思えば秋口  がんと診断されると余命は5年が肝だという

健康おたくであもある父はがんと診断されただけでもうわしは死ぬんか

そういうひとりごちたことばを聞かされ答えのない答えを求められた母は
どうしていいかわからなかったに違いないけれど

もう切ったんだしその後の検査でも転移はないんだというんだから大丈夫だよ


そんな会話をお風呂の中から聞いていた
私は
がんでなくたってもうあちこち痛んで壊れてくる年だし
もうどこに行っても疲れた
なにをしてもぼんやりだけなんだから
もう子供も育て上げた
孫も成長した

どんな病気が体を包むかはもはやわからない年齢で
がんをことさら怖がることも必要ないんじゃないかと


母は何か感じたのか遠くに住む姉に連絡を取り

手術の日は来てほしいといった


手術の説明は聞いている
取れば治る感触ではあるけれど
もう二回目 高齢であるし

きてくれる?


姉はそれにこたえ娘を連れてくる約束をした

前日 手術の説明を本人と母と私で聞く


がんのある場所と大目に4分の3を取る説明
がんのある場所は胃の下部 
摘出した後の生活の食簡単な注意は術後看護婦からということ
あと
あけてみないとわからないことが出てくる可能性があります
腹膜播種といって腹膜内にがん細胞が散らばっている場合は
胃を取る手術をやめて胃に食物が通過しないように
食道から腸につなぐバイパス手術に切り替えます
それはご家族の了解をその場でいたしません
執刀医の判断に任せていただきたいんですがよろしいですか

腹膜播種というものが見つかった場合は
胃は取らない
、、、

ということは

胃にできたがんはとらないから  がんは早晩大きくなって
それが転移することも覚悟しなきゃならないってことか
・・・


わかりました。。。


なにがあるかわからない
われわれも全力を尽くして手術に臨ませていただきます
いろんな可能性危険性を前もってお話しさせていただきます

大腸がん手術のときも
漏れたり破れたり腐ったりの話は聞かされた

それもなんにもなく ここまで回復した
医者は最悪のことも言うんだろう


母の感触では
父はわかってるんだろうかという感じだったようで


わかっていないほうが悩まなくて幸せなんだと思うよ
泣き言を言われても慰めようもないじゃない