ジャイナ教の聖地パリタナで巡礼者の行進にまざる | のんトラベル by Officeひるねこ

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『恋する旅女、世界をゆくーー29歳会社を辞めて旅にでた』、『泣きたくなる旅の日は世界が美しい』(幻冬舎)の著者・小林希による自分らしさを貫く”人生・恋愛・仕事の描き方”をお伝えします!

なかなかブログ更新がままならないインド。少し前に書き進めていたブログを今日は完成させてアップしたいと思います!

ここしばらく、ジュナーガル地方というマイナーなところを旅しています。
インドの最西端にあたり、地図でいうとちょこっとぽこっと飛び出ているあたり。ガイドブックや雑誌などでもめったに厚く取り上げられたりすることがないのですが、布や刺繍、民族工芸品の産地だということで興味をもって回ることにしました。
それ以外に、ここ、パリタナへ来たかったのもあり。パリタナは、聖なる山シャトルンジャヤがあり、山頂に点在しているジャイナ教寺院群は圧巻だとか。

パリタナという町は、グジャラートの州都アーメダバードからバスでおよそ6時間ほど。その前に、パリタナよりもっと南のディーウというインドで一番綺麗なビーチがあるといわれる南の町を訪れ数泊し、そこからバスを乗り継ぎ、6時間かかっていきました。

パリタナにかかわらずグジャラート地方は、観光客にめったにあわない。日本人と遭遇するなんてもってのほか。ところが、アーメダバードで、ももちゃんというアラサー女子と出会い、彼女もグジャラート地方をめぐるというので、ディーウで再会し、その後わかれてふたたびブジという町で出会う約束をしました。
また、ディーウやブジでの彼女と過ごした町については改めて書きたいなと思っています。

さて、パリタナ。
ディーウを朝7時半にでて、着いたのは午後1時半。
それから宿探し。前に、パリタナはどこにもいい宿がないという話をきき、どうしようかと迷いつつもオートリキシャに「Good Hotel Please!!」だけ言い走ってもらい、二個目のホテルにした。
そこが、バススタンドの目の前のHotel Shravakというところ。



部屋は、ここしかないと言われてみてみると、3人部屋かい! いらないよ~こんなにベッドさ~。しかもコールドシャワーだって。ホットウォターしかないのかーい。(ホットシャワーは、いわゆるシャワーで、ホットウォターは、蛇口からお湯がでるというだけで、大きなバケツにためて体を洗う感じです)
けど、他を探すのもめんどくさいし安いのでここにした。水回りとベッドシーツも清潔(これでも一応)だし、窓が多いので部屋が明るい。
あっという間に2時半になってしまった。



ホテルの人に、これからさっそく聖なる山シャトルンジャヤに登ってみたいと話すと、軽く5、6時間はかかるから明日にしたほうがいいよと言われる。横にいたフランス人のおじさんも、「嘘は言わない。この炎天下、いまが最も暑いときに登ったらきついよ。悪いことは言わない。明日の早朝に登りなさい」と。

まずはバススタンドに行き、明日のジュナーガル行きバスの時間を聞きにいくと、「午後二時半」という。それもローカルバス! ようは、おんぼろバスのうえ、いちいちたくさん停車して地元の人たちを乗り降りさせていくバス。けど、この土地この国の「日常」に入り込ませてもらうわけだから、文句の言いようがない。文句? いやいや、体がちょっとしんどいな~と思うだけで、心のどこかには、いろいろな人に会えるのを楽しみたいと思っていたりする。
明日早朝にのぼり、バスが出発する昼すぎまでに降りてくることにきめた。

といっても、今日することがないので、山の麓にある寺院まで行ってみることにした。町からおよそ二キロだ。
すごい人。ジャイナ教は、不殺生を守り、蟻も蚊も殺さず、厳格な信者は空中の虫なんかを吸い込まないようにと口に布を巻いていたりもする。厳しい苦行と禁欲をもって輪廻からの解脱に至れるというおしえ。で、彼らは白衣をまとうのだとか。インドでは今回私が訪れたラジャスターン地方、グジャラート地方、ムンバイに信者が多いようだ。

寺院に入る入り口の礼拝所では、夕方にも関わらずすごい人。
しばらく向かいに座りこみ、様子を観察する。誰一人、ふざけたり、適当な様子で祈るものがいない。特定の宗派において信仰心をもたない自分からしたら、なかなか共感できない領域で、ただこういった人々を見ていると自然と畏怖や畏敬の念というものが何かしらどこかに向かって湧いてくるような気がしてしまう。





白装束が多いなか、カラフルな布をまとった男性もなかにはいた。
一見、女性のサリーかと見間違う。



日が沈む前に宿にもどり、二軒となり先の食堂でご飯をたべる。メニューはなく、よくわからないので、相席になったインド人におすすめを頼んでもらった。

さて、翌朝。6時にアラームがなり、日焼け止めだけを塗って出発する。まだ外は暗いけれど、オートリキシャは多く、肌寒い中をシャトルンジャヤまで走ってもらう。

少しずつ空が白みはじめると、早朝にもかかわらず大勢の信者がいることに気づく。
そういえば。昨日インド人が言っていた。
「明日はジャイナ教の年に一度のフェスティバルで、大勢の信者が巡礼に山にくる」
だからか。昨日の夕方よりも人が多い。



供物のバラの花をカゴに盛るおじさんが門前に何人かいる。
写真をとると、一輪くれた。



インド人に「こっちにこい」と言われていく。何があるかと思えば、ただ「ここで写真を撮ったらどうだ」って、してやったりの顔。やたらに親切で、人なつこく、大きなお世話をやいてくれるのがインド人。ときに腹も立つけれど、憎めない。



山をのぼりはじめると、こんな光景がわんさか。
私もお願いしたいよ~。



太陽がのぼり、やわらかい光が山にさしこむと、肌寒さは次第になくなっていく。



息づかいが荒くなると、インド人がいちいち「急いだらだめだ、ゆっくりね」(わかってます)とか「私は一日に3回も登るのよ」(え、嘘でしょう?)とか「写真撮らせて」(つらいの、ほっといて)なんて声をかけてくる。どうして、この人たち喋りっぱなしなのだろうか。




インドは女性も足腰がつよい。首の筋肉、触ってみたいんだけど。



だいぶ登ったぞ。山頂まで4000段近くあるらしい。



のぼりはじめて1時間くらい。少しガスのかかった視界の中から湖が見える。



そしてついに、山頂の寺院群がみえてきた!



げげげげ。頂上付近はものすごい人で、規制がかかっている。
女性は右で、男性は左だって。



この中にまざり、バスの時間を気にしながら流れに身を任せる。


次第に、どこからか祈りの歌が聞こえてくる。誰かが歌いはじめ、それは二人、三人とひろがり、やがて大きなエネルギーを感じさせるほどの歌声になる。



でも、いったいいつまでこの列はつづくのだろうか。



ジャイナ教本殿寺院は撮影厳禁だといわれたので写真撮れず。

巡礼者たちの熱気は想像以上に凄まじく、叫ぶもの、はしゃぐもの、床に頭をつけて祈り続けるもの、さまざまに想いをどこかへ昇華させている。祈りはどこへ向かうのか、と相変わらず私は考える。

同時に、「考えるんじゃなくて、感じないとだめだよ」とアグラのホテルで、オーナーと話したときに言われたのを思い出す。「キミは本当にハッピーなのか?」と問われて、どうしてそう聞くのか、とだけ思ったのだった。

インド人に、時間がないならあちら側だけ行けば、寺院群を上から見れるぞと教えてもらい、向かう。階段をのぼる。



目下、やがて見たかった光景が広がって行く。



寺院の中を散策。ヒンドゥ教寺院のように、さまざまな神々の彫刻があまりみあたらず、ただただ繊細な模様に感動する。まあるいドーム型のストゥーパには、どこかイスラムの影響も感じる。







寺院から寺院へとつながっていくような構造。この先を出ると、そこは・・・




絶景でございます。こちら、絶景でございまーーす!



遠くには、巡礼者の列。聖地とは、ただ寺院があるだけではなくて、巡礼に訪れるものたちがあって成り立つように感じる。しかし、寺院をつくったのもまた、人間なのだ。



来た道をもどり、寺院群入り口の広場へいくと、朝とは嘘のように人が減っている。早くも、11時をまわっている。



ふたたび、4000段の階段を降りる。



これから登る人たちもまだまだ多い。真上に太陽が登ったいまからとは、インド人てたくましい。



パリタナの町が見えてきた。



そして、昨日と変わらず麓には大勢の巡礼者がいる。





帰り、寺院入り口付近の食堂でBHEL(ベル)というスナックを食べる。これが美味しくて、はまってしまった。実は前日も食べた。
スナック菓子に生野菜とざくろの実と大好きなコリアンダー、ナッツを混ぜたスパイシーな味つけ。




パリタナの町に戻る。











あまりの暑さに、アイスを頼んだら仰々しくお皿に入れてでてきた。



ホテルで預かってもらっていたバックパックをとりにいき、バスが来るのを待つ。



2時半と言われたのは、2時45分だと言われ、3時になってもこず、隣にいた青年にジュナーガル行きのバスに乗りたいけどまだかしら、と聞いてみると、「まかせろ!」と重大な任務を誇らしく思うがごとく毎度毎度バススタンドに入ってくるバスをチェックしてくれ、「あれじゃない」「大丈夫、僕がいるから安心して」と言ってくれる。

ついに、「あれだ!」といわれ、重いバックパックを背負い礼を言ってわかれた。
ところが、ローカルバスだけあって、地元民がどわっとバスに向かっていく。えー座れるかな、、と不安に思ったとき、バスの扉があく。するとさっきの青年が隣にきていて(いつの間に来たの!?)、「僕がキミの席をとってあげる」と地元民をかきわけ、最前列の席をリザーブしてくれたいた。
「ありがとう!」



バスは3時半くらいにパリタナを出る。
グジャラートは綿花の栽培が盛んゆえ、白いポンポンがついた広大な畑がつづく。




最前列。運転手のおじちゃんの写真を撮ると、運転中なのにこの笑顔! 思わず、前! 前を見て! と前方を指差す。当然対向車がプップーとクラクションを鳴らすのだった。



そして前方から牛の大群。これには、バスも一時停車せざるを得ない。



うっすらと、月が顔をだしてくる。



太陽がしずむまで、私の隣の席は、何度、人が変わっただろうか。停車、停車を繰り返し、その度におじいちゃんだったのが子供になり、それがおばちゃんになり、子供を抱っこしたお母さんになる。



ジュナーガルまであとちょっとだって。
全員降りて、チャイを飲んで休憩。



グジャラートは、カップ&ソーサーのソーサでチャイを飲む。これには、笑ってしまう。
飲みにくいだけだもんね。私にもくれた。






この運転手のおじちゃん、「フォト、フォト」と言って満面の笑顔。



「これ、なあに。美味しそう」というと、勝手に取って、「クッキー」とくれた。
お金はどうするのかと思えば、店のお兄さんに何かいい、お金はいらないよ、バスへもどろうと。お兄さん、ごめんよ~ありがとう~。



ジュナーガルまで、なんだか遠足に来ているような気分で、旅はつづくのだった。




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長くなりましたが、のんさんぽ第5弾「タイ北部でみつけた可愛いもの」も更新しております。よかったら読んでいただけると嬉しいです!