最近、由依の距離が近い。
いや、付き合っているのだから、距離が近いのは当たり前なんだけど。
正しく言えば最近、由依からのスキンシップが多い。
一緒にお仕事がある日や、一緒に帰れる日は、楽屋から出た瞬間から手を繋いでくる。
前までは一切なかった。逆に繋ごうとすると、人いるじゃんとか言って繋いでくれなかったのに。
どういった心境の変化だろう。まだまだ他にもある。
次の日が朝からの仕事で体を重ねない日は私が由依を後ろからハグをするようにぎゅっとして寝る。
今までは、暑いとか、寝返りができないとか色々文句を言ってたのに、最近は、私がぎゅっとすると、由依はこっちを向いて、私の胸の当たりに顔をうめて手を回し、私の寝間着をぎゅっと掴んで寝ている。
いや、もう正直に言って可愛すぎる。
押し倒したい!けど、次の日の仕事を考えると出来ないから、抱きしめる力を強めて、私も眠りにつく。
他にも、いってきますや、ただいまの、キスもだいたい私からで、仕方がないなぁ〜みたいなスタンスだった由依が、最近は、違う。
帰って来る時に考え事をしてしまい、ただいまのキスを忘れると、服の端っこをクイってして、キスしないの?って上目遣いで、首をちょっと曲げて、アピールしてくる。
あぁ〜〜もう!可愛すぎる!!
そういう日は、ちょっと長めにキスをする。腕を由依の背中側に回し、さわさわと背中からお尻を往復しながら触る。
すると、
「んん。りさ、長いし、触りすぎ。」
なんて言うから、
「由依が可愛すぎるのが悪い。」
と返事をすると、顔や耳を薄い朱にそめ、そっぽを向いてソファーで、テレビでも見始める。
めちゃめちゃかわいい。
こんなことが最近よくあるので、どうしたものかと考える。
由依に直接聞くのもいいけど、聞いたことによって、これらの行為がなくなるかもしれない可能性を考えると、すぐに聞くのも憚られる。
なので、こういう時は、おぜちゃん!!
由依が撮影しに行ったのタイミングを狙って、楽屋でこの話題を出す。
「おぜちゃん、ちょっといい?」
待機時間が割とあって、人がまばらな楽屋なので他に座る所もある中、おぜちゃんの隣に座る。
「どうぞ~。」
早速本題にはいらなければ。
「おぜちゃん、あのね、相談・・」
本題に入ろうとすると、
「ねえ理佐、ずっと思ってたんだけど、顔どうしたの。」
「え?かお??」
突然まったく身に覚えのない指摘された。
「その、ニヤニヤした顔。今日1日フッと気が抜けたときに、ずっとしてたよ。」
「え、嘘でしょ。」
「無自覚だったの?もしかして相談事はその顔と関係がある感じ?。」
いや、うん、おぜちゃんの察しの良さは前からだけど、、うん、地味に心に刺さってるから今さっきの言葉。ほかの人に見られたかと思うと、気が気じゃないよ、ほんとに。
「あ、あ、うん。そうそう。関係ある。」
結構、心に刺さったわけだけど、私はこんな話をしにきたわけじゃないから、本題に移ることにした。
「最近さ、由依からのスキンシップが多いの。どう思う?」
うん、まぁ、この流れで聞いたら、おぜちゃんがどんな反応をするのかなんてさすがの私でも気がついてたけど、、、
「はぁ〜」
この上なく呆れた表情をされた。そしてため息をつき、
「どんなことかと思えば、、詳しく教えて」
なんだかんだいって相談にのってくれるおぜちゃん。
私はあったことを全て話すと、、、
「私はノロケ話を聞かされただけにしか思えないんですけど。」
再度、呆れた目で見られる。
「ちょっと待って、ノロケ話じゃないよ。相談だよ。なんで最近、由依のスキンシップが多いのかについての!」
私が力説するのを横目に、スタッフさんからの差し入れを食べるおぜちゃん。
「お願いします。なにか、知ってることはないでしょうか。」
思わず敬語になってしまうほど、
「ゆいぽんのことについて理佐が知らないことを私が知るわけないでしょう。」
顔をあげて、当たり前のことのように言うおぜちゃんに少し嬉しくなるけど、嬉しいことを全面に出すと、相談に乗ってくれなさそうなので、また、お願いをする。
「じゃあ、なんか、人ってスキンシップが多くなる時ってさ、どんな時なの?」
「どんな時?ん〜どうなんだろう。人それぞれだと思うけど、、、」
「じゃあ、おぜちゃんの場合を教えて。」
「私は関係ないと思うんだけど、、」
「参考にするの。大事だから。」
いつもは聞けないおぜちゃんの話が聞けると思い好奇心から、さりげなく話題を振ってみる。
「要は人肌が恋しい時とかだと思うから、寂しいとかあとは、単純にその人のことが好きだからじゃない?」
「なるほど、、おぜちゃんは好きだからくっつく時とか、あるの?」
「ないかな。」
即答。一瞬。考える時間ゼロ。
まぁ、照れ隠しなんだろうけど。
前の由依もスキンシップが少なかったから、
「もう、莉菜の気持ちがわかるよ。」
「ん?」
あ、心の声が漏れてしまった。
「いや、何でもない。でも、好きだからっていうのは、ないと思うんだよ。だって、それだったら、付き合って最初の頃のほうが多いと思うからさ。」
「まぁ、それは私も思った。」
「でも、寂しい思いをさせているとも思えないんだけどなぁ。」
寂しい思いか、、お互い忙しい身だから、休みが重なる時も少ないし、夜そういうことをするのも世間一般と比べると少ないかもしれないけど。それ以上に、好きとか、言葉や態度で示してるつもりだったんだけどな。
「じゃあ、いつから、そんなに多くなったの?」
時期か。
「1ヶ月前ぐらいだと思うけど。」
「じゃあ、1ヶ月前になんかあったの?なにかゆいぽんにしたとか。言ったとか。」
「ん〜〜〜。何かしたことかぁ〜」
1ヶ月前を思い出せ。由依に何をした。
・・・何にも思い浮かばない。どうしよう。
「おぜちゃん、、なんにも思い浮かばない。」
泣きそうになりながら、伝えると、
「はぁ〜、頑張って思い出して。急にそうなったということは、きっかけがあるばすだから。思い出せたらそれが答えだと思うよ。」
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ガチャ
「ただいま〜」
全然、思い浮かばないなぁ〜どうしよう
なんて考えながら、バックを置いたり、時計を外したりしていると、、
由依がパタパタ近づいてきて、私の服の端をクイクイっとして、、
上目遣いで
「キスは?」
ぐっはぁぁぁぁ、危うく理性という名の最後の砦がどっかにいってしまう所だった。
でも、そんなことしたら、今、いい匂いを漂わしている由依お手製の晩御飯を食べれなくなるからそんなことはしない。
「ごめんごめん。考え事してた。」
由依の美味しそうな、プルっとした唇に自分のを重ねて、長めのキスをする。
由依が私の鎖骨あたりを手のひらでタップしてきたので、唇を離す。
「ご飯にする?それともお風呂にする?」
その続きの言葉を聞きたいが、残念ながら言ってくれる気配もないから、ご飯を頂くことにする。
美味しい美味しいクリームシチューを頂いて完全に胃袋掴まれたなぁなんて考えながら、お風呂に入って、晩酌開始。
たわいもない話をして、最近は、二期生の活躍すごいね〜なんてこんな時でも仕事の話とかもしてた。
由依がビールの缶を2本飲み終わると、おもむろに私の名前を読んだ。
「りさ」
舌っ足らずな声で、最近は疲れてたから酔うのがはやいなぁと思っていると。
由依の顔が目の前まで、迫っていて
気づくとキスをしていた。
角度をかえながら何回もしていると、由依から舌を入れてきて、ビールの味がした。
どれぐらいしたか、分からないけど、
キスが終わると、由依は私の胸に顔をグリグリして、私の足の上に跨って、抱きついて動かなくなった。
何この可愛い人は!?!?今すぐにでも押し倒したい!!
「由依?可愛すぎるんだけど、していいの??」
欲望を口にすると、
「ダメだよ。明日朝早いから。」
誰だよ。明日朝早くからのお仕事入れた人!?くぅ〜今すぐ抱きたい。けど由依の言う通り我慢をするしかない。
「じゃあ、今日はぎゅっとして寝よっか。」
「いつもしてるじゃん。」
「もっとぎゅっとするの。」
「痛いよ。」
「じゃあ、やめる?」
「ん〜ん」
そう言って、私の胸に顔を埋めたまま首を振る。
その日は、いつもより強く抱きしめて寝た。
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「理佐ちょっとごめん。」
次の日、マネージャーからある書類を渡された。
「これ、今度の写真集の関連書類。目通しておいて。」
「わかりました。」
そう、私は1ヶ月後に写真集の撮影を控えている。
1ヶ月・・ん?
そういえばこの撮影はかなり大規模で大事だからって撮影の日の2ヶ月も前に知らされた。まてよ、2ヶ月ってことは、今から1ヶ月前だよね。
ってことは、これか!!!
ん?でも、出張なんて、今までも何回もあったんだけどなぁ。
というわけで、こんな時のお助けおぜちゃん
前と同じように、楽屋で、、
由依は気になる振りがあるとかで、ダンスの練習をしている。
「おぜちゃん!分かったかもしれないけど、分からない!」
「ん?どういう意味?」
「あのさ、1ヶ月後に写真集の撮影があるんだけど、それを1ヶ月前に由依に言った。けど、今までも撮影で遠出なんて何回もあるからなんで今回に限ってと疑問が。」
「確かに、そうね。今回の撮影の予定はどんな感じなの?」
「今回は、北海道と沖縄で撮影して、別の場所で新木さんとかねるとかと写真撮ったりって感じ。」
「はぁ〜〜〜〜〜〜」
これまでで1番大きなため息かもしれない。
「なんで、そこまで、分かっててゆいぽんの気持ちが分からないのよ。」
「え!?逆におぜちゃんには分かるの?」
「これだから、理佐は。」
「だって分からないものは分からないし。」
「はぁ〜。ゆいぽんの苦労が目に浮かぶわ。」
「なんでー!?なんで、わかるの。」
「要は、心配なんだよ。」
「しんぱい?撮影が?」
「撮影自体は心配してないと思うよ。理佐だから。そうじゃなくて、新木さんとねるとの撮影があるからでしょ、どう考えても。」
「え?なんで?フツーに一緒に撮影するだけだよ。」
「あのね。理佐は新木さんに憧れてたんでしょ?それにねるともなんか怪しかったし、、もうすぐ理佐卒業しちゃうんだから余計心配でしょ。」
あぁ〜そういうことか。私が他の人に目移りすると思って不安なのか。ねるとなんか別にただのメンバー同士だし。
はぁー。そんなこと絶対しないのに。
「そういうことかぁ〜。」
「理解した?」
「うん。ありがと。今度なんか奢るよ。」
「ありがとう。じゃ、頑張るんだよ。」
今日は由依と2人で同じ時間に帰れる。
ちょっとの距離なのに由依は相変わらず手を繋いできて、握り返す。
家に帰っても、キスをして、ご飯を食べて、明日は2人とも休みだから、一緒にお風呂に入って、晩酌をする。
さてさて、明日は休みだから、こういう日は由依を美味しく頂くんだけど。今日はちょっと違う。由依が不安がっていることを取り除かなければ。
「ゆい」
「ん〜」
少し酔いのまわった由依が返事をする。
「由依は私の写真集の撮影心配してる?」
目を見開く由依。こんなとこも可愛いなぁ。なんて考えながら、、
気づかれてないと思ってたのかな。
「、、心配はしてるよ。理佐のことは信じてるけどやっぱり不安でね」
思ったよりはっきりとした声で私の目を見て言う。
あぁ〜もうなんでこんなに可愛いかなぁ。
「じゃあ、由依指輪買いに行こっか。撮影中はずっとつけてられるし、いつでも誰といてもつけるれるやつ買いにいこ。」
こんな私を好きだと心配だと言ってくれる由依を安心させるために。
「いいの?迷惑じゃない?無理とかしなくていいよ。私が勝手に心配してるだけだから。」
そんなに恐る恐る言わなくても大丈夫なのに。
「迷惑なわけないよ。お揃いで買いに行こ。由依の好きなアクセサリーショップでもいいし、ふたりが気に入ったデザインのを探して買おう?」
だんだん涙目になる由依。
薄い透明の膜が目を覆う。
「私は由依とずっと生きていきたいし、生きていくつもりだから、こんなところで言うことじゃないかもしれないけど、私は由依をずっと笑顔にしていきたい。だから、ふたりの指輪を買いに行こう。」
とうとう我慢出来なくなった、由依の涙はさらさらの頬を通ってソファーに落ちた。
手を伸ばして、まだ流れている涙を拭うと、泣き顔を見られたくないのか、いつものように私の胸に顔を埋めてくる。
「りさ、だいすき」
涙声で、小さいが、私の耳はしっかりと拾った。だから、私もお返しに、由依の耳元で、
「私も、由依が大好きだよ」
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由依にプロポーズのようなものをしてから、由依を美味しく頂いた次の日の朝。
「そういえば、由依は心配するとスキンシップ多くなるの?」
顔を私の胸に埋めたまま、恥ずかしそうに
「理佐に飽きられたくなくて、他の人が素直に言えることも恥ずかしくて言えない時があるから、ちょっとずつスキンシップ増やして私が理佐を大好きなこと表現したかった。」
あーあー!めっちゃかわいいよ!もうどうしたらいいか分からないぐらいにかわいい!!
昨日もあまりの可愛さに由依が意識を飛ばすまでやってしまったけど。
すいません。我慢出来ません。
「ゆい」
そう言って由依がこっちを向いたのを見計らって、キスをして、昨日の続き。
今日はもうずっとベッドの上でした。