「麦秋」 小津作品と母 | 小春Koharu ブログ

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家で映画を観る時は母にも声をかけることが多い。
大抵自宅で観る映画は古い作品ばかりだから、母も最初は喜んで観始める。最近では、ごはんを食べながら時々寝てしまうようなことが出て来た母は、どんな映画でもうつらうつらとしてしまう。

ところが小津安二郎監督の映画だけは特別で、一度も寝てしまうことなく最後まで見終えるのです。それには私も驚きました。ほとんどの作品がそうなのです。

昨日観たのは「麦秋」。これも心に残る良い映画でした。
それを証拠に記憶があいまいになってしまった母は、ユーモラスな掛け合いの素朴な会話に声を出して笑い、最後まで寝てしまうことなく見終えると、鼻歌を歌いながら自分の部屋へ戻っていったのでした。

小津作品というと私の中では「東京物語」が一番にくるのですが、ほかの作品もどれもどこの家庭にありそうなホームドラマで、奇抜なでき事が起こるでなく、淡々とそれぞれの役の心情が描かれていて、最後はじんわりと切なかったっり寂しさを感じたりするのだけれど、どこか幸せを感じることが出来るのです。

「麦秋」と「晩春」の北鎌倉駅。海砂浜や海岸の映像は印象的で、原節子さんがとてもきれい。
「麦秋」のラストのどこかのお嫁入りを見送る両親の姿にはぐっと心を摑まれてしまいました。きっとそれはわが母も一緒なのだと思います。そしてモノクロ映画なのに確かに風になびく麦の穂はそれはそれは美しい黄金色をしていました。