会社を辞めた日。

 

正直、ほっとした。

もう、嘘をつかなくていい。

そう思った。

 

でも、その安堵は、長くは続かなかった。

 

 

辞めたあとに待っていたのは、

新しい始まりなんかじゃなかった。

 

朝、起き上がれない日が続いた。

何でもない一日を、ふつうに過ごすことが、難しかった。

 

私は、失敗したんだ。

そう思った。

 

みんなが当たり前にこなしている「会社」というものに、

私だけが、馴染めなかった。

 

そんな自分が、いちばん嫌いだった。

 

 

どれくらいの時間が経ったのか、よく覚えていない。

 

ただ、ある日ふと、思った。

 

——このまま終わるのは、悔しい。

 

「失敗した」という気持ちより先に、

悔しさが、こみ上げてきた。

 

私は、本物の化粧品を作りたくて、この道に入ったはずだった。

それなのに、何ひとつ自分の手で作れないまま、

ここで終わってしまうのか。

 

それは、どうしても嫌だった。

 

 

だから、決めた。

 

もう一度、きちんと勉強し直そう、と。

 

流行を真似る方法ではなく、

処方を、ゼロから設計する方法を。

 

会社では、一度も教えてもらえなかったことを。

 

 

次回は、その「勉強」が、どこから始まったのか。

——私の原点になった人の話を、します。