前回。
のちの夫、やっちゃんと出会った私。
やっちゃんは私を、
「かわいい塚地」
と認識。
私はやっちゃんを、
「知的なイケメン。背低いけど」
と認識。
お互いちょっと気になってはいる。
でも仕事なので。
そっ閉じ。
そんな我々。
ここから、やっちゃんの謎の推し活が始まります。
パソコンをお揃いにせよ
内勤スタッフとして働くには、パソコンが必要だった。
事務所に出勤すれば会社のパソコンを使える。
でも在宅勤務をするなら、自分のパソコンが必要。
しかも自腹。
何を買えばいいのか分からなかった私は、先輩スタッフに聞いた。
「みなさん、どんなパソコン使ってます?」
「会長はMac派だね」
「ちなみに圧川さんはWindows派」
圧川さん。
つまり、やっちゃん。
私は会長には会ったことがなかった。
「じゃあWindowsにしようかな」
すると先輩。
「Surfaceだとタッチパネルだから便利だよ」
ほう。
それにしよ。
非常に軽い決断である。
しかし。
その頃。
私の知らないところで、スタッフ間のLINEが動いていた。
先輩。
「ぽぽち、Surfaceにするらしいですぜ」
やっちゃん。
「マジで!?お揃いーー!!」
知らん。
私は何も知らん。
ただ便利そうだから選んだだけである。
そしてSurface購入後。
朝早く事務所へ出勤した私。
スタッフルームには誰もいない。
新品Surfaceを机に置く。
パカッ。
うふふ。新品。
ルンルンしていると。
スマホにLINEが届いた。
やっちゃんから。
「Surface買ったんですね」
……。
え!?
どこにおんの!?
見てんの!?
誰もいないスタッフルームで、軽くパニック。
「なんで知ってるんですか?」
聞いてみた。
返ってきた答え。
「いつも見てますよ」
怖い怖い怖い怖い。
「普通に怖いです」
と返した。
真相。
事務所の防犯カメラ。
さらに、そもそも私がSurfaceを買った情報は、すでに裏のLINEで流れていた。
やっちゃん的には、
お揃いSurface確認完了。
くらいだったのだろう。
私からしたら、
監視されとる。
恋愛とサスペンスは、意外と紙一重である。
ネットゲームに誘いたまえ
この職場。
めちゃくちゃ仲がよかった。
どのくらい仲がいいかというと。
スタッフ同士で、同じネットゲームをやるくらい。
当時みんなで遊んでいたのが、
FF14。
私は知らなかったが。
ある日。
やっちゃんは直属の部下に命令を出していた。
「ぽぽちを誘ってきたまえ」
「御意」
会社組織を何に使っとる。
そして後日。
女性スタッフから声をかけられた。
「みんなでFFやってるの」
「ファイナルファンタジーね」
「ぽぽちもやろうよ」
そして。
「圧川さん、上手だから教えてくれるよ?」
私。
「やりたいのは山々なんですけど、ネットゲームやったことなくて」
「家帰ると子どもたちもいるし、そんなに時間取れないかも……」
と、冷静に返した。
心の中。
マジで!?
やっちゃん教えてくれんの!?
超やりたいやん!!!
帰宅。
こっそり検索する。
FF……
ネットゲーム……
ファイナルファンタジー……
……2つある。
ネットゲームのFF。
ナンバリングが2つ出てきた。
どっちだ!?
誰かに聞けばいい。
翌日、
「どっちのFFですか?」
と聞けば済む。
なのに。
なんとなくそのまま流れた。
結婚してから一緒にやりました。
時を超えてサブクエスト回収。
ちなみに。
私には同期が、ほかに3人いた。
FFに誘われたのは、なぜか私だけ。
今なら理由は分かる。
当時は知らない。
なお、このFF勧誘中。
ちょっと天然で元気な同期が横にいた。
先輩が、
「FFがね……」
と話していると。
同期。
「FFって何?
業界用語のほうっすか!?」
……。
まあ、こういう業界だもんね。
ファイナルファンタジーの話です。
隣の席を確保せよ
そんなある日。
やっちゃんの大阪長期出張が決まった。
数か月、こちらには戻ってこないらしい。
寂しいな。
と思った。
もちろん本人には言わない。
そっ閉じ継続中。
そして会社で、
「行ってらっしゃい会」
という名の飲み会が開催された。
大きなグループなので、支店のスタッフも大勢参加。
総勢30人強。
場所は新宿の居酒屋。
この人数。
そりゃもう大変である。
幹事さんが叫ぶ。
「とりあえず席ついてー!」
「通路塞いじゃうからー!」
しかし。
誰も座らない。
みんな話に夢中。
私はこういうのが本当に苦手。
誰かが動かないと終わらない。
よし。私が座ろう。
真っ先に動き、端の席を確保した。
一方。
その頃のやっちゃん。
ぽぽちの隣を狙う。
しかし。
本日の主役。
簡単には移動できない。
周りが離してくれない。
頑張って近づく。
結果。
私とやっちゃんの間に。
カッパみたいなおじさんスタッフ。
そして。
例のFF同期。
2人挟まった。
完全敗北。
やっちゃん。
なんとか遠くから私との交流を図ろうとする。
しかし届かない。
そこで。
みんなの写真を撮るフリをして。
私にスマホのカメラを向ける。
……カッパ、邪魔。
この時の写真。
結婚してから見せてもらった。
ブレてる。
小さい。
そしてカッパがいる。
何を撮りたかったのか、ほぼ分からない。
ちなみにこの日。
翌朝から、私はキャストとして長時間の予約が入っていた。
なので途中で先に帰ることにした。
するとやっちゃん。
「駅まで送りますよ」
私。
「いや、主役いなくなっちゃうじゃないですか」
お断り。
またひとつ。
恋愛イベントが業務判断に敗北した。
そして、会えなくなる
やっちゃんは大阪へ。
私はその後。
仕事の負担で体調を崩し、入院した。
そして内勤スタッフを辞めることになった。
もう会うこともないのかな。
そう思うと。
ちょっと寂しかった。
そんなある日。
私の誕生日。
やっちゃんからLINEが届いた。
プレゼント付き。
マグロのスタンプ。
なぜマグロ。
と思うかもしれない。
でも。
このマグロには、ちゃんと理由がある。
以前。
職場の喫煙所で雑談していた時。
私は言った。
「私、マグロ好きなんですよねぇ」
その場にいた人たちは、
「何それ(笑)」
と笑った。
私が好きなのは食べるマグロではない。
いや、食べるのも好きだけど。
マグロの顔が好きなのだ。
特に、タレ目。
そんな話をした時。
みんなが笑う中。
やっちゃんだけ。
スマホを取り出した。
検索。
しばらく画面を見る。
そして。
「ほんまや。マグロ、タレ目だ」
この一言が。
私は、なんだかすごく嬉しかった。
笑うんじゃなくて。
調べて。
私が何を見て「かわいい」と言っているのか。
同じものを見ようとしてくれた。
だから。
誕生日にもらったマグロのスタンプを見て。
あの話、覚えてたんだ。
と思った。
でも。
この時の私は、まだこう考えていた。
みんなに誕生日プレゼント送ってるんかな。
マメな人やなぁ。
違いました。
数か月。
会わない時間が流れた。
仕事の関係も、もうない。
そしてある日。
突然。
やっちゃんからLINE。
「元気にしてますか?」
そこから。
近況報告が始まった。
久しぶりに話す。
そして。
どういう流れだったか。
やっちゃんから突然。
私に想いを寄せている。
そんな内容のメッセージが届いた。
きゅん。
私も返した。
「私も、素敵な人だなと思ってました」
ここでようやく判明。
お互い、ずっと好きだった。
そして。
ここから我々。
猛スピードです。
とりあえず会おう。
いつ会える?
子どもがいる。
仕事もある。
距離もある。
しかし偶然。
その日の夜。
子どもたちは実家に泊まりに行く予定だった。
私。
「今日だったら時間作れたんですけどね」
やっちゃん。
「え、今日なら俺も都合いい」
はい。
即デート決定。
その頃。
私は子どもたちに話していた。
「ママ、付き合う人ができるかもしれん」
一方その頃。
やっちゃん。
突然決まったデートに備え。
できることを考えた。
唇パック。
次回。
交際開始から婚約まで爆速。
そして私はプロポーズを盛った。
付き合って。
子どもたちに会わせて。
台風が来て。
電車が止まって。
ホテルを探して。
家族になることを決めて。
最後は横浜で。
子どもたちの目の前でプロポーズ。
指輪は、子どもたちが選んでくれました。
……嘘は一言も言ってません。
真相は次回。
つづく。
