りさぽんと森林どちらもあります。

 

 

「ひかる~私の下着どこ~?」

 

「そこの棚です~」

 

「え~、どこ~」

 

「ここですって。」

 

「あっ、ホントだ。ナイスひかる~」

 

「はいはい。」

 

ひかると同居をし始めて早一年。福岡から上京してきたひかるが、私の勤めている会社に入って、一緒に働くうちに仲良くなった。



それからしばらくして新しい家を探していたひかると同居を始めることになった。

 

ひかるは家賃を折半できて、私にとっては家事の負担が減る。互いにメリットがあったからだ。

 

だいぶ夜が深くなってきた頃。私たちはお酒を片手にソファに凭れ、ピスタチオの殻なんかでタワーを作ったりとゆっくりと談笑していた。

 

 

由「私、このままでいいのかな。」

 

ひ「何がですか?」

 

由「いや、小さい頃ってさ大人になったら、結婚して家庭を持って。そんな大人になるって想像してたんだけど。」

 

ひ「はい」

 

由「それがさ、いい大人が夜中にピスタチオタワーなんか作ってんだよ。」

 

ひ「へへっ、そうですね。由依さんは結婚するつもりないんですか?」

 

由「う~ん、まあしたいっちゃしたいけど、相手もいないしね。」

 

ひ「でも由依さん意外と理想高くないですか?」

 

由「いやいや、そんなことないよ。」

 

ひ「えっ、じゃあ言ってみてください。」

 

由「ポジティブで、シンプルな恰好が似合って、そこそこ背が高くて、でも守ってあげたくなるような小動物感もあって、」

 

ひ「高い、高い笑」

 

由「で、寝る前に晩酌付き合ってくれて、ベットまで運んでくれる人ー」

 

凭れるようにひかるに抱き着いた。そのまま倒れるように、わーなんて可愛い声を上げながら床に寝転んだ。

 

ひ「いや、やっぱそれ高すぎですよ。」

 

私につぶされながらも、腕を伸ばしぺちぺちと背中を叩いてきた。  

 

由「そう言うひかるはどうなの。」

 

体を持ち上げ姿勢を元に戻しながら聞いてみる。

 

ひ「ん~、今はそうゆうのはいいかなって感じです。」

 

由「ふふ、一緒じゃーん。」

 

ひ「もお、一緒にしないでください~。」

 

先輩後輩同士とはいえ、気楽な日常。こんな生活がいつまでも続くと思っていた。

 

 

 

_________

 

 

in会社

 

由「部長。開発費の決裁書、確認してください。」

 

理「ああ、りょ~か~い。」

 

お茶らけた返事をしてきたこの人は一応この会社の部長。渡邉理佐さんだ。

 

理「今署名するから、ちょっと待ってて。」

 

由「ありがとうございます。」

 

お辞儀をして頭を上げるとニコッと微笑まれた。あぁ今日もいい人だななんて思っていると

 

「部長ちょっとよろしいですか?」

 

理「うん、どうしたの?」

 

「私今日で最後なので、」

 

理「あ、、あっ、そうか。」

 

「ホントに今日までありがとうございました。」

 

由「あっ、じゃあ写真でも撮ります?私やりますよ。」

 

理「ん。そうだね。じゃあ私ので撮って。」

 

由「はいっ」

 

理「お~い、みんな集まって~。写真!みんなで撮るよ~。」

 

由「いきますよ~。はい、チーズ。」

 

パシャ

 

由「あっ、ブレたかも。確認しちゃいますね。」

 

「え~笑」

 

「ちょっとしっかりしてよ~笑」

 

由「へへっすいませ~ん。」

 

 

会社の人たちからぶーぶー言われながら写真を確認する。あれ何枚撮ったっけ。とりあえずスクロールする。

 



え、なにこれ。





さっき撮った写真を通り過ぎ部長の私用の写真が出てくるのは問題ないんだけど、スクロールをしてもしても出てくるのは私の写真ばっかり。

 

しかも隠し撮りっぽくて、私がこっそりお昼寝をしてる時の写真とか、ご飯を食べてるのとか、会社の人と話しているところとか。

 

いくらスクロールしても私の写真しかない。

 

ひたすらスクロールをしてしまっていると、パシッとスマホを奪われた。

 

顔を上げると渋い顔をする渡邉部長がいた。しばらくお互い動けないでいると

 

その様子を不審に思ったのかほかの社員が

 

「なになに~、どうしたの~」

 

と口々に聞いてきた。すると部長が

 

理「あぁ、ごめんごめん。めっちゃブレてて笑」

理「小林さんも撮ろう。葵ちゃん代わりに撮って~笑」

 

「も~なんで私なのよ。ハイじゃあ撮るよ」

 

「由依ちゃ~ん、じゃあこっち来て~」

 

同期のみいちゃんに呼ばれたため咄嗟にそこに行く。

 

結局その場のガヤガヤとした空気に流されて真相は分からなかった。

 

 

 

 

inトイレ

 

えっ、えっ夢?いや私だよね、、、えっなんで渡邉部長が、、

 

鏡の前で一人。答えがまとまらず悶えていると

 

「ねえ。」

 

由「うわっビックリした。」

 

突然現れたのにも関わらずさっきのことがまだあるのに、部長は気にせず近寄ってきた。

 

由「な、なんですか?」

 

じりじりと近寄ってくるため私もつい後ろへと後ずさりをしてしまう。

 

とうとう壁にまで追い詰められて、部長の両手が私の耳の横を通り、壁についた。

 

理「好き。」

 

由「へ?いやいや部長。えっ?」

 

理「見られたからもう正直に言うしかないでしょ?遅かれ早かれ、自分の気持ちに嘘をつくのはもう限界だったし。」

 

由「じょ、冗談ですよね?」

 

理「私の目を見て、冗談言ってるように見える?」

 

そう言いながらどんどん顔が近づいてくる。

 

やばいと思いながらも、うまく逃げることが出来ない。近づいてくるその顔に、もう半ば諦めかけているとコツコツと誰かが入ってきた。それをきっかけに渡邉部長は離れていった。

 

すると部長は人がいるからか部長はいつもの声音で

 

理「じゃあこの件についてだけど、それ一週間待つからじっくり考えといて」

 

 

 

 

in自宅

 

ひ「えっ渡邉部長が?」

 

由「びっくりでしょ?」

 

こんなこと一人で抱えることもできないので、お酒を飲みながらひかるに今日あったことを話した。いつものように横に並んでお酒を飲む。

 

ひ「で、どうするんですか?」

 

由「どうするもこうするもさ、明日からどう接すればいいのか分かんないよ。」

 

ひ「そっか、部長が、由依さんを、、」

 

由「ねえ~ひかる~。私明日からどうしよう。」

 

項垂れるようにひかるに寄りかかる。

 

しばらく沈黙が続くと、ひかるは私の手からお酒を奪い机に置いた。その様子を呆然と見ているとぐいっと肩を掴まれたと思えばそのまま押し倒してきた。

 

身長差を埋めるようにずいっと頭を寄せて目線を合わせるように、大きな目でこっちを見てくる。

 

「由依さんのタイプに私が当てはまらないのは知ってます。でも私じゃダメですか?」