日本の大学の教員(助教)です。このたび念願かない、昔から尊敬していた先生の下で、Post Doctoral Fellow(博士研究員)として細胞生物学・生化学の研究を行うチャンスをいただきました。言葉の壁、文化の違いとともに、研究のシステムや考え方の違いに戸惑いながら、これらを学んで帰国後に活かしたいと思っています。もちろん、ユタの大自然と米国の生活も嫁さんと共に楽しみたいと思っています。
遅まきながら科学技術予算に対する事業仕分けについてひとこと。
遅まきながら科学技術予算に対する事業仕分けについてひとこと。
まず、スパコンに対しての「世界一でなければダメなのか」という発言について、
科学・技術の世界は、二位を目指しては駄目です。
科学分野では、二位では功績はみとめられませんし、技術分野では、特許にならないので利益が見込めません。
国家としてのリターンを考えるのであれば、一位を目指す研究を支援すべきだと思います。縮減に反対です。
もうひとつ、「国民生活にどう役立つのかわかりにくい」というコメントについて、
科学技術のなかで、”技術”はまだしも、”基礎科学”については、確かにどう役にたつのかわかりにくいものです。
基礎科学に対して、”それが何の役に立つのですか?”という問いに対し、”生まれたての赤ん坊は何の役に立ちますか?”という有名な問い返し問答があります。
国家の将来に利益をもたらす技術研究と、その技術の芽となり莫大な波及効果を生み出す可能性をもつ基礎科学の研究は、まさに国家ではぐくむべき”子供たち”だと思います。
科学・技術を中心にして発展する国家を考えるのであれば、将来を担うこの”子供たち”をきちんと育て上げてあげる必要があります。削減どころか、維持、増額、また、科学者にも”子供(科学技術)手当”を支給する位でよいのではないでしょうか?
若手研究費関連について、(これはちょっと脱線)
博士号取得者が就職先がなくて短期契約のポスドクを繰り返すというポスドク問題が割と有名になった昨今ですが、実は日本の科学にとってさらに怖いのはもうこのさき5年ほどに迫ってきていると思います。ポスドク問題によって、実はここ数年、理系の学生が博士課程に進学しなくなってきています。このことでたぶん2,3年後から博士をとった若い研究者の数が激減すると思われます。(さらに今回の事業仕分けで)生活的にも窮状に陥る人がさらにでてくる可能性が高い30代のポスドクなど若手研究者の状況を見れば、理系の学生で研究者に進もうという人はさらにまた減るかも知れません。
私の関連する分野では、これまでずっと日本の国際競争力は上がってきています。しかしながら、上記の現実を考えると、実は今年ぐらいが(単純にポスドクの数からみても、)日本の研究力のピークかも知れません。ここからしばらく衰退する可能性が高いのではないかと心配しています。
仕分け人の指摘している文言のいくつかには一見うなづけるものもあり、私も科学の現場にいて、無駄を感じることもあるので改革と改善が必要だと思っています。ですが、今回の事業仕分けにおける判断で起こる現実は、予算削減だけであり、そこに言い訳を後付けしているとしか思えません。わずかな時間の議論で誤解も深いと思われます。今回の事業仕分けの判断が実行されると、この予算削減が、未来の日本を支える科学・技術と日本の将来自身を真綿で首を絞めるようにジワジワと殺すことにつながるのではないかと思い、とても不安です。
ラストページ
本ブログをご覧いただき本当にありがとうございました。
留学中は職場でもプライベートでも本当にたくさんの方に支えられて楽しく過ごすことができました。まずはその支えてくださった皆様に本当に感謝しています。
現在、帰国して日本の職場に復帰してから約二週間ほどが経ち、やっと自宅のネット環境が整い、また精神的にも少し落ち着いてきました。
研究留学中は面白半分に、期間限定でブログを公開してみましたが、ブログを通しての貴重な出会いがあったりと思わぬ効果もありました。
久しぶりにページをのぞいてみると、まだ毎日100人前後の方のアクセスがあるようです。(そのうち何割かは今年のノーベル賞のGFPを検索語として調べてたどりついているようです。やっぱりノーベル賞はすごいですね。)
今後、このブログはしばらく残すつもりですし、研究留学やソルトレイクの情報などで書きたいことが出てきましたら更新するかも知れません。
しかしながら、帰国したこの機会を一つの区切りとしてひとまず終了とさせていただきたいと思います。
短い間、それも不定期な更新でしたが、 お付き合いいただいた皆さま、どうもありがとうございました。
帰国直前
明後日帰国です。
家の帰国準備、研究室の引き継ぎと資料整理。思いつくままに。
昨日クロネコヤマトの支店へ船便の荷物を運びこむ。
こちらの日本人会を通すと少し割引。さらに持ち込みで割引だった。
段ボール箱の体積の合計が1m3以内に収まるように計算してぎりぎり(ちょっとオーバー)に詰め込む。が、ヤマトから請求されたのは1.5m3の値段(それも1.6m3だったのをおまけしたとのこと)。
どうも、総体積というのは段ボールの体積の単純合計ではなくて、段ボールをコンテナに入れたときのそのコンテナの体積らしい。そのため、いろいろな形の段ボールを使ったり、詰め方の違いによって、隙間が変わるので合計体積も変わってしまうらしい。せっかく計算しながら用意したのに(特に嫁さんが頑張ってくれたのに、)ちょっとがっかり。
研究室の方は、この一ヶ月間はボスとの今後のディスカション、引き継ぎと片付けと日本へのサンプル送付準備などに追われた。その中で、抽出したプラスミドなどのDNAはそのまま乾燥して自分で持っていけば、組み換え生物でもないし何の危害もない物質だし大丈夫だろう。また何か問題あってもボスに電話掛けてもらえばOKだろうなどと考えていたけれども、ボスには送付することを強く勧められた。
確かに税関で疑われ始めたら(エッペンチューブ100本くらいバッグに入れていて、その蓋には細かい字でbacterialとかDNAとか書いてあったらバイオテロリストとして確実に疑われそうだ。)、いくら最終的には問題がなかったとしても疑いを晴らすのにかなり労力が要りそうだ。また、疑惑を解くのにボスにも迷惑をかけてしまうだろう。しかも今はグラントの締切直前でただでさえ忙しそうだし。ということで、すべてのサンプルは別に郵送することに。
郵送の際に、こちらは紛失などのトラブルがあるので、送付用サンプルはきっちり二つ作ることを勧められた。この作成に意外と時間を取られたなあ。
今日は帰国が近い僕のためもあってか、珍しく皆で一緒にピザを注文し、昼食。大三枚はほとんど女性ばかりのこの研究室ではちょっと多すぎだった。さらに食後に、嬉しいことにサプライズで僕のバースデーのケーキを出してくれた。こちらでは主役が皆の分のケーキを切り分けるのだけれども、皆お腹いっぱいで半分くらい残ってしまった。
もらった誕生日カードの真ん中には日本語で”非常に誕生月おめでとうを望みなさい”と書かれていた。ちょっと可笑しかったけど、意味はわかるし、何より気持ちが嬉しい。それに、まあ僕の英語もこんなもんだろう。
本当にこの研究室のメンバーたちにはいつも助けられ、感謝しっぱなしだった。研究室へ行く最後の明日は、ちょっとしたお礼に一人ずつにカードと、近くのアジアンマーケットで見つけた千代紙で作った折鶴を渡そうと思っている。
