前回、このシリーズを終わらせた。
トラネキサム酸という成分のことを、できる限り正直に書いた。
なぜ注目されるのか。
どう使うのか。
何と組み合わせるのか。
なぜ10%なのか。
書きたかったのは、成分の説明ではなかった。
この成分をどう考えて、どう扱ったのか——
その考え方を伝えたかった。
そして今日は、その考えが実際に形になったものを見せようと思う。
Tranexamic 10 ARB Plus
名前の中に、すべてが入っている。
Tranexamic——トラネキサム酸。濃度は10%。
Alpha-Arbutin——α-アルブチン。一緒に配合した。
そして、ARB。これが、この処方につけた名前だ。
最初から「セラムを作ろう」と始めたわけではなかった。
トラネキサム酸10%という濃度に確信が持てたとき、
自然と「では、何と一緒に使うのか」という問いがついてきた。
美白成分は多い。
でも、トラネキサム酸と本当に意味のある組み合わせになる成分は、
そう多くはない。
メラニンが作られる経路には、大きく二つのステップがある。
ひとつは「信号」のステップ。
肌が紫外線や刺激を受けると、メラニンを作れという信号が発生する。
トラネキサム酸は、この信号そのものを抑える。
もうひとつは「合成」のステップ。
信号を受けた細胞が、実際にメラニンを生成する過程だ。
α-アルブチンは、この合成過程で中心的な役割を果たす酵素、
チロシナーゼをブロックする。
二つの成分は、同じ場所で働かない。
それぞれ異なるステップで、異なる方法で介入する。
だから、組み合わせることに意味が生まれる。
これは、成分を並べただけのセラムではない。
経路を理解して、設計したセラムだ。
濃度を決めるのに、時間がかかった。
10%という数字は、研究データをじっくり見続けた末に出てきた数字だ。
効果が十分に発揮される最低濃度でありながら、
肌への負担を不必要に高めない地点を探したかった。
組み合わせを決めるのにも、時間がかかった。
相乗効果があるとされる成分はいくつかあったけれど、
作用機序が重複せず、互いを補い合う組み合わせかどうかを
ひとつひとつ確かめていった。
名前をつけるのにも、時間がかかった。
ARBという名前は、この処方の構造そのものから取った。
名前が、そのまま処方の論理になるように。
それでも、急がなかった。
良い処方は、急いでは生まれないと思っているから。
成分を信じて、研究を信じて、作る。
それが、Fill the Frame(フィルザフレーム)のやり方だ。
できた。
これが、私たちの答えだ。
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