会社を辞めた翌日。

目が覚めて、最初にしたことは、鏡を見ることでした。

何かが変わっているような気がしていました。

昨日までの私と、今日の私は、違う人間なのだと。

でも、鏡の中の肌は、昨日と同じでした。

いいえ。むしろ、もっと悪くなっているように見えました。


会社を辞めれば、何かが変わると、どこかで思っていたのかもしれません。

あの場所から離れれば、この肌も、元に戻ると。

そんなはずは、ないのに。


周りの人たちは、心配してくれました。

「どうしてあんな大きな会社を辞めたの?」

「これからどうするの?」

答えても、本当の意味では、伝わらない気がしました。

一番つらかったのは、誰かの言葉ではなく、

毎朝、鏡の前に立つ、その時間でした。


しばらくの間、私は何もしませんでした。

新しい仕事を探すこともせず、

化粧品を塗ることさえ、怖くなっていました。

洗顔をして、何も塗らないまま、

鏡の前に座る日々が続きました。

自分の肌を、素のまま見つめるのは、

本当に、久しぶりのことでした。


研究員として働いていた頃、

私はいつも、何かを肌に塗っていました。

新製品のテスト、原料のサンプリング、競合品の比較。

肌は、私の実験台でした。

何も塗らない自分の肌を、

こんなにも長く見つめたことは、ありませんでした。

⬆️ あの時、失った自分を取り戻すために、たくさん旅行に行きました。

 

⬆️ ドラえもんが一番好きなので、描いてみました。😂


何週間が経った頃でしょうか。

ある朝、鏡を見て、ふと思いました。

肌が、少しだけ、静かになったような気がする。

赤みも、かさぶたも、まだ残っていました。

でも、何かが違いました。

派手な成分を塗らなくても、

肌は、自分で、戻ろうとしていたのです。


その時、初めて思いました。

私は、化粧品というものを、

根本から見直さなければいけない。

会社で学んだこと、

研究室で教わったこと、

そのすべてを、一度、ゼロに戻さなければいけない。


そこから、私の本当の勉強が、始まりました。

次回は、その話をお伝えします。