ACIDICNOTE
肌は、もともと"弱酸性"だ。
― 梅雨・汗と、肌のpHのはなし
Ingredient Research for Skin
梅雨。
なんとなく、肌が不安定だ。
テカるのに、ゴワつく。よく見ると小さな赤み。
理由のはっきりしない、その"なんとなく"の正体は、
肌表面のpHが揺らいでいること、かもしれない。
そしてこれは、AcidicNote という名前そのものの話でもある。
▎肌が"弱酸性"だ、ということ
健康な肌の表面は、弱酸性だ。
pHでいえば、おおよそ 4.5〜5.5 のあたり。
この弱酸性をつくっているのは、皮脂・汗・常在菌の代謝物が混ざってできる、ごく薄い膜。
いわゆる「酸性皮膜(acid mantle)」である。
この"酸性"には、ちゃんと意味がある。
- バリアを支える酵素は、酸性の環境でこそ働く。
- 善玉の常在菌は弱酸性を好み、悪玉菌(黄色ブドウ球菌など)は中性〜アルカリで増えやすい。
- つまり、"弱酸性であること"それ自体が、肌の防御だ。
▎汗と梅雨で、pHは揺らぐ
汗そのものは、敵ではない。
出たての汗は、むしろ弱酸性〜中性に近い。
問題は、その"あと"だ。
高湿度で汗と皮脂が肌にとどまり、常在菌が活発になる。
そこへ、こまめな拭き取りや洗いすぎが重なると、
肌表面のpHは、中性〜アルカリ側へ上振れしやすくなる。
アルカリに傾いた肌は、バリアがゆるみ、悪玉菌が優位になり、
ゴワつき・敏感・小さな炎症が起きやすい。
これが、梅雨の"なんとなく不調"の、ひとつの正体だ。
pHが乱れるとき、肌は"弱酸性"という本来の前提を失う。
そこに、ぽっかりと空白ができる。
▎なぜ、"酸(Acid)"なのか
AcidicNote ―― この名前は、ここから来ている。
健康な肌は、もともと酸性だ。
だとすれば、肌を整えるアプローチも、"酸性側"から考えるのが理にかなっている。
アゼライン酸、サリチル酸、LHA。
これらの酸は、ただ角質を"剥がす"ためのものではない。
肌本来のpH環境・ターンオーバー・常在菌バランスを、
"あるべき場所"へ戻していくための設計だ。
だから、濃度の高さや攻撃性ではなく、
肌の前提に合うかどうかで、処方を選ぶ。
Formula First. ―― これが、AcidicNote の立っている場所だ。
▎梅雨の"pHケア"、3つの原則
1. 洗いすぎない
アルカリの強い洗浄ではなく、マイルドな洗顔で。酸性皮膜を、流しすぎない。
2. 拭き取りすぎない
汗をこまめに拭くのは良い。ただし、ゴシゴシや強い拭き取りの多用は、膜を削る。やさしく押さえる程度に。
3. 酸は"攻める"より"整える"
高頻度・高濃度から始めない。低頻度から、肌の様子を見ながら。
酸は、本来あるべきpHへ"戻す"ための道具だ。
▎おわりに
肌に「悪い肌」はない。
"弱酸性"という前提が少し揺らいで、そこに空白ができているだけだ。
悪い肌なんて、ない。
空いていく肌があるだけ。
AcidicNote は、その空白の理由を、これからも成分の言葉で書きつづける。
*健康な皮膚表面のpHは平均して弱酸性(おおむね5以下)であることが報告されている(Lambersら, 2006 ほか)。皮膚常在菌バランスとpHの関係については、皮膚マイクロバイオームに関する総説を参照。本記事は成分・スキンケアに関する一般的な情報であり、特定の効果効能を保証するものではない。
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