夢求む忘人 part1-2
葉芝市上空。
一羽のカラスが獲物を見つけた。ビルの壁と壁の間に黒っぽい虫がいる。カラスはすぐさま降りてきて虫を一飲みにし、また空へと舞い上がった。
そして、
爆ぜた。
正確に言うと、体の内側から先程食べた虫が膨張して、体が耐えられなくなったのだ。
「あーびっくりしたー」
防也は自分の部屋(欠落者としての)の部屋で一人ごちた。
「ふつ―食うか?〝虫〟をよ?」
彼の〝虫〟の能力の一つは虫の感覚と宿主の感覚を共有できるということだ。
例えば〝虫〟が後ろを向いていた時は前だけでなく後も見える。基本死角なしだ。
触覚も共有する為、カラスに食われた時、モロにそれを体感したのだ。
「でもすごいな。こんなことでも感動して涙が出てしまう」
防也は少し苦笑した。
「さて、と」
防也が欠落者から蘇生して一週間近くがたった。
そろそろここを離れるべきだ。
この一週間、先程の能力で至る所で情報を集めた。
この葉芝市をはじめ、近くの特環、普通の役所、虫憑きの集団・・・・・・・・・
そこで分かった事がいくつかある。
むしばねという特環に対抗しているレジスタンスがあること。
だいぶ虫憑きを生むという原虫―――始まりの三匹の詳細が分かってきたということ。
自分の知っている虫憑きはほぼ全員欠落者になってしまっていること。
そして何より驚いたのは、
「俺がいたころの最高は三号だったのに、今は最高の一号が五人もいるのかよ」
特環に発見された虫憑きは、捕獲され局員にされるか欠落者にされる。中には逃げおおせる奴もいるにはいるが。
そして虫憑きはランク付けされる。最高位が一号指定で十号まである。(彼の記憶ではほとんどが号指定すらされてなかった。)そして純粋に戦闘力が特化したのは火種、その他特殊な能力を持つものは異種、秘匿性をもつものは秘種と指定される。
防也はかつて特環に火種無指定局員〝G〟として所属していた。普通に虫憑きになってすぐ特環に見つかり捕獲され、普通に任務をもらい、普通に任務をこなし、普通じゃない敵に普通に欠落者にされた。
防也は一号指定のことを重点的に調べることにした。
最初の一号は〝ふゆほたる〟という触れたが最後、何もかもを破壊する雪を降らす蛍の虫憑き。(自分の知っている虫憑きがほとんどいないのもその〝ふゆほたる〟の捕獲作戦とその同時期に起こった特別環境保全事務局の東中央支部のクーデターによるものらしい。)さらに今現在では自分よりも早く欠落者から蘇生し、今も逃走中らしい。
そしてその〝ふゆほたる〟を欠落者にし、一人でクーデターを鎮圧したのが、悪魔〝かっこう〟。彼は防也がいた頃でも目撃情報がほとんどなかった同化型の虫憑きで、名前の通りかっこう虫の虫憑きだ。ほとんどの虫憑きに嫌われてるらしく、先程の通り悪魔と呼ばれているらしい。
その悪魔とは対極に位置するのがレイディーバード。ナナホシテントウの虫憑きで虫憑きの反特環レジスタンスむしばねの指導者だった。虫憑きを助けようとする彼女は多くの虫憑きに尊敬されていたが、この葉芝市でかっこうと戦闘中に自身の虫が成虫化して死んだらしい。
成虫化とは、〝虫〟が宿主の夢を食いつくしてしまった時にたまに起こる現象で、宿主の命と引き換えに〝虫〟が強大化することだ。実際に見たことはないが、この葉芝市のところどころにある大きな爆発のような破壊痕から恐ろしいほど強かったと思える。
またこの成虫はかっこうが一人で倒したという。これらのことからほかの虫憑きからはかっこうがレイディーを殺したと思われているらしい・・・・・・詳しいことはまだ分からない。
他の一号ではハルキヨという男と、〝槍型〟という虫憑きがいるらしい。
ハルキヨは魔人と呼ばれ恐れられており、ある意味ではかっこう以上に冷徹らしい。しかも特環東中央支部での情報では彼は〝殲滅班〟という名前の通りだが特環の暗部のような部隊に所属しているらしい。
〝槍型〟はほとんど情報が得られなかったが、ある虫憑きの大きな戦いで人知れず姿を消したとか、レイディーと同じくかっこうに殺されたとかいわれている。
本当なら東中央所属というかっこうの傍で聞きたかったが、ちょうどそのかっこうが脱走しただの、新しい同化型の虫憑き〝マーカー使い〟が現れただので辺りが騒がしい頃だった。
なのでそっちのことも聞くことにした。
そこで茶深とかいう女が率いる一団を見つけた。そこからはかなりの情報が得られた。
マーカー使いも見てきた。フツーの女の子だった。
懐かしい顔も見つけた。〝あしまき〟。彼は殲滅班になってた。彼には感知能力があり、多くの虫憑きを発見した功績がある。(俺の〝虫〟は力が弱すぎて感知されなかったがな)すぐに欠落者になった。
かっこう対マーカー使いの戦いを見てしまった。
ありえない。
何だあいつら。
悪夢のような強さだった……
っと、得た情報を反芻するだけでかなり時間を食った。そろそろ本格的にヤバイ。〝芥″も戻ってきたし逃げるか。
ゴキブリが手をつたって袖の中に消えた。
そして防也は立ちあがる。
「さらば、もう戻らねーよ」
彼は正午の葉芝市を歩く欠落者に交じりながら姿を消した。
やぁ
なぁ、ネタがない。
どうしよう?
とりあえずこの話題から行こう。
今日あった課題テストが問題多い。
時間配分が云々どころじゃない。
最後は穴埋めのようになった。
はい次、
なんか事あるごとに哲学のような思考になってしまう。
その思考に陥る時が決まって、
ムシウタをはじめとする二次元関係の倫理感を考えるときなのだ。
いつも泥沼化してしまう。
もういいや。じゃ。