみに宮本輝氏の作品は、『ドナウの旅人』と『愉楽の園』しか読んだことないので、まったくどんな話かも知らずに観てみました。


テーマはずばり「生と死」。幼年期に祖母の失踪を引き止められず、結婚してからは突然の夫の自殺を止められなかった主人公。その二つの事件は彼女の心に暗い闇を残しますが、その中でどうやって生きていくか、を是枝氏らしく淡々と描いています。


夫の自殺に限定してここでは書きますが、僕が改めて感じたことは「死は生の対極にあるのではなく、生の一部に組み込まれている」ってことです。きっと、もうどうしようもないって時はあるんだろうなと思います。精神論とかじゃどうにもならない、何かもっと別の力に誘導されるときが。生の気が抜けるというか、なんというかね。この映画の中では、それを「きれいな光が見えて自分を誘うんだ」って表現していましたが、まぁそんな何かですね。当然僕はまだそんな状況に立ったことはないので、推測の枠を出ないわけですが(笑)。でも年間で30000人もの方が日本だけで自殺してるってことは、単に生きているのが嫌になったんだろう、なんて理由だけじゃ済まされないですよね。結局人間は生かされているってことなんでしょうか。何かよく分かんなくなってきたな。まぁ謙虚に生きていこう、ってことですね。なんだこのまとめは(笑)。


カメラも自然の光だけを用いて撮影しているのか何なのか、シンプルに仕上がっています。暗い室中での江角さんのシルエットは美しい。音楽も実にいい。


『シベリア~』とのギャップがありすぎて、変なレビューになってしまいました、ごめんなさい。これもきっとシベ超効果だな。まぁ、『幻の光』は、普段あまり考えないことを、考えるきっかけになる良い映画だったと思います。


【勝手に採点:★★★★★★★★☆☆】

シベリア超特急


『シベリア超特急』 (1996・日本)

■監督:MIKE MIZNO

■撮影:安藤庄平

■音楽:塚本達朗

■キャスト:かたせ梨乃 菊池孝典 アガタ・モレシャン シェニー・スェニー 水野晴郎


ギャーー!!


周りからの親切な忠告(役者の演技が酷過ぎる、ストーリーが意図不明、1時間半を返せ、おれの青春を返せなど)をなんとか振り切って、遂に悪名高き「シベ超」を見てしまいました。もう後戻りは出来ません。


このレビューを書く時間すら勿体無い気がしますが(笑)、せっかくなので書きます。もうとにかくすごい。つっこみどころがありすぎて、何をつっこめばいいのかがよく分からなくなるほど。皆さん一応演技をしているつもりなのでしょうが、基本的にセリフは全て秒読み。そして水野氏クラスになると、明らかにカンペを読んでいる(笑)。「大根役者」って言葉がありますが、大根だってもっと巧く演技するだろうに。しかもこれだけでもすごいのに、他にも色々すごい。もうとにかくすごい。


やや興奮した文章になりましたが、この映画ばっかりはいくら書いても真実は伝わりません。観てのお楽しみです。ただしその時間を他のことに当てた方が、より有意義な時間になることだけは忠告しておきます。


「いやぁ、映画って本当にいいものですね」


水野晴郎氏 公式サイト


【勝手に採点:採点不可】

裸足の1500マイル


『Rabbit Proof Fence』 (2002・オーストラリア)

■監督:フィリップ・ノイス

■撮影:クリストファー・ドイル

■音楽:ピーター・ガブリエル

■キャスト:エヴァーリン・サンピ ローラ・モナガン ディアナ・サンズベリー ケネス・ブラナー デビィド・ガルピリル


偏見に満ちた偽善。

その性質の悪さがよくわかる作品。


この作品は1931年に実際に起こった事件を映画化したもので、母親と無理やり引き裂かれた子供たちが、母を求めてフェンス越しに1500マイル(2400キロ!)も歩き続けるという話。


白人による、先住民であるアボリジニに対する隔離・同化政策。こういう映画を見ると、正直げんなりしますね、何やってんだよと。そして白人の方は本気でそれが正しいと思っているから、余計やりきれない。偏見で成り立つ偽善。まぁふと考えてみると、大戦中の日本も朝鮮半島に対して同じようなことしてたんですよね。支配するとなると何処でも生まれる手段なんでしょうか。困ったもんです。こういうのが客観的に見ることが出来る時代に産まれて本当に良かったなぁ。


ケネスブラナー氏が白人の監視役をしているのですが、これがすごいハマリ役(笑)。もうなんか嫌らしさが滲み出てるんですよね。あれはすごい。


あと撮影がクリストファー・ドイル氏なのですが、素晴らしい!の一言です。オーストラリアの雄大な自然をほんっとうに巧みに撮影することに成功してます。これだけでも見る価値あり。


裸足の1500マイル 公式ページ


【勝手に採点:★★★★★★★★☆☆】

世界


『世界 THE WORLD』 (2004・中国,フランス,日本)

■監督:ジャ・ジャンクー

■撮影:ユー・リクウァイ

■音楽:リン・チャン

■キャスト:チャオ・タオ チェン・タイシェン ワン・ホンウェイ


いやぁ、前々からこの監督には興味があったのですが、ようやく見てみました。

タイトルはシンプルで含蓄のある『世界』。


この映画は、北京郊外に実在する「世界公園」を中心に描かれています。世界公園とは、東武ワールドスクエアみたいなものでしょうか。広大な敷地にエッフェル塔やタージマハル・ピラミッドなどのミニチュアが再現されている、アミューズメントパークです。いわば小世界ですね。現在北京は、2008年のオリンピック開催に向けて急成長の真っ只中にいるので、その一環として建造されたのでしょう。


公園内ならパスポートも持たずに何処にでも行けるけれど、それは当然疑似体験でしかない。そんなことは分かっているけれど、実際に外国に行くことは出来ない普通の若者。映画の中で、ある若者が遥か上空を飛んでいる飛行機を見て、ぽつりとこう漏らすシーンがあります。「あの中には一体どんな人が乗っているんだろう…。」と。そのセリフが、タオの閉塞感を見事に象徴しています。現代中国特有の閉塞感みたいなものを。


映像や音楽、ダンスのシーンもきれいで楽しめます。でも何と言ってもこの映画で特筆すべきところはリアリティーですね。タオさんの周りの「世界」が本当によく描けています。結局個人個人の周りの世界っていうのは、大きな違いはないんですよね。未来に不安を感じたり、周りが幸せそうだとちょっと羨んだり、嫌なことがあると失望したり、嬉しいことがあったら笑ったり。そういう日常がよく描写されていたと思います。


【勝手に採点:★★★★★★★★★★】


世界 公式ページ

ロックストック&トゥースモーキングパレルス


『Lock Stock&Two Smoking Barrels』 (1998・イギリス)

■監督:ガイ・リッチー

■撮影:ティム・モーリス・ジョーンズ

■音楽:デビッド・A・ヒューズ ジョン・マーフィ

■キャスト:ニック・モラン ジェイソン・ステイサム ジェイソン・フレミング デクスター・フレッチャー スティング


こういうのかなり好き。

監督はマドンナの旦那さん、ガイ・リッチー氏。


僕の頭にある勝手なイギリスのイメージ「マフィア、不良少年、タバコ、酒、退廃、でもユーモア」みたいなものを、とてつもなくご上手に描いていると思います。まぁうるさいドタバタ騒ぎと言えないこともないのだけれど、それもオシャレとして軽快なリズムに乗せてぐいぐい引っ張っていきます。


こういう映画はどこまでバカバカしくユーモアたっぷりに描くことが出来るか、が勝負だと僕は勝手に思っているので、大満足でした。


それにしても、この映画のタイトルは日本語訳をつけた方がいいんじゃないの?


【勝手に採点:★★★★★★★★★☆】


ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 公式ページ

紅夢


『紅夢 RAISE THE RED LANTERN』 (1991・香港,中国)

■監督:チャン・イーモウ

■撮影:チャオ・フェイ

■音楽:立川直樹

■キャスト:コンリー フー・チェイファン マー・チンウー ツァオ・ツイフェン


ヴェネチアで銀獅子賞を獲得した作品ということで楽しみにしていた作品です。さて、内容は…。


いやぁ~、女性って怖いですね(笑)、の一言に尽きます。物語は、大豪邸の四番目の妻となるコンリーを中心に、他の三人の夫人との愛憎劇を描いているのですが、使用人もだんなさんと出来ていたりして、いかんせんドロドロし過ぎ。壮絶な足の引っ張り合いが行われていて、ややうんざりしてきます。まぁ、実際あのような状況下に置かれたら、誰でもああなるかな。にしても第二夫人は適応しすぎ(笑)。まぁああいう人が権力を握るのは、いつの世でも変わらないんでしょうけれど。


やはり一夫一妻制は存続されるべき制度ですね。なんてことを再確認した映画でした。トラブルの元は一夫多妻制にあり!


【勝手に採点:★★★★★★☆☆☆☆】

ザカップ


『ザ・カップ 夢のアンテナ』 (1999・ブータン,オーストラリア)

■監督:ケンツェ・ノルブ

■撮影:ポール・ウォレン

■音楽:ダグラス・ミルズ

■キャスト:ウゲン・トップゲン ネテン・チョックリン ジャムヤン・ロゥドゥ ラム・チョンジョル


近年、リチャードギアを中心として?ハリウッドでも人気沸騰中のチベット仏教をベースにして作られた映画です。舞台は仏教国、ブータン。個人的に訪れてみたい国の一つなのですが、ビザが個人には下りず、またツアーも膨大な料金を取られるということで、まだ行っていない国です。いつ行けるんだろう。


チベット仏教というと、日本人にはあまり馴染みがないかも知れませんが(僕自身もあまり知りませんが)、皆さんダライラマ氏の名前くらいは知っているはずです。彼こそがチベットでの最高権力者であり、チベットの象徴なんですね。非暴力思想を有している立派な方です。


この映画で特筆すべきは、監督やキャストのほとんどが、実際の僧たちであるということです。皆さん演技がとてもお上手ですね(笑)。違和感なく見れますので、まったく問題ないです。むしろ、実際の僧たちを使っていることで、よりリアリティーが出ているような気がするほど。


現代では情報のグローバル化が進み、仏教の修行の障害となるものもたくさん出てきています。この映画では、1998年のサッカーのワールドカップを取り扱って、サッカー大好きな少年僧たちが如何にTV中継を見るか、を苦闘する様子が描かれていますが、現実の僧たちはこういうものだろうと思います。もちろん中には修行に専念することが出来る僧もいるとは思いますが、むしろ少数派ではないかと。厳格な仏教徒を否定する気は毛頭ありませんが、こうして折り合いをつけてバランスを取った僧たちも、立派な僧であるということが出来るのではないでしょうか。むしろ人間臭くて、僕みたいな凡夫には親近感も得ることが出来ますしね(笑)。ラストの先輩僧の言葉もとっても印象に残るものとなっています。


ソフトな仏教のようすを垣間見たい方にはおススメの映画です。


ザ・カップ 夢のアンテナ公式ページ


【勝手に採点:★★★★★★★★☆☆】