グラスゴーのあんちゃん
わたしがハリウッドの俳優よりも英国俳優がすきなことにたいした理由はなくて、イギリスがすきでハリウッド映画がすきではないからだ。
きのうはここ2年ほど注目している英国俳優JMを取材する機会に恵まれた。
そもそもこの人がブレイクするきっかけとなったのは数年前の、ある子供向けハリウッド大作。
そんなもん、もちろん見ていなかったのだけど、今年になって、これの続編に出演する俳優に取材しなきゃならなくなり、急遽DVD鑑賞したのだが、ちっともおもしろさがわからなかった。
そんなどーでもいい映画のなかで、1人というか1匹だけ、ものすごいお人好しの珍獣だけが記憶に残った。とにかく怯える姿とか、困ってる顔が可愛すぎて。
その珍獣役ってのがこのJM氏だったわけである。
その後、次々とハリウッド作に出演し、大物俳優と共演してる彼。
美形なんだけど困り顔で、鼻っ柱の強いヒロインとやけに相性がいい。
わたしの印象に残ったのはそれより前、アカデミー賞を受賞した独裁者の傍らで怯える英国青年の役どころ。
というか、要するに不幸だとか劣等感がやたらと似合う俳優なんですなー。
しかしこの英国俳優、悲しいことに、ついにハリウッド超大作への主演を果たしてしまった。いわばトムクルの仲間入りである。
ところが会ってみるとわたしの心配はあっさりと打ち砕かれた。
彼は拍子抜けするほど気さくでいい人。スター然としたところが微塵もない、楽しいあんちゃんだった!
きれいなみずいろの目で、話をきくわたしの反応をじいっと見て、時々「そうそう!」なんてうなずきながら笑ったり、カメラを構えたらおかしなポーズをとってニッと笑ってみたり。
共演している超人気女優を、
「もー、ほんと怖いのなんの!!映画じゃカッコイイけど、実際にいたらどんだけ怖いか!」
とおどけて見せたり。
サッカーチームのセルティックのファンという彼の、あまりに気のいいグラスゴーのあんちゃんぶりに、すっかりこっちまで楽しくなってしまった。
話している間じゅう紅茶のカップを手放さないところも、イギリス男好きのわたしのツボ。
え~わたしもいつかパブに誘ってくださいよ、と言いそうになった(←図々しいにも程がある)。
この「わたしもパブに誘って!」的な人気、つまり一般女子の勘違いを呼ぶ人気。
つまり、あまりにイイ人っぽいから「もしかしてわたしでもゲットできそう」という、相手はスターなんだから100%ありえないことなのに、なんとなくありえそうに思えてしまうような親しみやすさ。
これって10年前くらいの、キアヌ・リーヴスにも共通する人気という気がする。あんだけ美形だし大作映画に出まくってるスターなのに、私生活&私服あるいは発言などがあまりにもイケてないせいか、前述の勘違いを凡人女子に起こさせるという。
トムクルじゃないが、オーラバリバリのスターも凄いのかもしれないが、スターなのに親近感を抱かせるほどの腰の低さって、実はもっとすごいことなんじゃないか。
偉くなって偉そうになる人なんて当たり前である。
先日のTLCWしかり、本当に実力のある人とゆうのはつまり、余裕のある人のことをさすのだなあ。
勝手に親近感といえば、きのう辞任を表明した福田首相。ちょっとショック。
なぜかといえば、その政策はともかくとして、わたしは彼に例の”勝手に親近感”を抱いていたから。
なんというか、あの猫背なかんじとか、ぺたっとした髪だとか広い額だとか眼鏡だとかが風呂上りのグダグダのキシダをおもわせるのだ。どうでもいいけど。
わたしに無駄な親近感を抱かせる福田さんだが、実力者ゆえの余裕はなかったようだ。
彼について「小泉さんみたいな勢いがない」「何をしたんだかよくわからん」とか云ってる一般人が多い。
ただ、政治家は俳優と違って、パフォーマーじゃない。
政治家に、ある程度のカリスマ性みたいのも必要なのかもしれないけれど、目立つことやわかりやすいアピールよりも、もっと大事なことがあるような。
そんなことより、次の首相には実力ゆえの余裕を持ってもらいたいもんだわ。